粉瘤(アテローム)とは

 

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤(アテローム)の定義とは

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に垢や皮脂などの老廃物が溜まった良性の腫瘍のことです。医学的には、アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれます。はじめは、触れると小さなしこりがあるように感じる程度ですが、時間の経過とともに次のような症状が現れる場合があります。

・サイズが大きくなる
・細菌感染などにより炎症を起こす
・赤く腫れて強い痛みを伴う
・独特のにおいを発する

ニキビと勘違いされることがありますが、粉瘤は自然治癒することはありません。粉瘤は袋状の組織を完全に除去しない限り治ることはありません。サイズが大きくなると綺麗に治すことが困難になるため、できるだけ早い段階で受診することが推奨されます。当院では数センチあるものでも当日手術を行っております。手術自体は5~10分程度で、長くても20分以上になることはほとんどありません。
粉瘤について動画で解説しています。

 

粉瘤ができる原因

粉瘤ができる原因は、完全に解明されていません。多くの場合は、はっきりとした原因が特定できず、いくつかの要因が組み合わさって発生すると考えられています。ここでは、粉瘤の形成に関与していると考えられる主な要因について解説します。

切り傷や擦り傷などの皮膚の外傷

粉瘤ができる要因の一つは、皮膚の外傷です。例えば、次のような外傷がきっかけになることがあります。

  • ・切り傷
  • ・擦り傷
  • ・強い摩擦や圧迫

外傷により皮膚の一部が皮膚の内部に入り込むと、内部で角質を作ります。その結果、皮膚の中に袋状の組織が形成され、内部に角質や皮脂が蓄積して粉瘤が形成されると考えられています。

体質的な要因

体質的に粉瘤ができやすい方もいます。皮脂分泌が多い方や、摩擦が起こりやすい部位に刺激が加わりやすい生活環境の方は、粉瘤ができやすいことがあります。同じ部位に繰り返し発生したり、同時に複数の粉瘤ができたりするケースも珍しくありません。

毛穴の詰まり

粉瘤は、毛穴の詰まりや何らかの理由で毛穴の構造が変化したり、出口が塞がってしまうと内部に角質が溜まりやすくなり粉瘤ができやすくなります。特に皮脂分泌が多い部位は、粉瘤ができやすい傾向があります。

なお、毛穴の詰まりが関係するといっても、不衛生なことが直接の原因で粉瘤ができるわけではありません。粉瘤は皮膚の内部で袋状の構造が形成されることが原因であり、日常的に皮膚を清潔に保っていても発生することがあります。

ヒトパピローマウイルス感染

一部の研究ではヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関係していると考えられています。HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスです。

ただし、HPV感染による発症は非常にまれであり、すべての粉瘤がウイルス感染によって起こるわけではありません。

 

粉瘤が炎症を起こす原因

粉瘤が赤く腫れて痛みを伴う場合、次のような原因が考えられます。

  • ・細菌感染
  • ・嚢胞(袋)の破裂による炎症反応

近年では、粉瘤の炎症の多くが細菌感染ではなく、嚢胞の破裂による異物反応で起こると考えられています。嚢胞が圧力などで破れると、中の老廃物が皮膚内部に広がり、免疫反応によって炎症が起こります。

この場合、抗生物質を使っても思うような治療効果は得られません。ただし、細菌感染が合併している場合は、抗生物質の処方を行うケースもあります。

 

粉瘤を放置してはいけない理由

粉瘤は良性腫瘍ですが、放置することで症状が悪化したり、治療の負担が増えたりする可能性があります。小さいうちは、痛みもなく「様子を見てもよいのでは」と考える方も多いですが、早めに医療機関で診察を受けることが大切です。

ここでは、粉瘤を放置することで起こり得る主なリスクについて解説します。

炎症が悪化し大きくなる

小さな粉瘤でも炎症を起こし、大きくなることがあります。炎症が起きると、赤み・熱感・痛みなどの症状が現れ、短期間で大きく腫れ上がりそうです。

炎症が強いと落ち着くまで摘出手術を行えないため、治療期間が長くなる可能性があります。また、大きな粉瘤ほど切開範囲が広くなるため、早期に治療した場合と比べて体への負担が大きくなります。特に、強い炎症や膿瘍を繰り返した場合、きれいに縫合しても瘢痕(はんこん)が残りやすくなります。

膿瘍(のうよう)を形成する

炎症が進行すると、粉瘤の内部や周囲に膿が溜まり、膿瘍(のうよう)を形成します。膿瘍が形成されると、腫れがさらに大きくなり、強い痛みや熱感を伴うことが一般的です。

膿が皮膚の下で増えていくと、やがて皮膚が破れて自然に破裂することもあります。悪臭を伴う膿や内容物が排出されますが、袋状の組織は皮膚の下に残っているため、根本的に治ったわけではありません。

まれに悪性腫瘍の可能性がある

非常にまれではあるものの、粉瘤に似た別の腫瘍が潜んでいる場合があるため注意が必要です。例えば、皮膚がんなどの悪性腫瘍が粉瘤と似たしこりとして見つかるケースがあります。

 

粉瘤の治療方法

粉瘤の根本的な治療方法は、手術による摘出です。袋状の組織を完全に取り除かなければ再発する可能性があります。

粉瘤の手術は局所麻酔で行うことが多く、外来で受けられる日帰り手術が一般的です。主な手術方法には、次の2つがあります。

くりぬき法

くりぬき法は、特殊な器具で粉瘤に小さな穴をあけ、そこから粉瘤を摘出する方法です。内容物を絞り出した後に、しぼんだ粉瘤の袋を抜き取ります。比較的傷が小さく、体への負担が少ない手術方法です。

Step1

Step1腫瘍周囲に局所麻酔を行います。

Step2

Step2トレパンまたはメスを使用し、皮膚を小さく、くり抜きます。

Step3

Step3内容物を排出します。

Step4

Step4被膜を丁寧に取り除きます。

Step5

Step5十分に止血を行い、創部の閉創を行います。

治療法2:切開法

腫瘍の直上に切開を加え、粉瘤を丸ごと切除します。
再発率も低く、切開法による手術を選択させて頂く場合もあります。

Step1

Step2腫瘍周囲に局所麻酔を行います。

Step2

Step3メスで切開します。

Step3

Step4内容物を排出します。

Step4

Step5腫瘍を一塊に摘出します。

Step5

Step6dog earを作らないように紡錘形に切開ラインをデザインします。

Step6

Step1十分に止血を行い、創部の閉創を行います。

その他の粉瘤の手術動画

 

粉瘤の症例

ここでは、粉瘤の術前・ 術後の症例写真を紹介します。粉瘤は発生する部位や大きさによって見た目が異なります。

術後1ヶ月程度で傷は徐々に目立たなくなっていきます。一般的に、術後3ヶ月~6ヶ月ほどでさらに目立たなくなります。

 

粉瘤の治療にかかる費用

粉瘤は、部位や大きさによって治療費が異なります。費用の目安は以下のとおりです。

部位 粉瘤の直径 3割負担の目安 1割負担の目安
露出部
(顔・首・肘~指先・膝~足先)
2cm未満 5,000~6,000円程度 約2,000円
2cm〜4cm未満 11,000~12,000円程度 約4,000円
4cm以上 13,000~14,000円程度 約4,500円
非露出部
(露出部以外)
3cm未満 4,000〜5,000円程度 約1,500円
3cm〜6cm未満 10,000〜11,000円程度 約3,500円
6〜12cm未満 12,000〜14,000円程度 約4,500円
12cm以上 25,000円程度 約8,000円

お支払いは現金のみとなります。
※診察料・処方料・検査費用約1,000円、病理検査費約3,000円の別途費用がかかります。

 

手術後のケアと副作用

手術後は、ガーゼを貼った状態でご帰宅いただきます。毎日ガーゼを交換し、出血や浸出液が落ち着いてきたらテープで保護します。

手術後には、次のような副作用やリスクが生じる可能性があります。

  • ・ケロイドなどの傷跡
  • ・疼痛
  • ・内出血
  • ・麻酔薬や処方薬によるアレルギー
  • ・再発

手術当日と翌日の飲酒・運動は出血の可能性があるため控えてください。また、感染症を避けるため、手術当日の入浴も控えていただくようお願いしています。

 

当院の特徴

当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診察と治療を大切にしています。

診察に基づいた治療のご提案

まず粉瘤かどうかを判断し、状態(大きさ・炎症の有無など)を確認したうえで適切な治療方法をご提案します。

痛みに配慮した手術

手術は局所麻酔を使用し、痛みを最小限に抑えるよう配慮しています。麻酔時の痛みにも配慮し、極細針の使用や薬剤の工夫を行っています。

日帰り手術に対応

粉瘤の摘出手術は、基本的に日帰りで行っています。炎症性の粉瘤にも対応可能ですが、状態によっては段階的な治療を行う場合があります。

保険適用で治療可能

粉瘤の診察・手術・病理検査には健康保険が適用されます。また、加入されている医療保険の内容によっては手術給付金の対象となる場合があります。

 

粉瘤はできるだけ早く摘出手術を

粉瘤は、ニキビやおできと並んでよく見られる疾患です。ただし粉瘤は、手術で袋状の組織を取り除かない限り根治することはありません。

放置しても自然に治ることはなく、無理に潰すと炎症を引き起こすリスクがあります。

また、時間の経過とともに徐々に大きくなり、臭いを伴ったり傷跡が目立ちやすくなったりすることもあります。皮膚にしこりのようなものを感じた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

 

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

他にも多くの治療について解説しております。