- 粉瘤(アテローム)の症状と進行段階
- 部位別に見る粉瘤(アテローム)の症例画像
- 粉瘤ができやすい部位と特徴
- 粉瘤は治療が必要?診断から手術までの流れ
- 形成外科で粉瘤を手術するメリット
- 粉瘤の手術方法と費用の目安
- 粉瘤手術の流れと術後の経過
- 皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科クリニック
- アクセス
「自分のしこりは粉瘤(ふんりゅう)なのか知りたい」
「どの段階なら手術が必要なの?」
「デリケートな部位にあるしこりだと治療できるか不安」
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に老廃物が溜まっていく良性の腫瘍です。医学的には「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれます。体のどこにでもできる可能性があり、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を起こして痛みや腫れを伴ったりすることもあります。
この記事では、粉瘤の基本的な特徴から、部位別の実際の症例画像、手術方法、術後の経過や費用目安まで、形成外科専門医が丁寧に解説していきます。
粉瘤(アテローム)の症状と進行段階
粉瘤は放置すると徐々に成長し、ある日突然、赤く腫れて強い痛みを伴う炎症を起こすことがあります。粉瘤特有の症状や、進行によって見た目や触感がどのように変わるのか、その段階別の特徴を詳しく解説します。
粉瘤の中身とにおいの原因
粉瘤は、本来であれば体の外に排出されるはずの角質・皮脂・垢が、皮膚の下にできた袋の中に溜まっていくことで形成されます。この袋は被膜と呼ばれ、被膜がある限り中身は少しずつ増え続けます。
被膜の中身は、老廃物が酸化・分解されたもので、独特の臭いを放つことが特徴です。圧迫するとドロドロとした粥状の物質が押し出されることがあります。また、においが強い場合は、内容物が長期間蓄積している可能性があります。
粉瘤の進行段階|初期・成長期・炎症期の特徴
粉瘤は一般的に、次のような経過をたどります。
- ・初期:数mm程度の小さなしこりとして触れる程度で、痛みはほとんどありません。中央に「へそ」のような黒い点(開口部)が見られることがあります。
- ・成長期:中身が徐々に蓄積し、しこりが大きくなっていきます。この段階でも自覚症状が少ないため、放置されるケースが多く見られます。
- ・炎症期:被膜が破れたり細菌感染が起こったりすると、赤み・腫れ・痛みを伴う「炎症性粉瘤」へと進行します。膿が溜まり、強い痛みや発熱を伴うこともあります。
粉瘤を自分で潰してはいけない理由
粉瘤の中身を自分で押し出したり、針で潰したりすることは避けてください。理由は主に以下の通りです。
- ・被膜は残ったままなので、中身を出しても再び溜まり再発する
- ・無理な圧迫により細菌感染を起こし、炎症が悪化する可能性がある
- ・自己処置による傷が治りにくく、かえって傷跡が目立ちやすくなる
粉瘤を根本的に治すには、中身だけでなく被膜そのものを取り除く必要があります。自己処置はせず、早めに医療機関にご相談ください。
部位別に見る粉瘤(アテローム)の症例画像
粉瘤はできる部位によって、皮膚の厚みや緊張、原因となる刺激が異なります。当院でよく見られる部位別の症例を画像とともにご紹介します。
右頬の粉瘤

右頬に1.5cm大の粉瘤が見られます。画像でも確認できる通り、中央にcomedo(コメド)というへそのような点が見られます。これが粉瘤の特徴です。この場合はくり抜き法の適応になります。1〜2mmのパンチと呼ばれる器具でくり抜き、中の被膜を取り出すことで、顔などの目立つ部位でも最小の傷跡で腫瘍を切除できます。
頭部粉瘤

こちらも中央にへそが見られ、くり抜き法の適応となります。毛髪がある部位のため、傷跡も比較的目立ちにくい位置にありますが、洗髪時の刺激やスタイリング剤の残りが治りにくい原因になることもあるため、術後は清潔を保つよう注意が必要です。
前胸部粉瘤

前胸部の腫瘍切除ではケロイドができやすいため、大きな切開には注意が必要です。ケロイド体質の方や過去に傷跡が盛り上がった経験のある方は、事前に医師にご相談ください。術後の経過によっては、傷跡をきれいに治すためにステロイドの注射を行う場合があります。
左上腕部粉瘤

約5cmの粉瘤の症例です。ここまで大きくなると、くり抜き法での腫瘍切除は少し難しくなり、切開を伴う方法が必要になるケースが増えてきます。ただし、炎症が起きていない状態であればくり抜き法が可能な場合もあります。粉瘤の大きさや状態によって手術方法は異なりますので、まずは診察の際にご相談ください。
粉瘤ができやすい部位と特徴
粉瘤は全身のさまざまな部位に発生しますが、皮脂腺が多い場所や、衣類との摩擦・圧迫を受けやすい部位では特にできやすい傾向があります。ここでは、その他の部位ごとの特徴や注意点を解説します。
背中の粉瘤
背中は面積が広く皮脂腺も多いため、粉瘤が発生しやすい代表的な部位です。自分では見えにくい場所のため、家族に指摘されたり大きく成長してから気づいたりするケースが多く見られます。面積が広いため複数個同時にできることもあります。リュックや寝具による摩擦で炎症を繰り返しやすい傾向があるため、サイズが小さいうちの治療が推奨されます。
耳・耳たぶ・ピアスホールの粉瘤
耳や耳たぶにできる粉瘤は、ピアスホールの周囲に発生することがあります。ピアスによる慢性的な刺激や、開けた際の傷が影響して袋状の構造ができることがあると考えられています。
耳周辺は軟骨に近く、組織が薄いため、炎症を起こすと痛みを感じやすく、目立つ場所でもあるため、傷跡への配慮がより重要になります。
陰部(デリケートゾーン)の粉瘤
陰部にできる粉瘤は、下着との摩擦や蒸れによって炎症を起こしやすい傾向があります。デリケートな部位であるため受診をためらう方も多いですが、放置すると腫れや強い痛みにつながることがあります。
当院をはじめ、女性医師による診察に対応している医療機関もあるため、不安な方は事前にご相談ください。
おしりの粉瘤
おしりは座る際に圧迫を受けやすく、粉瘤が炎症を起こしやすい部位です。摩擦や圧迫によって被膜が破れ、痛みや腫れを伴う炎症性粉瘤に進行するケースが多く見られます。
炎症を繰り返している場合、一度腫れが引いたタイミングを見て、被膜ごと摘出する手術をご提案します。
足の付け根(鼠径部)の粉瘤
鼠径部は皮膚の擦れが多く、汗や蒸れの影響を受けやすい部位です。
血管やリンパ節が近いデリケートな部位でもあるため、しこりに気づいた際は自己判断で潰したりせず、一度診察を受けることを推奨します。
まぶたの粉瘤
まぶたにできる粉瘤は、他の腫瘍(麦粒腫や霰粒腫など)と見た目が似ていることがあり、正確な診断が重要になる部位です。
皮膚が非常に薄く見た目への影響も大きい部位ですので、より繊細な処置と傷跡に配慮した治療方針が求められます。
粉瘤は治療が必要?診断から手術までの流れ
手術を検討する際の判断基準や、受診時にどのような検査を行うのかを解説します。
粉瘤は自然に治る?
粉瘤は、被膜の中に老廃物が溜まる仕組み上、自然に消えてなくなることは基本的にありません。一時的に中身が排出されて小さくなったように見えても、被膜が残っている限り再び中身が溜まり、元の大きさに戻ってしまいます。
根本的に治療するためには、手術で被膜そのものを取り除く必要があります。
粉瘤の診察で確認するポイント
診察では、まず視診・触診によって粉瘤の大きさ・硬さ・中央のへそ(開口部)の有無などを確認します。腫瘍が深い場所にある場合や、他の疾患との鑑別が必要な場合には、超音波検査(エコー)を行い、大きさや周囲組織との位置関係を正確に把握します。
形成外科で粉瘤を手術するメリット
粉瘤の手術は単に取るだけではありません。皮膚の構造を熟知した形成外科専門医が手術をする具体的なメリットをご紹介します。
傷跡が目立ちにくい手術を行える
形成外科は見た目の美しさと機能の回復を専門としています。皮膚のシワの方向(皮膚割線)に沿って切開を入れたり、特殊な縫合技術を駆使したりすることで、術後の傷跡が周囲に馴染み、目立たなくなるよう最大限の配慮をいたします。
痛みに配慮した日帰り手術が可能
当院の手術はすべて、局所麻酔による日帰り手術です。細い針を使用した麻酔により、手術中の痛みはほとんど感じません。入院の必要がないため、お忙しい方でも日常生活を大きく変えることなく治療を受けていただけます。
再発を防ぐため被膜まで丁寧に摘出する
再発の最大の原因は、被膜の一部が皮膚の中に残ってしまうことです。形成外科専門医が周囲の組織を傷つけないよう慎重に剥離(はくり)を行い、被膜を丸ごと確実に摘出することで、再発のリスクを最小限に抑えます。
粉瘤の手術方法と費用の目安
当院では主に2つの手術方法を用いています。
くり抜き法と切開法
くり抜き法(へそ抜き法)
1〜2mm程度の小さな器具(パンチ)で開口部をくり抜き、被膜を取り出します。傷跡が最小限で済むため、顔や露出部に適しています。
当院のくり抜き法については、実際の手術動画でもご覧いただけます。
▶詳しい手術動画はこちら
切開法
腫瘍が大きい場合や炎症が強いケースで選択されます。
手術費用について(保険適用)
粉瘤の手術は、基本的に健康保険が適用されます。3割負担の場合の目安は以下の通りです。
- ・露出部(顔・首・腕や膝より下)約5,000円〜15,000円程度
- ・非露出部(背中・お腹など)約4,000円〜13,000円程度
※別途、初診料・再診料、お薬代、病理検査費用などがかかります。
粉瘤手術の流れと術後の経過
手術当日の手順や術後の過ごし方について解説します。
手術当日の流れ
問診とエコー検査等で状態を確認後、局所麻酔を開始します。手術時間は多くの場合15分〜40分程度です。当日の食事制限はなく、手術後はガーゼなどで保護し、すぐにご帰宅いただけます。長時間の入浴、激しい運動、飲酒は控えてください。
手術後の経過と抜糸までの期間
術後の数日間は赤みや軽い腫れが出ることがありますが、痛みは処方された鎮痛薬でコントロール可能です。なお、炎症のない清潔な状態での手術であれば、原則として抗生剤の服用は必要ありません。翌日からは、医師の指示に従い、シャワーで創部を洗うことができます。
抜糸のタイミングは顔面5〜7日、体幹や四肢で7〜14日程度が目安です。抜糸後もテープ固定や紫外線対策を行うことで、より傷跡をきれいに仕上げることができます。
皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科クリニック

「ただの粉瘤だと思っていたら、実は別の腫瘍(まれに悪性腫瘍など)だった」というケースも存在します。
そのため、専門医による正確な診断と適切な治療計画を立てることが重要です。大阪梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医が診察から手術まで一貫して担当しており、粉瘤をはじめ、腫瘍や脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂など幅広い手術に対応しております。再発を防ぎつつ、見た目にもきれいな仕上がりを追求しております。
また当院では女性の医師による診察・手術も行っております。デリケートな部位の症状などでご不安がある方も、どうぞ安心してご相談ください。
アクセス
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。












