粉瘤の中身は何?白い・臭い内容物の正体や出てきたときの注意点を形成外科専門医が解説

粉瘤の中身は、皮膚の下にできた袋の中にたまった角質や皮脂です。白っぽいかゆ状のものや、においのある内容物が出ることがありますが、脂肪の塊とは異なります。

中身が出ても、袋が残っていれば再びたまることがあります。押し出したり、針を刺したりせず、出ているものは清潔なガーゼなどで軽く受け止めてください。痛みが強い、赤みや腫れが広がる、発熱があるときは、早めに受診してください。

この記事では、中身の正体とにおいの理由、出てきたときの注意点、受診や治療を考える目安を解説します。

粉瘤の中身は何?

粉瘤の構造イメージ

粉瘤の中身は、皮膚の垢のもとになる角質や、皮脂、そのほかの老廃物が袋の中に溜まったものです。医学的には粉瘤は「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」と呼ばれ、皮膚の下に袋状の組織ができ、その内部に内容物が蓄積していきます。

白い・黄色い内容物が出ることがある

粉瘤の中身は、白色や黄白色のことが多く、ペースト状・粥状・おから状の見た目をしている場合があります。小さい粉瘤では固形に近いこともありますが、炎症を起こしていると柔らかくなったり、膿が混ざって液状に近くなったりすることもあります。

臭いのある中身が出るのはなぜ?

粉瘤の内容物は、袋の中に長く溜まっていた角質や皮脂が変性することで、独特の臭いを発することがあります。特に内容物が外に出たとき、「強い臭いがする」と感じる方も少なくありません。臭いがあるからといって必ずしも重症とは限りませんが、赤み・熱感・痛みを伴う場合は炎症性粉瘤の可能性があります。

粉瘤の中身は膿や脂肪と同じではない

粉瘤の中身は、一般的にイメージされる「脂肪の塊」とは異なります。脂肪腫は脂肪細胞が増殖した腫瘍ですが、粉瘤は袋の中に角質などが溜まる病変です。また、炎症を起こすと膿が混ざることがありますが、通常の粉瘤の中身そのものは膿とは別です。

中身が出ても治ったわけではない

粉瘤は、中身が出ると一時的に小さくなったように見えることがあります。しかし、原因となる被膜(袋)が皮膚の下に残っている限り、再び内容物が溜まり、再発する可能性があります。根本的に治すには、袋ごと摘出する治療が必要です。

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤(アテローム)とは、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まって生じる良性腫瘍です。触るとしこりのように感じることが多く、徐々に大きくなったり、炎症を起こして赤みや痛みを伴ったりすることがあります。

粉瘤は自然に治ることがほとんどありません。内容物が出て小さく見えても、袋が残っていれば再発する可能性があります。

中心に黒い点のような開口部(いわゆるヘソ)が見られることもあり、そこから臭いのある内容物が出る場合があります。顔、首、背中、耳の後ろ、わき、鼠径部など、全身のさまざまな部位にできます。

粉瘤ができる原因

粉瘤は、皮膚の成分を作る細胞が袋状になり、その中に角質などがたまることで生じます。多くは毛穴につながる部分からできますが、なぜその袋ができるのかは、はっきりしない場合が多くあります。

手のひらや足の裏などでは、けがをきっかけに皮膚の細胞が内部へ入り込んで生じることもあります。ただし、すべての粉瘤を外傷や毛穴の汚れで説明することはできません。「不潔だからできた」「ストレスや摩擦が直接の原因」と決めつける必要はありません。

▶顔にできる粉瘤について詳しく知りたい方はこちら

できたしこりを自分でつぶすと、袋が破れて炎症を起こすおそれがあります。できた原因を探して強く洗ったり、繰り返し押したりすることは避けましょう。

参考:日本皮膚科学会「アテロームにはどんな種類がありますか?」、日本皮膚科学会「化膿することがあると聞きましたが?」

粉瘤が炎症を起こす原因

粉瘤が赤く腫れて痛みを伴う場合は、袋の中の内容物が皮膚の下に漏れ出したり、細菌感染が起こったりしている可能性があります。

特に、粉瘤の中身が袋の外へ漏れると、体が異物とみなして強い炎症反応を起こし、急な腫れ・熱感・痛みを伴う炎症性粉瘤になることがあります。

炎症が起きると、内容物に膿が混ざったり、押すと強く痛んだり、皮膚が破れて排膿したりすることもあります。炎症が強い時期は、まず炎症を落ち着かせる処置が優先される場合があります。

▶炎症性粉瘤について詳しく知りたい方はこちら

粉瘤を治療するかどうかの目安

痛みや腫れがなく、生活上も困っていない粉瘤は、診断を受けたうえで経過を見る選択肢があります。一方で、大きくなる、繰り返し炎症を起こす、内容物が出る、見た目や日常生活で気になる場合は、治療を相談する目安です。

袋を取り除くには手術が必要です。ただし、強い炎症があるときは、先に炎症や膿に対する処置を行う場合があります。すべての粉瘤に直ちに摘出が必要なわけではなく、状態と希望に応じて治療時期や方法を決めます。

参考:日本皮膚科学会「治療はどうしますか?」

炎症が悪化し大きくなる

小さな粉瘤でも、ある日突然赤く腫れて急激に大きくなることがあります。炎症が強い状態では、すぐにきれいに摘出できないこともあり、治療が段階的になる場合があります。

膿瘍(のうよう)を形成する

炎症が進行すると、粉瘤の内部や周囲に膿が溜まり、膿瘍を形成することがあります。強い痛みや熱感を伴い、皮膚が薄くなって破れると、膿や臭いのある内容物が出てくることがあります。

傷跡が目立ちやすくなる

粉瘤が大きくなってから治療すると、切除範囲も広がりやすくなります。特に顔や首などの目立つ部位では、早めに治療した方が傷跡を小さく抑えやすい傾向があります。

まれに別の病気が隠れていることがある

非常にまれではありますが、粉瘤に見えるしこりの中には、ほかの腫瘍や皮膚疾患が含まれることもあります。自己判断で放置せず、診察で確認することが大切です。

粉瘤と似たできものとの違い

粉瘤と似たしこりには、ニキビや脂肪腫、膿瘍などがあります。見た目が似ていても原因や治療法が異なるため、自己判断は禁物です。

粉瘤とニキビの違い

ニキビは毛穴の炎症で、毛穴に皮脂が詰まって起こります。比較的小さく、外用薬や内服薬で改善することもあります。一方、粉瘤は皮膚の下に袋ができる病変で、根本的に治すには袋ごとの摘出が必要です。

▶粉瘤とニキビの違いについて詳しくはこちら

粉瘤と脂肪腫の違い

脂肪腫は脂肪細胞からなる良性腫瘍で、やわらかく、比較的臭いのある内容物が出ることはありません。粉瘤は中心に開口部が見られたり、押すと中身が出たりすることがあります。

粉瘤と膿瘍の違い

膿瘍は細菌感染によって膿が溜まった状態です。赤みや熱感、ズキズキする痛みが強いことが多く、急性炎症が目立ちます。粉瘤が炎症を起こして膿瘍のような状態になることもあります。

粉瘤の治療方法

粉瘤の袋を取り除く方法には、くりぬき法や、皮膚を切開して摘出する方法があります。大きさだけでなく、部位、炎症の有無、皮膚との癒着などを診察し、適した方法を検討します。

いずれの方法でも傷跡が全く残らないとはいえず、出血・感染・再発などのリスクがあります。顔など目立つ部位では、傷の位置や術後の経過も含めてご説明します。

参考:日本皮膚科学会「治療はどうしますか?」

くりぬき法

特殊な器具で小さな穴をあけ、そこから内容物を出して、しぼんだ袋を取り除く方法です。切開が小さく、比較的傷跡を抑えやすいのが特徴です。

Step1
Step1腫瘍周囲に局所麻酔を行います。
Step2
Step2トレパンまたはメスで皮膚に小さな開口部を作ります。
Step3
Step3内容物を排出します。
Step4
Step4被膜(袋)を丁寧に取り除きます。
Step5
Step5十分に止血を行い、創部を閉創します。

切開法

粉瘤の直上を切開し、袋ごと一塊にして摘出する方法です。大きい粉瘤や、状態によってくりぬき法が適さない場合に選択されることがあります。

Step1
Step1腫瘍周囲に局所麻酔を行います。
Step2
Step2メスで切開します。
Step3
Step3必要に応じて内容物を排出します。
Step4
Step4腫瘍を一塊に摘出します。
Step5
Step5ドッグイヤー(皮膚の余り)を作らないよう、必要に応じて切開ラインを調整します。
Step6
Step6十分に止血を行い、創部を閉創します。

受診をおすすめする症状

次のような症状がある場合は、早めに受診してください。

  • ・しこりが徐々に大きくなっている
  • ・赤みや腫れがある
  • ・押すと痛みがある
  • ・熱感やズキズキした痛みがある
  • ・膿や臭いのある内容物が出ている
  • ・何度も同じ場所に繰り返している
  • ・急激に大きくなった
  • ・色の変化や出血がある

特に、中身が出たあとに赤み・痛み・熱感が強くなる場合は、炎症や感染が進んでいる可能性があります。粉瘤は袋を取り除かなければ根本的な改善が難しいため、自己処置を続けるのではなく、診察で状態を確認することが大切です。

▶痛みの原因や今すぐ抑えたい場合の対処法についてはこちら

粉瘤は何科に行けばいい?

粉瘤が疑われる場合は、皮膚科・形成外科・外科で診察を受けられます。どの診療科がよいか迷う方も多いですが、目的に応じて選ぶのがポイントです。

皮膚科は、粉瘤かニキビかなど、皮膚トラブル全般の診断に向いています。外科は炎症や化膿を伴う病変の処置に対応していることがあります。

一方で、顔や首などの目立つ部位にできた粉瘤や、手術後の傷跡が気になる場合は、形成外科での相談がおすすめです。形成外科では、摘出だけでなく、傷跡や仕上がりに配慮した治療を行いやすいという特徴があります。

粉瘤の検査方法

粉瘤は、視診や触診で診断できることが多い病気です。診察では、しこりの大きさ、硬さ、皮膚とのつながり、中心の開口部の有無、炎症の有無などを確認します。

しこりが深い場所にある場合や、急に大きくなった、硬くて動きにくいなど、ほかの病変との鑑別が必要な場合は、画像検査を行うことがあります。摘出後に必要と判断された場合には、病理検査を行うこともあります。

粉瘤の治療にかかる費用

粉瘤は健康保険が適用されることが一般的です。費用は部位や大きさ、処置内容によって異なります。以下は保険診療における目安です。

部位 粉瘤の直径 3割負担の目安 1割負担の目安
露出部
(顔・首・肘~指先・膝~足先)
2cm未満 5,000~6,000円程度 約2,000円
2cm〜4cm未満 11,000~12,000円程度 約4,000円
4cm以上 13,000~14,000円程度 約4,500円
非露出部
(露出部以外)
3cm未満 4,000〜5,000円程度 約1,500円
3cm〜6cm未満 10,000〜11,000円程度 約3,500円
6cm〜12cm未満 12,000〜14,000円程度 約4,500円
12cm以上 25,000円程度 約8,000円

※費用は保険診療の自己負担割合や処置内容により変動します。
※診察料・処方料・検査費用・病理検査費などが別途かかる場合があります。
※お支払い方法などの詳細は受診前にご確認ください。

手術後のケアと副作用

手術後は、ガーゼを貼った状態で帰宅していただくことが一般的です。出血や浸出液の状態をみながら、指示に従ってガーゼ交換やテープ保護を行います。手術当日〜翌日は、飲酒や激しい運動を控えるよう案内されることが多く、入浴についても制限がある場合があります。

手術後には、次のような副作用やリスクが生じる可能性があります。

  • ・傷跡や瘢痕、ケロイド
  • ・疼痛(痛み)
  • ・内出血
  • ・麻酔薬や処方薬によるアレルギー
  • ・感染
  • ・再発

これらの症状の出方には個人差があります。赤みが強い、痛みが増す、出血が続くなど気になる症状がある場合は、早めにご連絡ください。

当院の特徴

当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診察と治療を大切にしています。

診察に基づいた治療のご提案

まず粉瘤かどうかを見極め、大きさや炎症の有無、部位などを確認したうえで、適した治療方法をご提案します。

痛みに配慮した手術

局所麻酔を使用し、痛みにできるだけ配慮した手術を行います。麻酔時の負担軽減にも配慮しています。

日帰り手術に対応

粉瘤の摘出手術は、基本的に日帰りで対応しています。炎症がある場合も、状態に応じて段階的な治療をご案内します。

傷跡をできるだけ目立たせない工夫

形成外科ならではの縫合技術や器具を用い、できるだけ傷跡が目立ちにくい仕上がりを目指します。

保険適用で治療可能

粉瘤の診察・手術・病理検査には健康保険が適用されるのが一般的です。加入されている医療保険の内容によっては、手術給付金の対象となる場合があります。

粉瘤に関するよくある質問

粉瘤の中身は何ですか?

 粉瘤の中身は、角質や皮脂などの老廃物です。白色〜黄白色のペースト状の内容物が出ることがあり、独特の臭いを伴うこともあります。

粉瘤の中身が出たら治ったということですか?

 いいえ、中身が出て小さくなっても、皮膚の下に袋が残っていれば再発する可能性があります。根本的な治療には袋ごとの摘出が必要です。

粉瘤は何科を受診すればいいですか?

 皮膚科・形成外科・外科で相談できます。特に顔や首などの目立つ部位や、傷跡が気になる場合は形成外科での相談がおすすめです。

粉瘤は自然に治りますか?

 粉瘤は自然に治ることがほとんどありません。内容物が外に出ても、袋状の組織が残っていると再発することがあります。

粉瘤は痛いですか?

 炎症を起こしていない粉瘤は痛みがないこともあります。ただし、赤みや腫れ、細菌感染が加わるとズキズキとした強い痛みが出ることがあります。
炎症性粉瘤について

粉瘤は自分で潰してもいいですか?

 自分で潰すのは避けましょう。中身が出ても袋は残るため、根本治療にはなりません。無理に押し出すことで炎症や感染が悪化することがあります。

粉瘤の検査は必要ですか?

 視診や触診で診断できることも多いですが、しこりが深い場合や、ほかの病気との区別が必要な場合は追加の検査を行うことがあります。

手術時間はどれくらいですか?

 粉瘤の大きさや部位、炎症の有無によって異なります。小さな粉瘤であれば比較的短時間で終わることが多いですが、大きい場合や炎症がある場合は時間が長くなることがあります。

日帰りで手術できますか?

 局所麻酔で行うことが多いため、基本的には日帰りで対応可能です。ただし、状態によっては治療方針が異なるため、事前にご相談ください。

粉瘤は再発しますか?

 袋が残っていると再発する可能性があります。再発を防ぐためには、被膜ごと丁寧に摘出することが大切です。

粉瘤は薬で治せますか?

 粉瘤そのものを薬だけで治すことはできません。炎症を抑えるために抗生物質などを使うことはありますが、根本治療は摘出手術です。

粉瘤の中身が出たら、状態に応じて相談を

中身を出すだけでは、粉瘤の袋がなくなるとは限りません。繰り返し押し出すことは避け、痛みや赤み、腫れなどの変化を確認してください。

症状が強いときは早めに相談し、症状が落ち着いている場合も、繰り返す・大きくなる・気になるときは診察で今後の対応を一緒に考えていきます。治療の必要性や時期は一人ひとり異なります。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医としてさまざまな手術経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療に携わり、聖路加国際病院では顔面領域の形態手術、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術にも携わってきました。

この経験を活かし、全身にできる腫瘍の切除において、形成外科的な視点から機能面と整容面の両方に配慮した治療をご提供したいと考えています。