粉瘤(アテローム)の手術動画 摘出方法を症例とともに解説

※ 本記事には粉瘤(アテローム)の手術映像や摘出シーンが含まれています。血液や摘出物が映る場合がありますので、苦手な方はご注意ください。

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできた袋状の組織の中に、角質や皮脂などの老廃物が蓄積して発症する良性腫瘍です。インターネット上では、粉瘤の中身が勢いよく飛び出す摘出動画などがよく視聴されており、「ニキビのように中身を出せば治るのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、実際の手術動画の症例を紹介しながら、ただ中身を押し出すのではなく「なぜ袋ごと取り出す必要があるのか」など、正しい摘出方法や再発を防ぐために大切なポイントについて解説します。

粉瘤の基礎知識や原因についての詳しい解説は、「粉瘤(アテローム)の原因とは?できる理由・炎症・治療法を解説!」の記事をご覧ください。

 

粉瘤(アテローム)の手術動画

手術動画①背中の約4cmの粉瘤をくりぬき法(へそ抜き法)で摘出

背部にできた約4cmの粉瘤を3mmのトレパン(円形メス)を用いたくりぬき法で摘出しています。

手術というと大きく切開するイメージを持つ方もいますが、粉瘤の状態によっては小さな穴を開けるのみで摘出できるケースがあります。くりぬき法は傷跡をできるだけ小さく抑えられることが特徴です。

術後は7~10日程度で抜糸を行い、その後傷跡は徐々に目立たなくなります。

手術動画②耳に複数発生した粉瘤の摘出

耳周辺に複数ある粉瘤の摘出動画です。今回は2ヶ所摘出していますが、ほかにも複数の粉瘤が残っている状態でした。耳は皮脂腺が多く、粉瘤ができやすい部位の一つです。

小さいうちは症状がなくても、放置することで徐々に大きくなり、炎症を起こすリスクが高まります。特に耳周辺は見た目が気になりやすい部位でもあるため、大きくなる前に早めに手術することをおすすめします。

 

手術動画③粉瘤摘出時の袋(嚢胞)の除去

粉瘤治療で最も重要なのは、中身の老廃物だけでなく「袋(嚢胞)」を完全に取り除くことです。動画では内容物を押し出すだけではなく、粉瘤の原因となっている袋状の組織も一緒に摘出しています。

粉瘤は袋が残っている限り、角質や皮脂がそこに蓄積し、再発してしまいます。そのため、根本治療には袋ごとの摘出が必須となります。

手術動画④頸部(首)にできた7cmの巨大粉瘤

頸部にできた約7cmの非常に大きな粉瘤の症例です。長時間放置された粉瘤は徐々に大きくなり、動画の患者様のように数cm以上に増大することがあります。

本症例では、5mmのトレパンを用いて摘出しています。首は目立つ部位のため、傷跡に最大限配慮した治療が重要になります。

 

手術動画⑤炎症前の粉瘤のくりぬき法

この動画は、くりぬき法による粉瘤手術です。今回は3mm大のトレパンを使用しました。

粉瘤が炎症を起こしていない場合は、スムーズに嚢胞を摘出できます。一方で、炎症や感染を起こした粉瘤は周囲組織との癒着が強くなり、摘出の難易度が上がります。そのため、炎症が起こる前の治療が理想的です。

手術動画⑥臀部(おしり)の非感染性粉瘤

臀部(おしり)の感染を伴わない粉瘤をくりぬき法で摘出した症例です。粉瘤の大きさは約4cmで、6mmサイズのトレパンを使用しました。

感染の既往がない場合は、腫瘍の周囲を剥離すれば比較的スムーズに粉瘤を摘出できます。創部は一部縫合し、血腫予防として穴を少し開けた状態で経過を診ます。

感染してしまうと、一塊に腫瘍を摘出することが困難になるため、早めの切除をおすすめします。

 

症例動画で飛び出しているものの正体とは?

粉瘤の動画で飛び出してくる内容物は、主に以下のものです。

  • ・古い角質
  • ・皮脂
  • ・老廃物

 
これらが袋の中に長期間蓄積することで、しこりとして大きくなります。また、粉瘤独特の悪臭が発生することがありますが、これは内容物が長期間袋の中で変性し、細菌が繁殖することが原因です。

詳しくは「粉瘤の臭いについて」をご覧ください。

 

粉瘤が飛び出す状態になるのはなぜ?

粉瘤の内容物が外に飛び出してしまう主な原因は以下のとおりです。

原因 詳細
内部に老廃物が蓄積 袋の中で角質や皮脂が作られ続け、時間の経過とともに内容物が増加し、内部圧力が高まって自然に破裂する
外部からの圧力 摩擦や圧迫など外部からの物理的な力によって内容物が押し出される
炎症による破裂 細菌感染などにより炎症を起こして膿が溜まり、皮膚が耐えきれずに破れる

炎症を起こして赤く腫れた状態については「炎症性粉瘤について」で詳しく解説しています。

 

粉瘤を自分で潰してはいけない理由

動画を見て「ニキビのように自分で出してみよう」と思う方もいるかもしれませんが、次のような理由から自分で潰すことは絶対に避けてください。

おすすめできない理由 具体的な症状
炎症が悪化する 無理に圧迫すると、皮膚の下で袋が破れ、周囲の組織に内容物が広がり、炎症が激化する可能性がある
感染症を引き起こす 不衛生な手や器具で触ることで細菌が入り込み、化膿することがある
再発しやすくなる 自分で内容物を押し出しても袋は皮膚の下に残るため、再び老廃物が溜まり粉瘤が再発する

仮に自分で処置して一時的にしこりが小さくなったとしても、数ヶ月後に再発する可能性が非常に高いです。炎症を繰り返すと周囲の組織と癒着し、結果としてクリニックでの治療が難しくなり、傷跡も残りやすくなってしまいます。

 

粉瘤の手術による根本治療

粉瘤を根本的に治療するには、袋ごと摘出する手術が必要です。主な方法は以下の2とおりです。

くりぬき法 切開法
方法 特殊な円筒状のメス(トレパン)で小さな穴を開け、そこから内容物と袋を引っ張り出して摘出する メスで皮膚を紡錘形(木の葉型)に切開し、粉瘤を袋ごと取り出して縫合する
メリット 傷跡が小さく目立ちにくい
手術時間が短く体への負担が少ない
大きな粉瘤にも対応可能
再発率を極めて低く抑え、確実に摘出できる

粉瘤のサイズや炎症の有無によって、適切な術式は異なります。

手術の流れやダウンタイムの詳細は「粉瘤の手術・治療方法」をご覧ください。

 

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。