※本ページには粉瘤(アテローム)の症例画像を掲載しています。患部の状態や摘出後の写真が含まれるため、画像によっては刺激が強いと感じられる場合があります。閲覧の際はご注意ください。
粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織ができ、角質や皮脂が溜まることで生じる良性の腫瘍です。顔・耳・首・背中・臀部など全身のさまざまな部位に発生します。放置すると徐々に大きくなったり、炎症を引き起こしたりする可能性があるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
本記事では、実際の症例写真をもとに、部位別の特徴・原因・治療方法について形成外科専門医の視点から詳しく解説します。
粉瘤(アテローム)の基本知識
粉瘤は初期段階では小さなしこり程度ですが、時間の経過とともに徐々に大きくなり、数cm以上に達することもあります。
粉瘤の主な特徴は、以下のとおりです。
- ・皮膚の下に可動性のあるしこりができる
- ・中央に黒い開口部(へそ)が見られることがある
- ・破裂すると独特な臭いのある内容物が出ることがある
- ・炎症時は強い痛みと腫れを伴う
症状の出方は個人差がありますが、早期の対応が重要な疾患です。
粉瘤の症例画像
首の粉瘤画像と症例
頸部(首)にできた約3cm大の粉瘤です。3mmパンチによる切開を行い、袋ごと摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:術後1ヶ月
術後1ヶ月は、傷が一番かたくなる時期です。3~6ヶ月程度でやわらかくなり、傷跡もさらに目立たなくなります。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
首にできる粉瘤の特徴
首は皮脂腺が比較的多く、衣類の襟や髪の毛による摩擦が起こりやすい部位です。刺激が与えられることで、粉瘤が発生しやすくなります。
また、目立ちやすい部位であるため、早期治療を希望する患者様が多い傾向があります。
首に粉瘤ができる原因
首に粉瘤ができる主な原因は以下のとおりです。
- ・毛穴の詰まり
- ・皮膚の微細な損傷
- ・慢性的な摩擦刺激(襟・マフラーなど)
- ・過剰な皮脂分泌
このような原因が複合的に作用し、皮膚内に袋状の組織(嚢胞)が形成されます。
首の粉瘤の手術・摘出方法
首の粉瘤の治療は、外科手術による摘出が基本です。
- ・小さいサイズ:くりぬき法(パンチ法)
- ・大きいサイズ:切開法
炎症を起こしている場合は、切開排膿で感染をコントロールし、その後に手術を行います。
耳の粉瘤画像と症例
次に、耳の後ろにできた粉瘤です。くりぬき法で切除することもできますが、皮膚の余りや美容面を考慮し、切開法により摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:術後1週間
術後1週間の抜糸時点ではまだ治癒経過ですが、今後さらに瘢痕は改善していきます。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
耳たぶ・耳の裏にできる粉瘤の特徴
耳の周りは、ピアス・マスク・メガネ・イヤホンなど、外的刺激が多い部位です。また、皮膚が薄く炎症が広がりやすいため、腫れや痛みが強く出るケースもあります。
耳に粉瘤ができる原因
耳に粉瘤ができる理由として、以下の要因が複合的に作用していると考えられています。
- ・外的圧迫(ピアスホール・メガネなど)
- ・皮膚の微細な損傷
- ・慢性的な摩擦刺激
特に同じ部位への刺激が継続することで発生リスクが高まります。
耳の粉瘤の手術・摘出方法
耳は目立つ部位にあるため、見た目や傷跡に配慮した手術が行われます。
- ・皮膚のラインに沿った切開
- ・嚢胞を完全摘出
- ・必要に応じて炎症が落ち着いた後に手術
再発防止には、袋の完全除去が重要です。
臀部(おしり)の粉瘤画像と症例
臀部にできた比較的大きな粉瘤で、くりぬき法により摘出しています。

写真:手術前

写真:内容物

写真:1ヶ月後
術後1ヶ月時点では創部に硬さがありますが、時間の経過とともに徐々にやわらかくなり、日常生活への支障も軽減していきます。
主なリスク:傷跡・ケロイド・内出血・疼痛・再発
臀部にできる粉瘤の特徴
臀部は長時間の座位や蒸れが発生しやすく、粉瘤ができやすい環境にあるといえます。また、下着との摩擦も発症する要因となります。
皮下脂肪が多いため、皮膚の深い場所にできやすいのも特徴です。特に、炎症を起こすと歩行や座ることが困難になるため、まずは炎症を抑えることが優先されます。
臀部に粉瘤ができる原因
臀部に粉瘤ができる主な原因は以下のとおりです。
- ・長時間座ることにより皮膚が圧迫されやすい
- ・蒸れやすく毛穴が詰まりやすい皮膚環境
- ・皮脂や角質が溜まりやすい
- ・皮膚への摩擦が多い
臀部は外部からの刺激だけではなく、皮膚の構造や環境から粉瘤ができやすいと考えられています。
臀部の粉瘤の手術・摘出方法
臀部の粉瘤もほかの粉瘤と同様、再発防止のために完全摘出することが重要です。
炎症がない状態であれば、局所麻酔を行うことで比較的短時間に手術を行えます。術後の痛みや腫れも抑えやすく、日常生活への影響も最小限で済みます。
炎症がある場合は、排膿処置を行い、炎症が治まった後に手術を行うのが一般的です。
粉瘤の炎症症例
粉瘤は細菌感染を起こすと炎症性粉瘤となり、急激に症状が悪化します。主な症状は以下のとおりです。
- ・赤く腫れ強い痛みを伴う
- ・熱感
- ・膿の排出

炎症性粉瘤の場合、いきなり手術することは難しい場合が多く、まずは切開して膿を排出し、炎症を落ち着かせる処置が優先されます。
炎症を繰り返すと皮膚の癒着が強くなり、手術の難易度や傷跡が大きくなる傾向があります。
粉瘤を放置するリスク
粉瘤を放置すると、以下のようなリスクがあります。
- ・徐々に大きくなる
- ・炎症を繰り返す
- ・痛みが強くなる
- ・手術範囲が大きくなる
- ・傷跡が残る可能性が高くなる
粉瘤は自然治癒することはありません。内部の老廃物を自分で絞り出しても袋が残っている限り再発します。特に炎症を起こすと治療が複雑になるため、早めに医療機関を受診することが重要です。
粉瘤と似たしこりや、放置する詳しいリスクについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
粉瘤と似ているできものの違いや見分け方
粉瘤を放置するとどうなる?
粉瘤の治療方法
症例からもわかるように、粉瘤の治療は外科的手術で袋ごと摘出するのが一般的です。主な治療方法は以下のとおりです。
- ・くりぬき法
- ・切開法
いずれの方法も重要なのは、袋(嚢胞)を完全に取り除くことです。取り残しがあると、再発するリスクが高まります。
当院の手術時間は短く、日帰りで対応可能です。お忙しい方でもスムーズに治療を受けられる体制を整えております。
各手術方法の詳しい手順や、治療にかかる料金等については、以下のページで詳しく解説しています。
粉瘤(アテローム)の治療方法・日帰り手術について
まとめ
粉瘤は、首・耳・臀部などさまざまな部位に発生する良性腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなったり炎症を起こして痛みや腫れを伴ったりすることがあります。
当院では、粉瘤の状態や発生部位に応じて、傷跡や再発リスクに配慮した治療を行っています。「できるだけ傷を目立たせたくない」「痛みが出てきて不安」といったお悩みにも丁寧に対応いたします。
早期に適切な治療を受けることで、身体的な負担や治療期間を抑えられる可能性があります。気になるしこりや腫れがある方は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
その他の症例をブログにて画像と動画を合わせて解説しています。
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院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。












