炎症性粉瘤について
- 炎症性粉瘤とは
- 炎症が起こるメカニズム
- 【段階別】粉瘤の炎症の症状
- 炎症性粉瘤を放置・自己処理するリスク
- 炎症性粉瘤の治療方法
- 炎症の有無による治療の違い
- 【FAQ】炎症性粉瘤に関するよくある質問
- 炎症性粉瘤は早期対応が重要
炎症性粉瘤とは

炎症性粉瘤とは、粉瘤(アテローム)に細菌感染や異物反応が加わり、赤み・腫れ・強い痛みなどの炎症症状を伴った状態のことです。
粉瘤は本来痛みのない良性腫瘍ですが、炎症を起こすと短期間で大きく腫れ上がり、強い痛みを伴うようになります。よく似たしこりに脂肪腫がありますが、脂肪腫は通常、赤く腫れたり痛みが出たりすることはほとんどありません。
炎症が進行すると膿が溜まり、膿瘍(のうよう)を形成したり、破裂したりすることがあります。また、炎症が長引くと色素沈着や瘢痕(はんこん)が残る可能性もあります。
粉瘤は自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。気になるしこりや痛みがある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診することが重要です。
炎症が起こるメカニズム
炎症が起こる仕組みは、主に「細菌感染」と「異物反応」の2つによるものです。細菌感染による炎症は、粉瘤の内部で細菌が増殖することで起こります。一方、異物反応は袋が傷ついて内容物が周囲に漏れ、それを体が異物と認識して炎症を起こすものです。いずれも内部に溜まった内容物が関係しており、急激な腫れや痛みにつながります。
細菌感染による炎症
粉瘤の内部には角質や皮脂などの老廃物が蓄積しており、細菌が増殖しやすい環境です。毛穴の開口部が塞がることで内部は閉鎖され、一度細菌が入り込むと急速に増殖します。
細菌が増えると、体がそれを排除しようと免疫反応を起こすため炎症が生じます。その結果、腫れ・赤み・熱感・痛みなどの症状が現れ、さらに進行すると膿が溜まり膿瘍を形成します。
異物反応による炎症
粉瘤の袋が圧迫や刺激によって損傷すると、内部の角質や皮脂が周囲に漏れ出すことがあります。本来皮膚の外にあるべき物質が内部に広がることで、体が異物として認識し、強い炎症反応を引き起こします。
異物反応は細菌感染を伴わなくても起こるため、見た目以上に強い腫れや痛みが生じることも少なくありません。近年では、炎症性粉瘤の主な原因は異物反応であると考えられています。
【段階別】粉瘤の炎症の症状
炎症性粉瘤は、進行の程度によって症状が変化します。早い段階で対応することで、症状の悪化や傷跡のリスクを抑えられます。
| 段階 | 見た目 | 痛み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 軽度 | 赤み・腫れは軽い 見た目の変化は少ない |
触れると違和感・軽い痛みあり | 悪化しやすいため、無理に触らない |
| 中度 | 赤み・腫れが目立ち始める 熱感がでる場合あり |
安静時にも痛みがあり 触れるとズキズキ痛む |
自然治癒が難しくなり、医療機関での治療が必要に |
| 重度 | 大きな腫れ・膿が溜まり破裂する場合あり | 強い痛みがあり日常生活に支障をきたす 発熱や倦怠感を伴うケースあり |
早急な受診が必要 |
軽度
初期段階では見た目の変化は小さく、触れたときに違和感や軽い痛みを感じる程度です。日常生活への支障は少ないものの、刺激や圧迫によって悪化しやすく、短期間で腫れや痛みが強くなることもあります。
そのため、自己判断で様子を見るのではなく、悪化する前に医療機関を受診することが大切です。無理に触ったり潰したりしないようにしましょう。
中度
炎症が進むと、腫れや赤みが目立つようになり、安静にしていても痛みを感じることがあります。患部は熱を持ち、触れるとズキズキと強い痛みを伴うのが特徴です。
中度の段階では、内部で炎症が広がっています。自然に改善することはないため、適切な治療が必要になります。
重度
さらに進行すると、内部に膿が溜まり膿瘍が形成されます。痛みは非常に強く、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。炎症が周囲に広がると発熱や倦怠感を伴うこともあるため、早急な治療が必要です。
また、皮膚が薄くなり自然に破裂することもありますが、それは炎症が治ったサインではありません。再発や傷跡が残る原因となるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
炎症性粉瘤を放置・自己処理するリスク
炎症性粉瘤を放置したり自分で潰したりすると、次のようなリスクがあります。
| リスク | 詳細 |
|---|---|
| 炎症の悪化 | 腫れ・赤み・痛みが強くなる 短期間で重症化する可能性がある |
| 膿瘍の形成・破裂 | 内容物が排出されても根治しない 再発リスクが高まる |
| 細菌感染の拡大 | 赤みや腫れが広範囲に及ぶ 発熱や倦怠感など全身症状につながることがある |
| 色素沈着や瘢痕の残存 | 炎症が長引くほど皮膚へのダメージが大きくなる 場合によっては皮膚のへこみなど、見た目の影響が強く出る |
| 再発リスクの上昇 | 内容物だけ出しても袋が残るため再発しやすくなる 炎症を繰り返していると手術の難易度も上がる |
炎症性粉瘤の放置や自己処理は、炎症や感染をさらに悪化させる原因になるため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
炎症性粉瘤の治療方法
炎症性粉瘤の治療は、炎症の程度によって段階的に行われるのが一般的です。主に「炎症を抑える治療」と「根本的に治す治療」に分かれます。
炎症を抑える治療
抗生剤の内服
抗生剤は細菌感染が疑われる場合に、炎症の拡大を抑える目的で使用されます。ただし、細菌感染だけが原因ではない可能性も高いため、効果は限定的です。
また、粉瘤の内部は血流が乏しいため、大きい粉瘤の場合は十分な効果が得られないことがあります。内服治療だけでは改善せず、膿が溜まって自壊(自然に破れる)に至ることもあります。
切開排膿
膿が溜まっている場合は、皮膚を切開して内部の膿を排出します。一時的に症状は改善しますが、袋状の組織(被膜)は残るため、あくまで応急処置となります。再発を防ぐためには、あらためて摘出手術が必要です。
また、切開後は洗浄やガーゼ交換のため通院が必要になる場合があります。痛みを伴う処置が続くこともあり、患者様の負担が大きくなる点がデメリットです。
そのため、当院では炎症性粉瘤の場合でも、可能な限り当日手術を行っています。炎症がある場合は被膜を切除することが難しくなりますが、できるだけ腫瘍を摘出します。毎日の通院は必要なく、経過が良ければ約1ヶ月後の再診のみとなります。
根本的に治す治療
手術による腫瘍の摘出


粉瘤の根本的な治療は、被膜ごと完全に取り除くことです。
炎症が落ち着いている状態であれば、被膜を一塊で摘出しやすいため再発リスクも少なくなります。一方で、炎症が強い場合は周囲の組織との癒着が起こり、被膜の完全摘出が難しくなります。完全に摘出できないと再発リスクが高まるため、重症化する前に治療することが重要です。
また、炎症の期間が長いほど組織の破壊が進み、術後の傷跡が目立ちやすくなる傾向があります。
当院の治療方針
一般的には、炎症性粉瘤ではまず切開排膿を行い、炎症が落ち着いてから摘出手術を検討することがあります。
一方当院では、炎症性粉瘤の場合でも可能な限り当日に手術を行っています。炎症がある場合は切除が難しい場合もありますが、できるだけ腫瘍を摘出することで、通院回数や患者様の負担を減らせるよう努めています。通院は必要なく、経過が良好であれば約1か月後の再診のみで様子を見ていく場合もあります。
炎症の有無による治療の違い
炎症がある場合とない場合では、手術の難しさや術後の傷跡の仕上がり、痛みの程度が大きく異なります。特に炎症の有無は、再発リスクや傷跡に直結する重要な要素です。
炎症がない場合
炎症がないと被膜が周囲組織と癒着していないため、境界がはっきりしており一塊で取り除きやすくなります。その結果、取り残しが少なくなり再発リスクも低くなります。
また、周囲の皮膚組織へのダメージも少ないため、術後の治癒がスムーズです。炎症性粉瘤と比較すると、傷跡も目立ちにくくなります。
炎症がある場合
炎症がある場合は被膜の摘出が難しくなり、再発のリスクが上がります。炎症を起こしていると、周囲組織との癒着が起きたり、組織そのものが破壊されたりしているためです。
さらに、炎症によって組織がダメージを受けると治癒が遅れ、色素沈着や瘢痕が残りやすくなります。瘢痕は組織を縮めながら治るため、皮膚のへこみ(陥凹)が生じることもあります。炎症の期間が長い、あるいは程度が強いほど、その傾向は強く現れます。そして一度できてしまった陥凹の治療は非常に困難になるため、早期治療が非常に重要な疾患です。
また、炎症部位では発痛物質が増加するため、痛みを強く感じやすくなります。加えて、炎症により組織が酸性に傾くことで局所麻酔の効果が弱まり、手術時に痛みを感じやすくなることもあります。
当院では、炎症の周囲に局所麻酔を打つなどの工夫を行い、できるだけ痛みを感じさせない治療を心がけていますが、早めの治療が様々なリスク軽減に繋がります。
【FAQ】炎症性粉瘤に関するよくある質問
ここでは、炎症性粉瘤に関するよくある質問を紹介します。
Q.粉瘤が赤くなったらすぐ受診すべきですか?
放置すると膿瘍形成や破裂、感染拡大につながる可能性があるため、できるだけ早めに医療機関を受診することをおすすめします。赤みや痛みが出ている場合はすでに炎症が始まっており、短期間で腫れや痛みが急激に悪化することがあります。早期対応ほど治療の負担も軽くなります。
Q.市販薬で治りますか?
市販薬で粉瘤が根治することはありません。一時的に炎症が軽くなることはありますが、根本的な治療には被膜の摘出手術が必要です。自己判断での対応は、長期的な悪化を招く可能性があるため注意してください。
Q.粉瘤は自分で潰しても大丈夫ですか?
無理に潰すと内容物が周囲に広がり、炎症や感染を悪化させるため絶対にやめましょう。一時的に小さくなったとしても、被膜は残るため再発しやすく、かえって治療が難しくなることもあります。傷跡や色素沈着のリスクも高まるため、自己処置は避けてください。
Q.炎症があると手術はできませんか?
炎症がある場合でも手術は可能なケースがあります。ただし、炎症の程度や経過によっては切開排膿などを先に行い、段階的に治療することもあります。炎症が強いと被膜の完全摘出が難しくなり再発リスクが高まるため、症状に応じて最適な治療方法を選択することが重要です。
炎症性粉瘤は早期対応が重要
炎症性粉瘤は、赤みや痛みが出た時点で炎症が進行しており、放置したり自己処理したりすると急激に悪化する可能性があります。軽度の段階でも自然に治ることはありません。
炎症がある状態では手術の難易度が上がり、再発や瘢痕のリスクも高くなります。反対に、炎症がない早期の段階で治療を行えば、患者様の負担を抑えながらきれいに治すことが可能です。
違和感やしこりに気づいた段階で放置せず、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
他にも多くの治療について解説しております。
粉瘤(アテローム)の手術動画 摘出方法を症例とともに解説
- 粉瘤(アテローム)の手術動画
- 症例動画で飛び出しているものの正体とは?
- 粉瘤が飛び出す状態になるのはなぜ?
- 粉瘤を自分で潰してはいけない理由
- 粉瘤の手術による根本治療
- 粉瘤の手術に関するよくある質問
- まとめ
※ 本記事には粉瘤(アテローム)の手術映像や摘出シーンが含まれています。血液や摘出物が映る場合がありますので、苦手な方はご注意ください。
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできた袋状の組織の中に、角質や皮脂などの老廃物が蓄積して発症する良性腫瘍です。インターネット上では、粉瘤の中身が勢いよく飛び出す摘出動画などがよく視聴されており、「ニキビのように中身を出せば治るのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。
本記事では、実際の手術動画の症例を紹介しながら、ただ中身を押し出すのではなく「なぜ袋ごと取り出す必要があるのか」など、正しい摘出方法や再発を防ぐために大切なポイントについて解説します。
粉瘤の基礎知識や原因についての詳しい解説は、「粉瘤(アテローム)の原因とは?できる理由・炎症・治療法を解説!」の記事をご覧ください。
粉瘤(アテローム)の手術動画
手術動画①背中の約4cmの粉瘤をくりぬき法(へそ抜き法)で摘出
背部にできた約4cmの粉瘤を3mmのトレパン(円形メス)を用いたくりぬき法で摘出しています。
手術というと大きく切開するイメージを持つ方もいますが、粉瘤の状態によっては小さな穴を開けるのみで摘出できるケースがあります。くりぬき法は傷跡をできるだけ小さく抑えられることが特徴です。
術後は7~10日程度で抜糸を行い、その後傷跡は徐々に目立たなくなります。
手術動画②耳に複数発生した粉瘤の摘出
耳周辺に複数ある粉瘤の摘出動画です。今回は2ヶ所摘出していますが、ほかにも複数の粉瘤が残っている状態でした。耳は皮脂腺が多く、粉瘤ができやすい部位の一つです。
小さいうちは症状がなくても、放置することで徐々に大きくなり、炎症を起こすリスクが高まります。特に耳周辺は見た目が気になりやすい部位でもあるため、大きくなる前に早めに手術することをおすすめします。
手術動画③粉瘤摘出時の袋(嚢胞)の除去
粉瘤治療で最も重要なのは、中身の老廃物だけでなく「袋(嚢胞)」を完全に取り除くことです。動画では内容物を押し出すだけではなく、粉瘤の原因となっている袋状の組織も一緒に摘出しています。
粉瘤は袋が残っている限り、角質や皮脂がそこに蓄積し、再発してしまいます。そのため、根本治療には袋ごとの摘出が必須となります。
手術動画④頸部(首)にできた7cmの巨大粉瘤
頸部にできた約7cmの非常に大きな粉瘤の症例です。長時間放置された粉瘤は徐々に大きくなり、動画の患者様のように数cm以上に増大することがあります。
本症例では、5mmのトレパンを用いて摘出しています。首は目立つ部位のため、傷跡に最大限配慮した治療が重要になります。
手術動画⑤炎症前の粉瘤のくりぬき法
この動画は、くりぬき法による粉瘤手術です。今回は3mm大のトレパンを使用しました。
粉瘤が炎症を起こしていない場合は、スムーズに嚢胞を摘出できます。一方で、炎症や感染を起こした粉瘤は周囲組織との癒着が強くなり、摘出の難易度が上がります。そのため、炎症が起こる前の治療が理想的です。
手術動画⑥臀部(おしり)の非感染性粉瘤
臀部(おしり)の感染を伴わない粉瘤をくりぬき法で摘出した症例です。粉瘤の大きさは約4cmで、6mmサイズのトレパンを使用しました。
感染の既往がない場合は、腫瘍の周囲を剥離すれば比較的スムーズに粉瘤を摘出できます。創部は一部縫合し、血腫予防として穴を少し開けた状態で経過を診ます。
感染してしまうと、一塊に腫瘍を摘出することが困難になるため、早めの切除をおすすめします。
症例動画で飛び出しているものの正体とは?
粉瘤の動画で飛び出してくる内容物は、主に以下のものです。
- ・古い角質
- ・皮脂
- ・老廃物
これらが袋の中に長期間蓄積することで、しこりとして大きくなります。また、粉瘤独特の悪臭が発生することがありますが、これは内容物が長期間袋の中で変性し、細菌が繁殖することが原因です。
詳しくは「粉瘤の臭いについて」をご覧ください。
粉瘤が飛び出す状態になるのはなぜ?
粉瘤の内容物が外に飛び出してしまう主な原因は以下のとおりです。
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| 内部に老廃物が蓄積 | 袋の中で角質や皮脂が作られ続け、時間の経過とともに内容物が増加し、内部圧力が高まって自然に破裂する |
| 外部からの圧力 | 摩擦や圧迫など外部からの物理的な力によって内容物が押し出される |
| 炎症による破裂 | 細菌感染などにより炎症を起こして膿が溜まり、皮膚が耐えきれずに破れる |
炎症を起こして赤く腫れた状態については「炎症性粉瘤について」で詳しく解説しています。
粉瘤を自分で潰してはいけない理由
動画を見て「ニキビのように自分で出してみよう」と思う方もいるかもしれませんが、次のような理由から自分で潰すことは絶対に避けてください。
| おすすめできない理由 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 炎症が悪化する | 無理に圧迫すると、皮膚の下で袋が破れ、周囲の組織に内容物が広がり、炎症が激化する可能性がある |
| 感染症を引き起こす | 不衛生な手や器具で触ることで細菌が入り込み、化膿することがある |
| 再発しやすくなる | 自分で内容物を押し出しても袋は皮膚の下に残るため、再び老廃物が溜まり粉瘤が再発する |
仮に自分で処置して一時的にしこりが小さくなったとしても、数ヶ月後に再発する可能性が非常に高いです。炎症を繰り返すと周囲の組織と癒着し、結果としてクリニックでの治療が難しくなり、傷跡も残りやすくなってしまいます。
粉瘤の手術による根本治療
粉瘤を根本的に治療するには、袋ごと摘出する手術が必要です。主な方法は以下の2とおりです。
| くりぬき法 | 切開法 | |
|---|---|---|
| 方法 | 特殊な円筒状のメス(トレパン)で小さな穴を開け、そこから内容物と袋を引っ張り出して摘出する | メスで皮膚を紡錘形(木の葉型)に切開し、粉瘤を袋ごと取り出して縫合する |
| メリット | 傷跡が小さく目立ちにくい 手術時間が短く体への負担が少ない |
大きな粉瘤にも対応可能 再発率を極めて低く抑え、確実に摘出できる |
粉瘤のサイズや炎症の有無によって、適切な術式は異なります。
手術の流れやダウンタイムの詳細は「粉瘤の手術・治療方法」をご覧ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
粉瘤(アテローム)の症例
※本ページには粉瘤(アテローム)の症例画像を掲載しています。患部の状態や摘出後の写真が含まれるため、画像によっては刺激が強いと感じられる場合があります。閲覧の際はご注意ください。
粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織ができ、角質や皮脂が溜まることで生じる良性の腫瘍です。顔・耳・首・背中・臀部など全身のさまざまな部位に発生します。放置すると徐々に大きくなったり、炎症を引き起こしたりする可能性があるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
本記事では、実際の症例写真をもとに、部位別の特徴・原因・治療方法について形成外科専門医の視点から詳しく解説します。
粉瘤(アテローム)の基本知識
粉瘤は初期段階では小さなしこり程度ですが、時間の経過とともに徐々に大きくなり、数cm以上に達することもあります。
粉瘤の主な特徴は、以下のとおりです。
- ・皮膚の下に可動性のあるしこりができる
- ・中央に黒い開口部(へそ)が見られることがある
- ・破裂すると独特な臭いのある内容物が出ることがある
- ・炎症時は強い痛みと腫れを伴う
症状の出方は個人差がありますが、早期の対応が重要な疾患です。
粉瘤の症例画像
首の粉瘤画像と症例
頸部(首)にできた約3cm大の粉瘤です。3mmパンチによる切開を行い、袋ごと摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:術後1ヶ月
術後1ヶ月は、傷が一番かたくなる時期です。3~6ヶ月程度でやわらかくなり、傷跡もさらに目立たなくなります。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
首にできる粉瘤の特徴
首は皮脂腺が比較的多く、衣類の襟や髪の毛による摩擦が起こりやすい部位です。刺激が与えられることで、粉瘤が発生しやすくなります。
また、目立ちやすい部位であるため、早期治療を希望する患者様が多い傾向があります。
首に粉瘤ができる原因
首に粉瘤ができる主な原因は以下のとおりです。
- ・毛穴の詰まり
- ・皮膚の微細な損傷
- ・慢性的な摩擦刺激(襟・マフラーなど)
- ・過剰な皮脂分泌
このような原因が複合的に作用し、皮膚内に袋状の組織(嚢胞)が形成されます。
首の粉瘤の手術・摘出方法
首の粉瘤の治療は、外科手術による摘出が基本です。
- ・小さいサイズ:くりぬき法(パンチ法)
- ・大きいサイズ:切開法
炎症を起こしている場合は、切開排膿で感染をコントロールし、その後に手術を行います。
耳の粉瘤画像と症例
次に、耳の後ろにできた粉瘤です。くりぬき法で切除することもできますが、皮膚の余りや美容面を考慮し、切開法により摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:術後1週間
術後1週間の抜糸時点ではまだ治癒経過ですが、今後さらに瘢痕は改善していきます。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
耳たぶ・耳の裏にできる粉瘤の特徴
耳の周りは、ピアス・マスク・メガネ・イヤホンなど、外的刺激が多い部位です。また、皮膚が薄く炎症が広がりやすいため、腫れや痛みが強く出るケースもあります。
耳に粉瘤ができる原因
耳に粉瘤ができる理由として、以下の要因が複合的に作用していると考えられています。
- ・外的圧迫(ピアスホール・メガネなど)
- ・皮膚の微細な損傷
- ・慢性的な摩擦刺激
特に同じ部位への刺激が継続することで発生リスクが高まります。
耳の粉瘤の手術・摘出方法
耳は目立つ部位にあるため、見た目や傷跡に配慮した手術が行われます。
- ・皮膚のラインに沿った切開
- ・嚢胞を完全摘出
- ・必要に応じて炎症が落ち着いた後に手術
再発防止には、袋の完全除去が重要です。
臀部(おしり)の粉瘤画像と症例
臀部にできた比較的大きな粉瘤で、くりぬき法により摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:1ヶ月後
術後1ヶ月時点では創部に硬さがありますが、時間の経過とともに徐々にやわらかくなり、日常生活への支障も軽減していきます。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
臀部にできる粉瘤の特徴
臀部は長時間の座位や蒸れが発生しやすく、粉瘤ができやすい環境にあるといえます。また、下着との摩擦も発症する要因となります。
皮下脂肪が多いため、皮膚の深い場所にできやすいのも特徴です。特に、炎症を起こすと歩行や座ることが困難になるため、まずは炎症を抑えることが優先されます。
臀部に粉瘤ができる原因
臀部に粉瘤ができる主な原因は以下のとおりです。
- ・長時間座ることにより皮膚が圧迫されやすい
- ・蒸れやすく毛穴が詰まりやすい皮膚環境
- ・皮脂や角質が溜まりやすい
- ・皮膚への摩擦が多い
臀部は外部からの刺激だけではなく、皮膚の構造や環境から粉瘤ができやすいと考えられています。
臀部の粉瘤の手術・摘出方法
臀部の粉瘤もほかの粉瘤と同様、再発防止のために完全摘出することが重要です。
炎症がない状態であれば、局所麻酔を行うことで比較的短時間に手術を行えます。術後の痛みや腫れも抑えやすく、日常生活への影響も最小限で済みます。
炎症がある場合は、排膿処置を行い、炎症が治まった後に手術を行うのが一般的です。
粉瘤の炎症症例
粉瘤は細菌感染を起こすと炎症性粉瘤となり、急激に症状が悪化します。主な症状は以下のとおりです。
- ・赤く腫れ強い痛みを伴う
- ・熱感
- ・膿の排出

炎症性粉瘤の場合、いきなり手術することは難しい場合が多く、まずは切開して膿を排出し、炎症を落ち着かせる処置が優先されます。
炎症を繰り返すと皮膚の癒着が強くなり、手術の難易度や傷跡が大きくなる傾向があります。
粉瘤を放置するリスク
粉瘤を放置すると、以下のようなリスクがあります。
- ・徐々に大きくなる
- ・炎症を繰り返す
- ・痛みが強くなる
- ・手術範囲が大きくなる
- ・傷跡が残る可能性が高くなる
粉瘤は自然治癒することはありません。内部の老廃物を自分で絞り出しても袋が残っている限り再発します。特に炎症を起こすと治療が複雑になるため、早めに医療機関を受診することが重要です。
粉瘤と似たしこりや、放置する詳しいリスクについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
粉瘤と似ているできものの違いや見分け方
粉瘤を放置するとどうなる?
粉瘤の治療方法
症例からもわかるように、粉瘤の治療は外科的手術で袋ごと摘出するのが一般的です。主な治療方法は以下のとおりです。
- ・くりぬき法
- ・切開法
いずれの方法も重要なのは、袋(嚢胞)を完全に取り除くことです。取り残しがあると、再発するリスクが高まります。
当院の手術時間は短く、日帰りで対応可能です。お忙しい方でもスムーズに治療を受けられる体制を整えております。
各手術方法の詳しい手順や、治療にかかる料金等については、以下のページで詳しく解説しています。
粉瘤(アテローム)の治療方法・日帰り手術について
まとめ
粉瘤は、首・耳・臀部などさまざまな部位に発生する良性腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなったり炎症を起こして痛みや腫れを伴ったりすることがあります。
当院では、粉瘤の状態や発生部位に応じて、傷跡や再発リスクに配慮した治療を行っています。「できるだけ傷を目立たせたくない」「痛みが出てきて不安」といったお悩みにも丁寧に対応いたします。
早期に適切な治療を受けることで、身体的な負担や治療期間を抑えられる可能性があります。気になるしこりや腫れがある方は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
その他の症例をブログにて画像と動画を合わせて解説しています。
ブログはこちらから
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
【画像あり】粉瘤(アテローム)の症例紹介 部位別の特徴や手術方法・術後経過を解説
- 粉瘤(アテローム)の症状と進行段階
- 部位別に見る粉瘤(アテローム)の症例画像
- 粉瘤ができやすい部位と特徴
- 粉瘤は治療が必要?診断から手術までの流れ
- 形成外科で粉瘤を手術するメリット
- 粉瘤の手術方法と費用の目安
- 粉瘤手術の流れと術後の経過
- 皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科クリニック
- アクセス
「自分のしこりは粉瘤(ふんりゅう)なのか知りたい」
「どの段階なら手術が必要なの?」
「デリケートな部位にあるしこりだと治療できるか不安」
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に老廃物が溜まっていく良性の腫瘍です。医学的には「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれます。体のどこにでもできる可能性があり、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を起こして痛みや腫れを伴ったりすることもあります。
この記事では、粉瘤の基本的な特徴から、部位別の実際の症例画像、手術方法、術後の経過や費用目安まで、形成外科専門医が丁寧に解説していきます。
粉瘤(アテローム)の症状と進行段階
粉瘤は放置すると徐々に成長し、ある日突然、赤く腫れて強い痛みを伴う炎症を起こすことがあります。粉瘤特有の症状や、進行によって見た目や触感がどのように変わるのか、その段階別の特徴を詳しく解説します。
粉瘤の中身とにおいの原因
粉瘤は、本来であれば体の外に排出されるはずの角質・皮脂・垢が、皮膚の下にできた袋の中に溜まっていくことで形成されます。この袋は被膜と呼ばれ、被膜がある限り中身は少しずつ増え続けます。
被膜の中身は、老廃物が酸化・分解されたもので、独特の臭いを放つことが特徴です。圧迫するとドロドロとした粥状の物質が押し出されることがあります。また、においが強い場合は、内容物が長期間蓄積している可能性があります。
粉瘤の進行段階|初期・成長期・炎症期の特徴
粉瘤は一般的に、次のような経過をたどります。
- ・初期:数mm程度の小さなしこりとして触れる程度で、痛みはほとんどありません。中央に「へそ」のような黒い点(開口部)が見られることがあります。
- ・成長期:中身が徐々に蓄積し、しこりが大きくなっていきます。この段階でも自覚症状が少ないため、放置されるケースが多く見られます。
- ・炎症期:被膜が破れたり細菌感染が起こったりすると、赤み・腫れ・痛みを伴う「炎症性粉瘤」へと進行します。膿が溜まり、強い痛みや発熱を伴うこともあります。
粉瘤を自分で潰してはいけない理由
粉瘤の中身を自分で押し出したり、針で潰したりすることは避けてください。理由は主に以下の通りです。
- ・被膜は残ったままなので、中身を出しても再び溜まり再発する
- ・無理な圧迫により細菌感染を起こし、炎症が悪化する可能性がある
- ・自己処置による傷が治りにくく、かえって傷跡が目立ちやすくなる
粉瘤を根本的に治すには、中身だけでなく被膜そのものを取り除く必要があります。自己処置はせず、早めに医療機関にご相談ください。
部位別に見る粉瘤(アテローム)の症例画像
粉瘤はできる部位によって、皮膚の厚みや緊張、原因となる刺激が異なります。当院でよく見られる部位別の症例を画像とともにご紹介します。
右頬の粉瘤

右頬に1.5cm大の粉瘤が見られます。画像でも確認できる通り、中央にcomedo(コメド)というへそのような点が見られます。これが粉瘤の特徴です。この場合はくり抜き法の適応になります。1〜2mmのパンチと呼ばれる器具でくり抜き、中の被膜を取り出すことで、顔などの目立つ部位でも最小の傷跡で腫瘍を切除できます。
頭部粉瘤

こちらも中央にへそが見られ、くり抜き法の適応となります。毛髪がある部位のため、傷跡も比較的目立ちにくい位置にありますが、洗髪時の刺激やスタイリング剤の残りが治りにくい原因になることもあるため、術後は清潔を保つよう注意が必要です。
前胸部粉瘤

前胸部の腫瘍切除ではケロイドができやすいため、大きな切開には注意が必要です。ケロイド体質の方や過去に傷跡が盛り上がった経験のある方は、事前に医師にご相談ください。術後の経過によっては、傷跡をきれいに治すためにステロイドの注射を行う場合があります。
左上腕部粉瘤

約5cmの粉瘤の症例です。ここまで大きくなると、くり抜き法での腫瘍切除は少し難しくなり、切開を伴う方法が必要になるケースが増えてきます。ただし、炎症が起きていない状態であればくり抜き法が可能な場合もあります。粉瘤の大きさや状態によって手術方法は異なりますので、まずは診察の際にご相談ください。
粉瘤ができやすい部位と特徴
粉瘤は全身のさまざまな部位に発生しますが、皮脂腺が多い場所や、衣類との摩擦・圧迫を受けやすい部位では特にできやすい傾向があります。ここでは、その他の部位ごとの特徴や注意点を解説します。
背中の粉瘤
背中は面積が広く皮脂腺も多いため、粉瘤が発生しやすい代表的な部位です。自分では見えにくい場所のため、家族に指摘されたり大きく成長してから気づいたりするケースが多く見られます。面積が広いため複数個同時にできることもあります。リュックや寝具による摩擦で炎症を繰り返しやすい傾向があるため、サイズが小さいうちの治療が推奨されます。
耳・耳たぶ・ピアスホールの粉瘤
耳や耳たぶにできる粉瘤は、ピアスホールの周囲に発生することがあります。ピアスによる慢性的な刺激や、開けた際の傷が影響して袋状の構造ができることがあると考えられています。
耳周辺は軟骨に近く、組織が薄いため、炎症を起こすと痛みを感じやすく、目立つ場所でもあるため、傷跡への配慮がより重要になります。
陰部(デリケートゾーン)の粉瘤
陰部にできる粉瘤は、下着との摩擦や蒸れによって炎症を起こしやすい傾向があります。デリケートな部位であるため受診をためらう方も多いですが、放置すると腫れや強い痛みにつながることがあります。
当院をはじめ、女性医師による診察に対応している医療機関もあるため、不安な方は事前にご相談ください。
おしりの粉瘤
おしりは座る際に圧迫を受けやすく、粉瘤が炎症を起こしやすい部位です。摩擦や圧迫によって被膜が破れ、痛みや腫れを伴う炎症性粉瘤に進行するケースが多く見られます。
炎症を繰り返している場合、一度腫れが引いたタイミングを見て、被膜ごと摘出する手術をご提案します。
足の付け根(鼠径部)の粉瘤
鼠径部は皮膚の擦れが多く、汗や蒸れの影響を受けやすい部位です。
血管やリンパ節が近いデリケートな部位でもあるため、しこりに気づいた際は自己判断で潰したりせず、一度診察を受けることを推奨します。
まぶたの粉瘤
まぶたにできる粉瘤は、他の腫瘍(麦粒腫や霰粒腫など)と見た目が似ていることがあり、正確な診断が重要になる部位です。
皮膚が非常に薄く見た目への影響も大きい部位ですので、より繊細な処置と傷跡に配慮した治療方針が求められます。
粉瘤は治療が必要?診断から手術までの流れ
手術を検討する際の判断基準や、受診時にどのような検査を行うのかを解説します。
粉瘤は自然に治る?
粉瘤は、被膜の中に老廃物が溜まる仕組み上、自然に消えてなくなることは基本的にありません。一時的に中身が排出されて小さくなったように見えても、被膜が残っている限り再び中身が溜まり、元の大きさに戻ってしまいます。
根本的に治療するためには、手術で被膜そのものを取り除く必要があります。
粉瘤の診察で確認するポイント
診察では、まず視診・触診によって粉瘤の大きさ・硬さ・中央のへそ(開口部)の有無などを確認します。腫瘍が深い場所にある場合や、他の疾患との鑑別が必要な場合には、超音波検査(エコー)を行い、大きさや周囲組織との位置関係を正確に把握します。
形成外科で粉瘤を手術するメリット
粉瘤の手術は単に取るだけではありません。皮膚の構造を熟知した形成外科専門医が手術をする具体的なメリットをご紹介します。
傷跡が目立ちにくい手術を行える
形成外科は見た目の美しさと機能の回復を専門としています。皮膚のシワの方向(皮膚割線)に沿って切開を入れたり、特殊な縫合技術を駆使したりすることで、術後の傷跡が周囲に馴染み、目立たなくなるよう最大限の配慮をいたします。
痛みに配慮した日帰り手術が可能
当院の手術はすべて、局所麻酔による日帰り手術です。細い針を使用した麻酔により、手術中の痛みはほとんど感じません。入院の必要がないため、お忙しい方でも日常生活を大きく変えることなく治療を受けていただけます。
再発を防ぐため被膜まで丁寧に摘出する
再発の最大の原因は、被膜の一部が皮膚の中に残ってしまうことです。形成外科専門医が周囲の組織を傷つけないよう慎重に剥離(はくり)を行い、被膜を丸ごと確実に摘出することで、再発のリスクを最小限に抑えます。
粉瘤の手術方法と費用の目安
当院では主に2つの手術方法を用いています。
くり抜き法と切開法
くり抜き法(へそ抜き法)
1〜2mm程度の小さな器具(パンチ)で開口部をくり抜き、被膜を取り出します。傷跡が最小限で済むため、顔や露出部に適しています。
当院のくり抜き法については、実際の手術動画でもご覧いただけます。
▶詳しい手術動画はこちら
切開法
腫瘍が大きい場合や炎症が強いケースで選択されます。
手術費用について(保険適用)
粉瘤の手術は、基本的に健康保険が適用されます。3割負担の場合の目安は以下の通りです。
- ・露出部(顔・首・腕や膝より下)約5,000円〜15,000円程度
- ・非露出部(背中・お腹など)約4,000円〜13,000円程度
※別途、初診料・再診料、お薬代、病理検査費用などがかかります。
粉瘤手術の流れと術後の経過
手術当日の手順や術後の過ごし方について解説します。
手術当日の流れ
問診とエコー検査等で状態を確認後、局所麻酔を開始します。手術時間は多くの場合15分〜40分程度です。当日の食事制限はなく、手術後はガーゼなどで保護し、すぐにご帰宅いただけます。長時間の入浴、激しい運動、飲酒は控えてください。
手術後の経過と抜糸までの期間
術後の数日間は赤みや軽い腫れが出ることがありますが、痛みは処方された鎮痛薬でコントロール可能です。なお、炎症のない清潔な状態での手術であれば、原則として抗生剤の服用は必要ありません。翌日からは、医師の指示に従い、シャワーで創部を洗うことができます。
抜糸のタイミングは顔面5〜7日、体幹や四肢で7〜14日程度が目安です。抜糸後もテープ固定や紫外線対策を行うことで、より傷跡をきれいに仕上げることができます。
皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科クリニック

「ただの粉瘤だと思っていたら、実は別の腫瘍(まれに悪性腫瘍など)だった」というケースも存在します。
そのため、専門医による正確な診断と適切な治療計画を立てることが重要です。大阪梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医が診察から手術まで一貫して担当しており、粉瘤をはじめ、腫瘍や脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂など幅広い手術に対応しております。再発を防ぎつつ、見た目にもきれいな仕上がりを追求しております。
また当院では女性の医師による診察・手術も行っております。デリケートな部位の症状などでご不安がある方も、どうぞ安心してご相談ください。
アクセス
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
こぶのような粉瘤と類似疾患について
- 正体は何?よく似た「3つのこぶ」を比較
- ガングリオン(ゼリー状のしこり)
- 脂肪腫(脂肪によるしこり)
- 粉瘤(老廃物がたまった袋)
- しこり・こぶは何科を受診する?受診の目安
- ガングリオンと悪性腫瘍を見分ける4つのポイント
- 専門医による画像検査の重要性
- 大阪梅田形成外科粉瘤クリニックが選ばれる理由
- Q&A こぶのようなしこりでよくある質問
- まとめ
「手首や足首に急にこぶができた」
「このしこり、もしかしてがん?」
体の一部に正体不明のこぶや腫瘍ができると、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、関節付近にできる代表的なしこりであるガングリオンは良性の疾患であり、がん化することはありません。しかし、注意が必要なのは「ガングリオンだと思っていたものが、実は悪性腫瘍だった」というケースです。
本記事では、形成外科専門医の視点から、ガングリオンと悪性腫瘍の決定的な見分け方や、よく似た粉瘤・脂肪腫との違いについて詳しく解説します。この記事を読むことで、ご自身のしこりがすぐに病院へ行くべきものかを正しく判断できるようになります。
正体は何?よく似た「3つのこぶ」を比較
こぶやしこりとして現れる代表的な疾患には、ガングリオンの他に脂肪腫や粉瘤があります。これらはすべて良性ですが、それぞれ特徴や治療法が異なります。比較表にまとめたので、セルフチェックの参考にしてください。
こぶやしこりを見分ける判断基準
| チェック項目 | ガングリオン | 粉瘤 | 脂肪腫 |
|---|---|---|---|
| しこりの正体 | ゼリー状の粘液 | 垢・角質・皮脂などの老廃物 | 脂肪細胞が増殖したもの |
| 触ったときの硬さ・感触 | 弾力がある、または硬い | 比較的浅い層にあり、境目がはっきりしている | 非常に柔らかい、深い層にある感覚 |
| できやすい場所 | 関節の周辺(手首・足首など) | 全身のどこにでもできる | 背中、肩、首、腕など |
| 痛みの有無 | 基本は無痛(神経圧迫時のみ痛む) | 急に赤く腫れて痛む(感染・炎症時) | ほとんどの場合、無痛 |
| 臭いの有無 | 基本的になし | 内容物が出ると独特の臭いがある | 基本的になし |
※あくまで目安のため、正確な診断には医療機関での検査が必要です。
ガングリオン(ゼリー状のしこり)
関節(手首、足首など)を包む膜などに、ゼリー状の粘液がたまってできるしこりです。
- ・特徴: 手首、足首、指の付け根など、関節の周辺に多く見られます。20〜50代の女性に発症しやすい傾向があります。
- ・症状: 基本は無痛ですが、神経を圧迫すると痛みやしびれが出ることがあります。
- ・治療: 穿刺(注射針で内容物を吸い出す)や手術による摘出を行います。
大きさが変わったり自然に小さくなったりすることもありますが、痛みやしびれがある場合、日常生活で関節が動かしにくいと感じる場合は治療が推奨されます。
脂肪腫(脂肪によるしこり)
皮膚の下に脂肪細胞が増殖してできる良性腫瘍です。(リポーマとも呼ばれます)
- ・特徴: 非常に柔らかく、ドーム状に盛り上がります。数ミリのものから10cmを超えるものまでサイズは様々です。
- ・症状: 痛みはなく、何年もかけてゆっくり成長します。
自然に治ることはなく、根治には摘出手術が必要です。脂肪腫の詳しい症状や治療法については、以下の記事をご覧ください。
脂肪腫(リポーマ)と類似する疾患。赤い場合は?見分け方と治療法を専門医が解説
粉瘤(老廃物がたまった袋)
皮膚の下にできた袋状の組織に、垢や皮脂などの老廃物がたまったものです。アテロームとも呼ばれます。
- ・特徴: 全身のどこにでも発生します。中心にへそ(黒い点)が見えることが多く、押し出すと独特の臭いがあるのが特徴です。
- ・症状: 放置すると細菌感染を起こし、激しく痛んだり膿がたまったりします。
- ・治療: 手術以外で自然に治ることはありません。炎症を起こす前の早期手術が推奨されます。
粉瘤は、内容物が排出されて一時的に小さくなったように見えても、皮膚の下に袋状の組織が残っている限り再発します。炎症や化膿を起こすと赤く腫れて痛みが強くなり、傷跡が残るリスクや治療期間が長引く原因にもなります。気づいた段階で早めに受診しましょう。
しこり・こぶは何科を受診する?受診の目安
しこりやこぶができたときは、皮膚科・形成外科・整形外科のいずれかを受診しましょう。皮膚の表面に近いしこりや、赤み・腫れ・化膿を伴うできものは、皮膚科や形成外科が適しています。一方、手首や足首、指の付け根など関節の近くにできたしこりは、ガングリオンやその他の関節疾患の可能性もあるため、整形外科で相談するケースもあります。
特に、以下のような症状がある場合は放置せず、早めの受診が必要です。
- ・しこりが急に大きくなった
- ・赤く腫れて痛みがある、膿が出ている
- ・硬くて動きにくい
- ・同じ場所に繰り返しできる
痛みがないしこりでも、粉瘤や脂肪腫などは見た目だけでは判断が難しいため、気になる場合は一度診察を受けましょう。また、顔や首など目立つ部位にある場合や、手術後の傷跡をなるべく残したくない場合は、きれいに縫合する技術を持つ形成外科での相談がおすすめです。自己判断で潰したり放置したりすると、炎症や痛みが悪化する恐れがあるため注意してください。
ガングリオンと悪性腫瘍を見分ける4つのポイント
こぶや腫瘍として触れるしこりには、良性と悪性の両方が存在します。見た目や触り心地だけで自己診断するのは危険ですが、良性と悪性には一般的な傾向の違いがあります。まずは以下の比較表でチェックしてみましょう。
良性・悪性の比較セルフチェック表
良性と悪性では、硬さ・動き・成長スピードに明確な違いが現れやすいのが特徴です。
| 比較項目 | ガングリオン | 悪性腫瘍 |
|---|---|---|
| 触った感触 | 柔らかい、または弾力がある | 石のように硬い、ゴツゴツしている |
| 動かしやすさ | 皮膚の下でコロコロ動く | 周囲の組織に固定されて動かない |
| 大きさの変化 | 大きくなったり小さくなったりする | 短期間で急速に大きくなり続ける |
| 痛みの有無 | 基本は無痛(神経圧迫時のみ痛む) | 初期は無痛だが、大きくなると痛みが出る |
注意すべき悪性のサイン(受診の目安)
以下のような特徴が見られるこぶやしこりは、ガングリオンではなく悪性腫瘍の可能性があるため、早急に医療機関(整形外科や形成外科)を受診してください。
- ・サイズが5cm以上と大きい。
- ・短期間(数週間〜数ヶ月)で急激に大きくなっている。
- ・触った感触が石のように非常に硬い。
- ・しこりが皮膚や深い組織に癒着して動かない。
専門医による画像検査の重要性
ここまで紹介したガングリオン、脂肪腫、粉瘤はすべて良性疾患ですが、「痛みがないから大丈夫」と自己判断で放置するのは非常に危険です。専門医は、超音波検査(エコー)やMRI検査を用いることで、しこりの内部が液体か固形物か、周囲の組織とどのように癒着しているかを正確に診断します。
見た目や触感だけでは100%の診断は不可能なため、少しでも違和感(急に大きくなった、硬い、痛むなど)があれば、形成外科や整形外科を受診してください。
大阪梅田形成外科粉瘤クリニックが選ばれる理由
当院では、単にしこりを取り除くだけでなく、診断の正確性・再発防止・仕上がりの美しさまで徹底的にこだわっています。
形成外科専門医による精密な診断
ガングリオン・脂肪腫・粉瘤などのしこりに対し、豊富な手術実績をもとに診療を行っています。皮膚表面の手術を専門とする形成外科専門医が、エコー検査などで良性か悪性かを慎重に見極め、最適な治療方針をご提案します。
見た目にも配慮した跡を残さないしこり治療
しこりの摘出は、術後の見た目も重要です。当院では、特殊な縫合技術や精密ルーペを使用した繊細な手技により、できる限り傷跡を目立たせないきれいな仕上がりを目指しています。
日帰り手術対応で通いやすい
大阪梅田形成外科粉瘤クリニックでは、忙しい方でも安心して治療を受けられるよう、日帰り手術に対応しています。
24時間WEB予約が可能で、お仕事帰りや空いた時間でも受診しやすく、気になったその日に相談・治療することも可能です。
Q&A こぶのようなしこりでよくある質問
Q 急に大きくなったら悪性ですか?
A 必ずしも悪性とは限りませんが、大きくなるスピードが速い場合、自己診断は危険です。特に数週間単位でサイズが目に見えて変わった場合は、MRIなどの精密検査が可能な医療機関を早めに受診してください。
Q 痛みがないなら放置しても大丈夫?
A 粉瘤や脂肪腫は、初期段階では痛みがありません。しかし、粉瘤は細菌感染を起こすと激痛を伴い、脂肪腫も巨大化すると手術の負担が大きくなります。痛みがないから放置して良いとは限らないため、一度診断を受けることをお勧めします。
Q ガングリオンは自然に治りますか?
A 自然に小さくなることもありますが、ゼリー状の液体が溜まる袋が残っている限り、再発を繰り返すことが多い疾患です。痛みがある場合や、見た目、動かしにくさが気になる場合は治療の対象となります。
Q手術時間はどのくらいですか?
A しこりの種類や大きさ、できている場所、炎症の有無によって異なりますが、基本的に20分~40分程度の日帰り手術が可能です。比較的短い時間で完了するため、悪化する前に早めの治療をご検討ください。
Q 手術後、ガングリオンは再発することはありますか?
A ガングリオンの場合、注射器で内容物を吸い出すだけでは再び液体がたまって再発することがあります。再発を繰り返す場合や、痛みやしびれがある場合は、原因となる袋や根元の部分を手術で根本から摘出する治療を行います。粉瘤の場合も、袋を完全に取り切れば再発率は極めて低くなります。
まとめ
しこりの正体がガングリオンなのか粉瘤なのか、あるいは別の疾患なのかを正確に見分けるには、専門医による診察と画像検査が欠かせません。特に粉瘤は炎症を起こすと強い痛みを伴い、傷跡が残りやすくなるなど治療も長引く可能性があります。
また、稀に悪性腫瘍が隠れているケースもあるため、たかがしこりと放置せず、気になる症状があればお気軽に当院へご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
粉瘤とほくろの違い
粉瘤とほくろについて
粉瘤は小さな開口部が皮膚上にできることがあり、ここにたまった皮脂が空気に触れて酸化することで黒く見え、ほくろに間違われることがあります。粉瘤は放置していると炎症を起こすリスクがあるため、早めの治療が望ましい疾患です。また新たにできて大きくなっていくほくろの場合悪性の可能性がゼロではないため、できるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
粉瘤の原因
粉瘤は、皮膚の下にある袋状の組織に垢や皮脂などの老廃物がたまる良性腫瘍です。発症の原因は一部がヒトパピローマウイルスの感染や外傷などと判明することがありますが、ほとんどの場合は不明です。
ほくろの原因
ほくろは良性の母斑細胞(ほくろ細胞)が集まったもので、医学的には色素性母斑(しきそせいぼはん)と呼ばれています。
ほくろができる原因は、主に紫外線の影響であり、肌への刺激やストレス、疲労なども関連しているとされています。ほくろが黒く見えるのは、メラニン色素を形成するメラノサイトという色素細胞が過剰に活性化してメラニンを作り過ぎてしまうことが原因です。メラニンは紫外線から肌を守るための機能を担っており、皮膚の色を決定する物質ですが、体外への排出が何らかの原因でうまく行われなくなると、ほくろが形成されます。
粉瘤とほくろを見分けるポイント
粉瘤とほくろは全く異なるものですが小さく黒い点があるという状態の場合、一般の方では判断がつかないことがあります。ほくろには悪性のものもありますので、疑わしいものに気付いたらきるだけ早く受診してください。
ポイント1:黒い点
初期の粉瘤は皮膚の開口部に皮脂がたまって、それが空気で酸化して黒い点に見えることがあります。ほくろには開口部がなく、色素細胞が集まっています。
ポイント2:炎症の有無
粉瘤は袋状の組織に老廃物がたまったものです。袋の中の老廃物が増えると粉瘤のサイズが大きくなります。また炎症を起こすこともあります。ほくろは紫外線などの刺激を受けることで大きくなるケースはありますが、炎症を起こすことはないため、炎症を起こしたら粉瘤の疑いが強いと言えます。
ただしほくろで急激に大きくなった場合には、「悪性黒色腫」の可能性がありますので急にほくろができたり、大きくなってくるようでしたら速やかに医療機関の受診が必要です。
ポイント3:悪臭
粉瘤は袋の中に老廃物が詰まっているため、独特の悪臭を発することがあります。通常は圧迫などによってドロドロした内容物が出てきて臭いを生じますが、炎症を起こしている場合、触れなくても悪臭を生じさせることがあります。ほくろが内容物を生じさせたり、悪臭を発することはありませんので臭いは見分けるための有効なポイントになります。
粉瘤とほくろ、判断に迷ったら
- 大きくなってきた
- 独特の臭いがある
- 赤みや痛みが現れた
ほくろだと思って放置していたできものが上記のような症状がでたら粉瘤である可能性があります。
サイズが大きくなってきた場合悪性腫瘍の可能性もゼロではありませんので、できるだけ早めに受診するようにしてください。
粉瘤の場合には、皮膚科でも治療を受けられますが形成外科であれば、より綺麗に早く治せる可能性が高くなります。悪性かどうかの検査も形成外科で受けられますので、安心していらしてください。また、形成外科を受診される際には、日本形成外科学会が認定する「形成外科専門医」が診療や手術を行っているかどうかを必ず確認するようおすすめしています。
粉瘤とおでき、イボの違いとは?見分け方やセルフチェックの方法を解説
「しこりができたけれど粉瘤なのかおできなのかわからない」
「おできやイボとの違いを知りたい」
「自然に治るのか病院へ行くべきか迷っている」
このような悩みを持つ方は少なくありません。粉瘤、おでき(癤)、イボは見た目が似ていることがありますが、原因や治療法は大きく異なります。特に粉瘤は自然治癒せず、袋状の組織ごと摘出しなければ再発を繰り返す可能性があるため、早めに正しく診断することが重要です。
この記事では、粉瘤、おでき(癤)、イボの特徴を比較しながら、それぞれの違いや見分け方について詳しく解説します。
粉瘤とおでき(癤)、イボの見分け方

これらはどれも皮膚のしこりや赤みとして現れるため、見た目だけでの判断がは困難です。しかし、原因や進行のスピード、痛みの出方などいくつかのポイントを比較することで、ある程度の見分けが可能です。まずは以下の表で主な違いを確認してみましょう。
| 特徴 | 粉瘤(ふんりゅう) | おでき(癤:せつ) | イボ(疣贅:ゆうぜい) |
|---|---|---|---|
| 原因 | 皮膚の下に老廃物がたまる | 細菌感染(黄色ブドウ球菌など) | ウイルス感染など |
| 見た目 | 中心に黒い点(開口部)があることが多い | 全体的に赤く腫れ、中心から膿が出ることがある | 表面がザラザラして硬くなることが多い |
| 痛み | 炎症を起こすまで痛みはない | 初期段階から強い痛みや熱感がある | 動作で擦れると痛むことがあるが、基本は無痛 |
| 臭い | ドロドロした内容物から独特の悪臭がする | 膿がたまると臭うことがある | 臭いはない |
| 自然治癒 | しない | 軽症なら自然に治ることもある | 自然に治ることもあるが、時間がかかる |
| 治療法 | 外科的な手術(袋ごと摘出) | 薬物療法・排膿処置 | 液体窒素や外科的切除(イボ剥ぎ法) |
粉瘤は比較的ゆっくりと大きくなり、中心に黒い点(開口部)が見られるのが特徴です。一方おできは数日単位で急速に腫れ、初期段階から強い痛みを伴う点が大きな違いと言えます。
ただし、細菌感染を起こした粉瘤(炎症性粉瘤)は急に赤く腫れて痛みが出ることもあるため、おできと非常に似た状態になります。見た目だけで完全に判断するのは難しいため、迷った場合は自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
【セルフチェック】粉瘤の可能性が高い5つのサイン
まずは、ご自身の症状が粉瘤に当てはまるかチェックしてみましょう。
- ・中心部分に小さな黒い点(開口部)が見える
- ・触ると皮膚の下に硬いしこりを感じる
- ・強く押すと、独特の悪臭がする。ドロドロした内容物が出ることがある
- ・数ヶ月〜数年かけて、徐々に大きくなってきている
- ・同じ場所で炎症(腫れや痛み)を繰り返している
粉瘤は放置すると炎症を繰り返し、手術時の傷跡が大きくなるリスクがあります。当てはまる症状がある場合は早めに受診しましょう。
当院の正確な診断プロセス(エコー検査)
炎症を起こした粉瘤は、おできと非常によく似た見た目になるため、経験豊富な医師でも視診だけでは判断が難しい場合があります。
当院では超音波(エコー)検査を用いて、切開する前に痛むことなく、皮膚の下にある袋状の組織の有無を正確に診断します。これにより、それが袋状の組織がある粉瘤なのか細菌感染によるおできなのかを即座に判別し、最適な治療方針を決定します。
各疾患の特徴(粉瘤、おでき、イボ、ニキビ)
ここからは、それぞれの疾患の詳しい特徴を解説します。
粉瘤(ふんりゅう)について

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に垢や皮脂などの老廃物がたまる良性腫瘍です。初期は小さなしこりですが、徐々に大きくなります。内容物を押し出しても袋が残っている限り再発するため、根治には外科的な手術が必要です。
おでき、癤(せつ)について
一般的には「おでき」と呼ばれるものは、「癤(せつ)」という皮膚の感染症です。毛穴の内部や皮脂腺に、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌などが感染することで発症します。
免疫力がが低下した際などにできやすく、初期からしこりのような厚みがあり、
腫れて数日経過すると中心から膿が出てくるのが特徴です。
▶おできの詳しい症状や原因・治療法についてはこちら
イボ
イボは皮膚の表面にできることが多く、ザラザラした手触りが特徴です。ウイルス感染が原因であることが多く、液体窒素による治療や切除手術を行います。
ニキビ
毛穴の詰まりから炎症が起きるものです。粉瘤のように皮膚の下に袋があるわけではないため、薬で改善することが多い疾患です。しかし、大きく腫れたしこりニキビは粉瘤との判別が必要です。
▶粉瘤とニキビの違いについて詳しくはこちら
判断に迷う場合は形成外科へご相談ください
しこりや腫れができた際、それが粉瘤なのか、おできやイボなのかを一般の方が正しく見分けるのは非常に困難です。治療に関しても、粉瘤は外科的な手術でなければ根治できず、おできは薬物療法などで治すことあれば排膿処置が必要になることもあります。
自己判断で無理に潰したり放置したりすると、症状が悪化し、治るまでに時間がかかったり跡が残ったりするリスクが高まります。「なかなか治らない」「痛みが強い」「同じ場所に何度もできる」といった場合は、超音波検査などで正確な診断ができ、より綺麗に治す技術を持つ形成外科での診察をおすすめします。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
粉瘤とニキビ(尋常性痤瘡)の違い
「なかなか治らないニキビがある」「しこりのようなできものがある」
このようなお悩みを抱えていませんか?
実は、そのできものはニキビではなく、粉瘤(ふんりゅう)かもしれません。粉瘤とニキビは見た目が似ていますが、原因や治療方法が異なります。ニキビだと思ってセルフケアを続けていると、症状が悪化するケースも少なくありません。
この記事では、粉瘤とニキビの違いをわかりやすく解説するとともに、見分け方のポイントや粉瘤を放置するリスクについて詳しく紹介します。気になるしこりが粉瘤かニキビか判断に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
粉瘤とニキビ(尋常性痤瘡)の違い
粉瘤とニキビは、どちらも皮膚にできるしこりや腫れとして現れるため、見た目だけでは区別が難しいことがあります。特に粉瘤が炎症を起こして赤く腫れると、「なかなか治らないニキビ」と思い込んでしまうケースも少なくありません。
しかし、粉瘤とニキビは原因も治療方法も異なる疾患です。まずは両者の違いを、以下の表で確認してみましょう。
| 粉瘤 | ニキビ | |
|---|---|---|
| 主な原因 | 皮膚の下にできた袋状の組織に老廃物が溜まる ウイルス感染(非常に稀) |
毛穴の詰まり 皮脂の増加 アクネ菌による炎症 |
| 見た目 | しこり状に盛り上がる 中心部分に黒い点が見える |
赤みや膿を伴うことがある |
| 臭い | 独特の強い臭いを伴うことがある | 基本的に強い臭いはない |
| 痛み | 炎症時に強い痛みが出る | 炎症時に痛むことがある |
| 好発部位 | 顔・首・背中・耳の後ろ・臀部など | 顔・背中・胸など |
| 大きさ | 数cm~数10cmまで大きくなる場合がある | 数mm~1cm程度 |
| 自然治癒 | 自然に治ることはない | 軽症であれば自然に改善することもある |
| 治療方法 | 手術による摘出 | 外用薬や内服薬 |
見た目が似ていても、粉瘤は袋状の組織そのものを取り除かなければ根治しません。自己判断で放置すると症状が悪化するケースがあるため、注意が必要です。
粉瘤とは
粉瘤とは、皮膚の下にできた袋状の構造(嚢腫)の中に、角質や皮脂などの老廃物がたまってできる良性腫瘍です。
初期の段階では小さなしこり程度で、自覚症状がほとんどないこともあります。しかし、内部に老廃物が蓄積し続けるため、時間の経過とともに徐々に大きくなる場合があります。
また、粉瘤には「へそ」と呼ばれる小さな開口部(黒点)が見られるのが特徴です。さらに、内容物が出ると独特の強い臭いを発することがあります。これは、角質や皮脂などの老廃物が長時間蓄積されることで生じるもので、ニキビにはあまり見られない特徴です。
粉瘤は顔や首・背中・耳の後ろなどによく発生しますが、皮膚であれば全身のどこにでもできる疾患です。
ニキビ(尋常性痤瘡 )とは
ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌などの影響によって炎症が起こる皮膚疾患です。思春期に現れるケースが多いイメージがあるかもしれませんが、ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化などによる大人ニキビに悩む方も少なくありません。
ニキビは進行する段階により、次のように分類されます。
- ・白ニキビ
- ・黒ニキビ
- ・赤ニキビ
- ・黄ニキビ
黒ニキビは毛穴に詰まった皮脂が酸化して黒く見えるため、粉瘤の開口部と似て見えることがあります。ただし、ニキビには粉瘤のように皮膚の下に袋状の組織は存在しません。適切な治療を行えば改善が期待でき、軽症であれば自然に治るケースもあります。
粉瘤とニキビを見分けるポイント
粉瘤とニキビは、炎症を起こすとどちらも赤く腫れるため、見た目だけで判断するのは難しい場合があります。ここでは、両者を見分ける際の代表的なポイントを紹介します。
黒い点(開口部)があるか
粉瘤には「へそ」と呼ばれる開口部ができることがあります。ただし、黒ニキビの場合も毛穴が黒く見えるため、この特徴だけでは判断することはできません。
重要なのは、黒い点の下にしこりがあるかどうかです。触れたときに皮膚の下に硬い膨らみを感じる場合は粉瘤の可能性があります。
徐々に大きくなっているか
ニキビは炎症によって一時的に大きく見えることはありますが、際限なく大きくなることはありません。
一方で、粉瘤は内部に老廃物が溜まり続けるため、少しずつサイズが大きくなります。数ヶ月かけて成長することもあり、なかには10cm以上になるケースもあります。
「同じ場所に長期間しこりが残っている」「少しずつ大きくなっている」という場合は粉瘤を疑った方がよいでしょう。
強い臭いがあるか
粉瘤は圧迫されて内容物が出てくることがあり、独特の強い臭いを発します。
ニキビでも皮脂や膿が出ることがありますが、粉瘤のような特徴的な臭いは通常ありません。
ニキビ薬で症状が改善しないか
ニキビであれば、市販薬や病院で処方される治療薬によって症状が改善することが期待できます。しかし粉瘤は、袋状の組織を取り除かなければならないため、薬だけで根治させることはできません。
ニキビだと思って治療を続けても症状が改善しない場合は、別の疾患の可能性があります。
粉瘤やニキビと間違われやすい疾患
皮膚のできものには、粉瘤やニキビ以外にも似た症状を示す疾患があります。
たとえば「脂肪腫」は皮膚の下にできる良性腫瘍で、やわらかいしこりとして現れます。粉瘤のような黒い点や悪臭はありませんが、ゆっくりと大きくなっていきます。
また、毛嚢炎(もうのうえん)などのできものは、細菌感染により炎症を起こします。赤みや痛み、膿を伴うことがありますが、粉瘤のような袋状の組織はありません。
どの疾患かどうかは、見た目だけで自己判断することは難しい場合もあります。気になるしこりや炎症がある場合は放置せず、専門医による診察を受けることが大切です。
できものの種類や治療方法について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
粉瘤かもしれないセルフチェック
次の項目に複数当てはまる場合は、粉瘤の可能性があります。
- ・中央に開口部(黒い点)がある
- ・触るとしこりがある
- ・徐々に大きくなっている
- ・強い独特な臭いがする
- ・数ヶ月以上しこりが残っている
- ・ニキビ薬を使用しても改善しない
- ・同じ場所で炎症を繰り返している
これらはあくまで目安となります。粉瘤かどうかを正確に判断するためには、医師による診断が必要です。
特に「顔」にできたしこりは目立ちやすく、自己判断で潰してしまうと悪化や傷跡の原因になります。顔のできものが気になる方は、以下の記事も参考に早めの受診をご検討ください。
粉瘤を放置するリスク
「痛くないから大丈夫」「そのうち治るだろう」と放置してしまう方もいますが、粉瘤は自然に治ることはありません。放置すると、次のようなリスクがあるので注意しましょう。
炎症を繰り返し痛みや腫れが強くなる
粉瘤に細菌が入り込むと「炎症性粉瘤」となり、赤みや腫れ、強い痛みが生じる場合があります。
炎症が進行すると、日常生活に支障をきたすほどの痛みが出ることもあります。特に顔や首などの目立つ場所では、見た目によるストレスにつながるケースも少なくありません。
一度炎症を起こした粉瘤は再発しやすく、何度も繰り返すことがあります。
傷跡が残りやすくなる
炎症が強くなるほど周囲の組織へのダメージが大きくなり、治療後に傷跡が目立ちやすくなることがあります。また、粉瘤が大きくなるほど摘出時に必要な切開範囲も大きくなる傾向があります。
そのため、早期の段階で治療した方が身体への負担を抑えられるといえるでしょう。特に、顔などの目立つ部位では早めの対応が重要です。
なお、当院では粉瘤の日帰り手術が可能です。万が一粉瘤だった場合でも、傷跡に配慮した治療を行っておりますので、気になるしこりがある方はご相談ください。
粉瘤(アテローム)の原因とは?できる理由・炎症・治療法を解説!
まとめ
粉瘤とニキビは見た目が似ているため混同されやすいものの、原因や治療方法はまったく異なる疾患です。ニキビは毛穴の詰まりや炎症によって生じ、薬による治療や自然治癒が期待できます。
一方で粉瘤は、皮膚の下にできた袋状の組織に老廃物が溜まることで発生し、自然に治ることはありません。
黒い点のあるしこり、徐々に大きくなるできもの、内容物が強い臭いを伴う場合は粉瘤の可能性があります。とはいえ、粉瘤やニキビと似たほかの疾患の可能性もあるため、見た目だけで自己判断するのは難しいでしょう。
万が一粉瘤だった場合でも、当院では日帰り手術が可能です。早期に適切な診断を受けることで、症状の悪化や傷跡の拡大を防げます。
傷跡に配慮した治療を行っておりますので、気になるしこりや長く続くできものがある方は、当院へご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
他にも多くの治療や当院の特徴について解説しております。
粉瘤の臭いについて
粉瘤の臭いについて

粉瘤は、独特の不快な臭いを発することがあります。皮膚の下にある袋(嚢腫)に溜まった老廃物が、表面に押し出されてきた時に特に強い臭いを発します。内容物は白や黄色っぽいドロドロした状態をしています。粉瘤はニキビに似て見えることもありますが、ニキビではこうした臭いの強い内容物が出てくることはありません。そのため、この臭いは粉瘤であることを見分ける大きなサインとなります。
また、炎症が起こっている場合には、内容物が出ていなくても臭いを発することがあります。
粉瘤の悪臭
何日も履き続けた靴下やタンパク質の腐敗臭などに例えられるほど、強烈で独特な悪臭を放ちます。触れたり圧迫したりすることで、臭いのもととなるドロドロした内容物が排出され悪臭が発生します。また炎症を起こすと、直接触れていなくても周囲に臭いを感じるケースもあります。
粉瘤の臭いの原因
内部の老廃物自体の臭いに加え、細菌が代謝の過程で分泌する成分が臭気を発していると考えられます。
原因1:老廃物自体の臭い
垢や皮脂などの老廃物が皮膚の下に長い期間とどまることで、悪臭を放つようになります。
原因2:細菌が代謝の過程で発する物質
粉瘤が炎症を起こすと、嫌気性菌(プロプリオバクテリウムなど)が増殖し、悪臭の原因となるプロピオン酸を生産します。この場合、内容物が表に出なくても、皮膚にある小さな開口部から臭いが漏れてしまいます。
粉瘤は炎症を起こすと悪臭を生じるリスクがかなり高くなります。そのため、炎症を起こす前に受診して治療を受けることが重要です。
原因3:炎症や化膿によって発生する膿の臭い
粉瘤に炎症が起きると、内部に膿がたまって強い臭いを発することがあります。膿そのものにも独特の臭気があり、老廃物の臭いと混ざることで、さらに不快な悪臭として感じることが多くなります。特に赤みや腫れ、痛みを伴っている場合は、化膿が進んでいる可能性が高いため注意が必要です。
粉瘤のセルフケアと限界
粉瘤が気になる場合でも、自宅でできるセルフケアには限界があります。患部を清潔に保ち、刺激を避けて悪化を防ぐことは大切ですが、臭いが気になるからといって無理に内容物を押し出すのは逆効果です。内容物が出て一時的に小さくなったように見えても、皮膚の下にある袋(嚢腫)が残っている限り根本的には治りません。臭いを繰り返す、赤く腫れる、痛みがあるといった場合は、セルフケアだけで改善を目指すのではなく、早めに医療機関で相談しましょう。
臭いのある粉瘤は潰さないでください!
粉瘤からドロドロしたものが出てくると、気になって習慣的に潰してしまう方が多くいらっしゃいます。
しかし、粉瘤は嚢腫と呼ばれる袋状の組織を外科的に除去しない限り、完治することはありません。内容物を出して一時的に小さくなっても、袋が残っている限り再び老廃物がたまっていきます。また、無理に潰すと袋が破れ、内容物が周囲の組織に漏れ出すことで、激しい炎症を引き起こすリスクがあります。繰り返すうちに巨大化したり、化膿してきれいに治すのが難しくなったりすることもあるため、触れずにできるだけ早く受診してください。
粉瘤の治療法
粉瘤の治療法は、主にくりぬき法と切開法の2種類です。粉瘤の大きさ、炎症の有無、発生部位などによって最適な方法を選択します。
くりぬき法
特殊な器具で粉瘤に小さな穴をあけ、そこから内容物を出した後に袋(被膜)を抜き取る方法です。最小限の切開で摘出できるため、体への負担が少なく、傷跡が目立ちにくいのが特徴。手術時間も比較的短いため、手術に不安を感じている方でも受けやすい治療法です。
切開法
腫瘍の直上をメスで切開し、粉瘤を袋ごと摘出する方法です。粉瘤を塊で取り除きやすいため、サイズが大きい場合や状態によってはこちらの方法が選択されることもあります。再発のリスクを最大限抑えたい場合に適した方法です。
炎症のある粉瘤の治療は専門のクリニックへ
当院では、できるだけきれいに治すことを重視して粉瘤の治療を行っています。臭いのある粉瘤の治療は、炎症の有無や膿の量によって方法が異なります。基本的にはくりぬき法という手法を採用していますが、形成外科専門医としての知識と経験を活かし、個々の状態に合わせた丁寧な手術を行っています。
炎症が強く膿が多い場合には、まず小さく切開して膿を取り出す「排膿処置」を行い、炎症が落ち着いてから改めて摘出手術をご提案することもあります。
なお、粉瘤の手術は入院不要の日帰り手術です。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
他にも多くの治療について解説しております。
粉瘤治療は何科でかかるべき?
- 粉瘤は何科を受診すべき?
- どの科にいくべきか迷う場合の判断基準
- 粉瘤とは
- 粉瘤を放置するリスク
- 粉瘤の治療と受診から手術までの流れ
- 当院(梅田形成外科)の粉瘤治療の強み
- 粉瘤に関するよくある質問(Q&A)
- まとめ
皮膚にできたしこりを見つけたとき、「何科を受診すればよいのか」と判断に迷う方は少なくありません。特に粉瘤はニキビやほかの疾患と似ていることもあり、自己判断が難しいケースも多いでしょう。
粉瘤の治療では、受診する診療科の選択によって、治療方針や仕上がりの満足度まで変わることがあります。
本記事では、粉瘤の受診先として選択肢となる診療科の違い、症状や状況に合わせた受診の目安や治療の流れを解説します。適切な医療機関を選び、早期に安心して治療するためのヒントとして役立ててください。
粉瘤は何科を受診すべき?
粉瘤(ふんりゅう)の治療を受ける際に選択肢となるのは、主に形成外科・皮膚科・美容外科です。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 形成外科 | 皮膚科 | 美容外科 | |
|---|---|---|---|
| 診断 | 〇 | 〇 | △ |
| 治療方法 | 外科手術 | 薬・切開・クリニック紹介 | 美容目的の処置 |
| 専門 | 手術・整容医療 | 皮膚疾患全般 | 美容医療中心 |
| 保険適用 | 〇 | 〇 | △ (自由診療が多い) |
皮膚科は「粉瘤かどうか診断したい場合」に適しています。一方で形成外科は、傷や変形をただ修復するだけでなく「いかに綺麗に治すか」を追求する、特殊で繊細な手技が求められる専門診療科です。
機能面と整容面(見た目)の両方を考慮して治療を行うため、顔や首など目立ちやすい部位にある粉瘤の手術や、術後の傷跡が気になる場合には、形成外科を受診することでより美しい仕上がりが期待できます。
美容外科が選択肢になることもありますが、粉瘤は基本的に健康保険が適用される疾患であるため、まずは皮膚科もしくは形成外科の受診が基本となります。
どの科にいくべきか迷う場合の判断基準
実際に「どちらの科に行くべきか迷う」という方も多いでしょう。その場合は、以下を目安にするとよいでしょう。
| 形成外科 | 皮膚科 |
|---|---|
| ・しこりが長期間消えない ・徐々に大きくなっている ・手術を検討している ・顔や首などの目立つ場所にある |
・粉瘤かほかのできものか判断できない ・初めてしこりができていることに気づいた ・まず診断だけ受けたい |
粉瘤は放置すると悪化する可能性があるため、早めに受診することが大切です。
粉瘤とは
粉瘤とは、皮膚の下に袋状の組織(嚢腫)ができ、その中に垢や皮脂などの老廃物がたまる良性腫瘍です。数mm程度の小さなふくらみから始まり、初期は痛みやかゆみを感じないケースが一般的です。
ただし、時間の経過とともに徐々に大きくなることがあり、炎症を起こすと赤み・腫れ・痛みなどの症状が出ることがあります。
粉瘤は自然に治癒することはありません。また、内部にある袋状の組織を取り除かない限り再発する可能性があります。
粉瘤ができる原因について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
粉瘤(アテローム)の原因とは?できる理由・炎症・治療法を解説!
粉瘤を放置するリスク
粉瘤は良性腫瘍であるものの、放置すると次のようなリスクが生じます。
- ・炎症を繰り返し、赤み・腫れ・痛みが悪化する
- ・痛みが強くなり日常生活に支障が出る
- ・感染症を起こし膿や独特の強い臭いを伴う
- ・徐々に大きくなり手術時に身体への負担が大きくなる
- ・炎症を繰り返すことで傷跡が残りやすくなる
特に、炎症を起こした状態のまま放置すると、治療の難易度が高くなります。早期に専門医を受診することで、身体に負担の少ない治療が可能です。
なお、炎症性粉瘤については以下の記事で詳しく解説しています。
粉瘤の治療と受診から手術までの流れ
粉瘤の治療は、外科的手術による切除が基本です。代表的な手術方法として、粉瘤を切開して取り除く「切開法」と、小さな穴から内容物と袋を取り出す「くり抜き法」があります。術式は、粉瘤の状態によって選択されます。
手術までの一般的な流れは以下のとおりです。
- ・医療機関で診察・診断
- ・粉瘤の状態の確認(炎症の有無など)
- ・治療方針の決定
- ・局所麻酔を行い手術(日帰り)
- ・術後の経過観察
多くの場合は日帰り手術が対応可能であり、身体への負担は比較的軽い治療とされています。
当院(梅田形成外科)の粉瘤治療の強み
当院では、形成外科専門医による診断と手術を行い、できるだけ傷跡を目立たせない治療を重視しています。
豊富な経験を持つ「日本形成外科学会認定 形成外科専門医」が執刀
形成外科クリニックを選ぶ上で最も重要なのは、形成外科専門医が手術を行っているかどうかです。
形成外科専門医資格は、医師免許取得後に2年間の初期臨床研修を終え、さらに4年以上の厳しい専門医研修を経て、資格試験に合格した医師のみに与えられます。当院では、この高度な知識と緻密な技術を認められた形成外科専門医が、数多くの粉瘤手術を担当しております。
プライバシーに配慮した女性医師による診察・手術
粉瘤は、胸周りや臀部(お尻)、デリケートゾーンなど、人に見られにくい部位にできることも珍しくありません。男性医師には患部を見せづらいと受診をためらってしまう方のために、当院では女性医師による診察および手術にも対応しております。デリケートな部位のしこりでお悩みの女性患者様も、安心してご相談いただけます。
組織生検による正確な診断と、大学病院等との連携体制
当院では、摘出した組織の生検(病理検査)を行い、医学的根拠に基づいた正確な診断を行っています。そのため、イボやほくろ、その他の類似疾患との鑑別が確実に可能です。
また、万が一悪性の疑いがある場合や、全身麻酔での手術が必要と判断したケースでも、連携する大学病院等の高度医療機関へスムーズにご紹介できる安全なサポート体制を整えています。
健康保険適用・日帰り手術対応で負担を最小限に
粉瘤の検査から診断、手術に至るまで、当院での一連の治療はすべて健康保険適用で行っています。(民間の医療保険の給付対象になる場合もあります。)
また、多くの粉瘤は入院不要の日帰り手術が可能です。手術自体は5~20分程度で終了するため、お身体への負担も少なく、お仕事などで忙しい方でも無理なく治療を受けていただけます。予約制を導入しており、院内での待ち時間軽減にも努めています。
粉瘤に関するよくある質問(Q&A)
Q. 粉瘤は自然に治りますか?
A. 自然に治ることはありません。根本治療には、袋状の組織を取り除く手術が必要です。
Q. 粉瘤は自分で潰して中身を出してもいいですか?
A. 絶対に自分で潰さないでください。無理に押し出すと、周囲の皮膚組織を傷つけたり、細菌が入り込んで強い炎症(化膿)を引き起こしたりする危険があります。また、袋状の組織が残っている限り何度でも再発します。
Q. 粉瘤はニキビとどう違うのですか?
A. 粉瘤とニキビは見た目が似ていますが、原因や治療方法などまったく異なる疾患です。ほかの疾患との違いは以下のページで詳しく紹介しています。
内部リンク:粉瘤と尋常性痤瘡(ニキビ)の違い – 大阪梅田形成外科粉瘤クリニック
内部リンク:こぶのような粉瘤と、類似疾患について – 大阪梅田形成外科粉瘤クリニック
Q. 粉瘤の手術は痛いですか?
A. 手術中は局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じる程度です。術後に麻酔が切れると軽い痛みが出ることがありますが、痛み止めで十分に抑えられる範囲です。
Q. 保険は適用されますか?
A. 粉瘤の治療は、健康保険の適用対象です。
Q. 一度手術をして切除すれば、再発しませんか?
A. 適切な手術で袋状の組織を完全に取り除けば(切除すれば)、同じ場所からの再発はほとんどありません。ただし、体質によって別の場所に新しい粉瘤ができることはあります。
まとめ
粉瘤は、形成外科または皮膚科を受診するのが基本です。手術による根本治療や、傷跡の仕上がりを重視する場合は手術を専門分野とする形成外科が適しています。
粉瘤は自然に治ることはありません。放置すると、炎症や腫れ、痛みが強くなったり徐々に大きくなったりすることがあります。そのため、気になるしこりや違判断がある場合は、早い段階で医療機関を受診することが大切です。
当院では、形成外科専門医による診察と手術により、粉瘤の状態に応じた適切な治療を行っています。傷跡や仕上がりにも配慮した治療を心がけておりますので、粉瘤が疑われるしこりや治りにくいできものがある場合は、お早めにご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。












