皮膚のできものが赤い原因とは?炎症性粉瘤の症状・治療方法を解説

皮膚のできものが赤い原因とは?炎症性粉瘤の症状・治療方法を解説

皮膚のできものが赤い原因とは?

皮膚のできものが赤い原因とは

皮膚のできものが赤く腫れて痛むときは、粉瘤に炎症が起きている可能性があります。ただし、見た目や痛みだけで粉瘤と判断することはできません。粉瘤では、袋が破れて中身が周囲へ漏れたことによる炎症と、細菌感染が重なる場合を区別して考えます。

痛みが強い、赤みや腫れが周囲へ広がる、発熱がある場合は、早めに受診してください。自分で押しつぶしたり針を刺したりすると、状態を悪化させるおそれがあります。

受診時には、いつから腫れたか、痛みや赤みの広がり、発熱や内容物の流出があるかを伝えると、診察の参考になります。この記事では炎症の仕組みと、薬・排膿・摘出の違いを解説します。

参考:日本皮膚科学会「アテロームとはどんなものですか?」、日本皮膚科学会「化膿することがあると聞きましたが?」

皮膚のできものが赤くなる主な原因

皮膚のできものが赤くなる主な理由は、内部で炎症が起きているためです。代表的な原因として、以下のようなものがあります。

原因 特徴
炎症性粉瘤 皮膚の下に袋状の組織ができ、内部に角質や皮脂が溜まる。炎症が起こると赤み・腫れ・痛みが現れる。
ニキビ・毛嚢炎 毛穴周辺で炎症が起こり、赤いぶつぶつや膿を伴うことがある。
虫刺され かゆみや赤みが中心となることが多く、時間とともに改善する場合がある。
皮膚感染症 細菌感染などにより赤みが広がったり、痛みや発熱を伴ったりすることがある。

見た目だけでは原因を判断することが難しい場合もあります。赤いできものに加えて「硬いしこりがある」「徐々に大きくなる」「触ると痛い」といった症状がある場合は、炎症性粉瘤の可能性があります。

炎症性粉瘤とは

炎症を起こして赤く腫れた粉瘤の症例写真

炎症性粉瘤とは、粉瘤(アテローム)に炎症が起こり、赤み・腫れ・痛みなどの症状が現れている状態です。

粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織(被膜)ができ、その内部に角質や皮脂などが蓄積する良性の腫瘍です。炎症がない状態では、痛みや赤みがほとんどなく、皮膚の下に柔らかいしこりとして存在することが多くあります。

しかし、細菌感染や内容物による異物反応が起こると、炎症性粉瘤となり、急激な腫れや強い痛みにつながります。脂肪腫も皮膚の下にできるしこりの一つですが、通常は赤みや痛みを伴うことは少なく、炎症性粉瘤とは特徴が異なります。

炎症が進行すると、内部に膿が溜まって膿瘍(のうよう)を形成したり、皮膚が破れて内容物が流れ出たりすることがあります。また、炎症を繰り返すことで色素沈着や瘢痕が残る可能性もあります。

粉瘤は自然に消えることはなく、根本的な治療には被膜ごと摘出する手術が必要です。赤みや痛みを伴うできものがある場合は、自己判断で潰したりせず、早めに受診してください。

炎症が起こるメカニズム

炎症が起こるメカニズム

炎症性粉瘤の炎症は、主に細菌感染と異物反応によって起こります。粉瘤の内部には角質や皮脂などが溜まっており、炎症が起こりやすい環境になっています。

細菌感染による炎症

粉瘤内部に細菌が入り込むと、細菌が増殖し、体が排除しようと免疫反応を起こします。その結果、患部に赤み・腫れ・熱感・痛みなどの炎症症状が現れます。炎症が強くなると、膿が溜まり膿瘍を形成することもあります。

異物反応による炎症

粉瘤の袋(被膜)が刺激や圧迫によって傷つくと、内部に溜まっていた角質や皮脂が周囲へ漏れ出すことがあります。本来皮膚内部に存在しない物質を体が異物として認識すると、免疫反応によって炎症が起こります。この場合、細菌感染がなくても強い赤みや腫れ、痛みが出ることがあります。炎症性粉瘤では、細菌感染だけでなく、こうした異物反応も大きく関係しています。

炎症性粉瘤で現れる赤み・腫れ・痛みの症状

炎症性粉瘤は、炎症の進行度によって現れる症状が異なります。

初期では小さな赤みや違和感程度でも、炎症が進行すると急激に腫れたり、強い痛みが出たりすることがあります。赤いできものに「痛み」「熱感」「急に大きくなる」といった変化がある場合は、炎症性粉瘤の可能性があります。

段階 主な症状 特徴
軽度 軽い赤み・違和感・触れた時の痛み 見た目の変化は少ないものの、刺激によって悪化することがあります。
中度 赤み・腫れ・熱感・ズキズキした痛み 炎症が広がり、日常生活でも痛みを感じることがあります。
重度 強い腫れ・膿・皮膚の破裂・発熱 膿瘍が形成されることがあり、早急な治療が必要です。

軽度の場合

炎症の初期では、皮膚の下に小さなしこりがあり、触れた時に違和感や軽い痛みを感じる程度のことがあります。

見た目の変化が少ないため、そのまま様子を見る方もいますが、炎症性粉瘤は短期間で症状が悪化することがあります。気になる赤いできものがある場合は、強く触ったり潰したりせず、早めに受診してください。

中度の場合

炎症が進むと、赤みや腫れが目立つようになり、患部が熱を持つことがあります。

また、触れていなくてもズキズキ痛む、衣類が擦れるだけで痛いなど、日常生活に影響が出る場合があります。この段階では自然に改善することは難しく、症状に応じた治療が必要になります。

重度の場合

炎症がさらに進行すると、粉瘤内部に膿が溜まり、膿瘍を形成することがあります。

皮膚が薄くなって自然に破裂する場合もありますが、これは炎症が治った状態ではありません。内容物が排出されても被膜は残るため、再発する可能性があります。また、炎症が長期間続くことで、色素沈着や瘢痕、皮膚のへこみ(陥凹)が残るリスクも高まります。

炎症性粉瘤を放置・自分で潰すリスク

赤いできものがあると、「膿を出せば治る」と考えて自分で潰してしまう方もいます。しかし、炎症性粉瘤を自己処理すると、炎症の悪化や再発につながる可能性があります。

リスク 内容
炎症の悪化 刺激によって炎症が広がり、赤み・腫れ・痛みが強くなることがあります。
感染の拡大 細菌が周囲へ広がり、発熱や強い腫れにつながる場合があります。
再発 内容物だけ排出しても被膜が残るため、同じ場所に再び粉瘤ができる可能性があります。
傷跡 炎症が長引くことで、色素沈着や瘢痕が残ることがあります。

赤いできものを無理に潰すと、炎症を悪化させたり、治療を難しくしたりする可能性があります。気になる場合は患部を刺激せず、当院へご相談ください。

炎症性粉瘤の治療方法

炎症性粉瘤の治療方法

治療には、今ある炎症や膿に対応する処置と、粉瘤の袋を取り除く手術があります。目的が異なるため、「その日に処置を受けた」ことが、その日に袋まで摘出したことを意味するとは限りません。感染の有無、膿のたまり方、炎症の強さなどを診察して方針を決めます。

参考:日本皮膚科学会「化膿することがあると聞きましたが?」、日本皮膚科学会「治療はどうしますか?」

炎症を抑える治療

抗生剤の内服

細菌感染が疑われる場合には、抗生剤を用いることがあります。粉瘤の炎症は細菌感染だけで起こるわけではないため、すべての炎症性粉瘤で抗生剤が必要とは限りません。

抗生剤は粉瘤の袋を取り除く治療ではありません。痛みや赤みが落ち着いても袋が残っていることがあり、再び内容物がたまる可能性があります。

参考:日本皮膚科学会「化膿することがあると聞きましたが?」

切開排膿

膿がたまって腫れや痛みが強い場合には、皮膚を切開して膿を出す処置を検討します。膿を排出することと、袋を完全に取り除くことは別です。

排膿後は、傷や炎症の経過を確認しながら、袋を摘出する必要性と時期を一緒に検討します。自分で穴を開けたり、強く押して膿を出したりしないでください。

参考:日本皮膚科学会「化膿することがあると聞きましたが?」

根本的に治す治療

手術による粉瘤摘出

粉瘤摘出手術の様子

粉瘤を摘出した症例写真

 

 

 

 

 

粉瘤の袋を取り除くには、摘出手術を行います。炎症が強い場合には袋と周囲の組織が分かれにくく、摘出が難しいことがあるため、先に炎症や膿への処置を行う場合があります。

摘出の時期や術式は、粉瘤の状態と患者さんの希望を踏まえて判断します。症状がなく困っていない粉瘤では、診断のうえで経過を見る選択肢もあります。

参考:日本皮膚科学会「治療はどうしますか?」

当院の治療方針

受診当日に行う処置の内容は、診察で患部の状態を確認して判断します。炎症や膿への処置と、袋を取り除く摘出手術を分け、当日の摘出が適切か、炎症が落ち着いてから行うかを検討します。

手術後の再診時期や、自宅での傷の扱い方は処置内容と経過によって異なります。診察時の説明を確認し、痛みや赤みが強くなるなど変化がある場合は、予定の再診日を待たずに相談してください。

炎症の有無による治療の違い

炎症の有無による治療の違い

炎症性粉瘤は、炎症がある状態で治療する場合と、炎症が落ち着いてから治療する場合で、手術の難易度や術後の経過に違いがあります。特に炎症の有無は、粉瘤の再発リスクや傷跡の残り方に影響する重要なポイントです。

炎症がない場合

炎症が起きていない粉瘤は、被膜と周囲組織との境界が明確なため、袋状の組織を一塊で摘出しやすい状態です。

被膜を完全に取り除くことで、粉瘤の再発リスクを抑えることができます。また、周囲の皮膚組織へのダメージも少ないため、術後の治癒も比較的スムーズで、傷跡も目立ちにくくなります。赤みや痛みがない段階で治療を行うことは、身体的な負担を軽減することにもつながります。

炎症がある場合

炎症を起こした粉瘤では、周囲組織との癒着や組織の変化が起こるため、被膜を完全に摘出することが難しくなる場合があります。

そのため、炎症が強い状態では再発リスクが高まる可能性があります。また、炎症が長期間続くと皮膚へのダメージが大きくなり、色素沈着や瘢痕(はんこん)が残りやすくなります。

瘢痕によって皮膚が引きつれると、皮膚のへこみ(陥凹)が生じることもあります。

さらに、炎症部位では痛みを感じる反応が強くなるため、通常より痛みを感じやすくなる場合があります。当院では、炎症の状態を確認しながら麻酔方法を工夫し、できるだけ痛みに配慮した治療を行っています。

赤いできものはいつ受診すべき?

皮膚のできものが赤くなった場合でも、すべてが治療を必要とするわけではありません。しかし、以下のような症状がある場合は、炎症性粉瘤や感染症などの可能性があるため、早めの受診をおすすめします。

受診を検討したい症状 考えられる状態
赤みが広がっている 炎症や感染が周囲へ広がっている可能性があります。
急に大きく腫れてきた 粉瘤内部で炎症が進行している可能性があります。
触ると強く痛む 炎症反応が強く起きている可能性があります。
膿が出ている 膿瘍が形成されている可能性があります。
発熱や倦怠感がある 感染が広がっている可能性があります。

赤いできものに痛みや腫れが伴う場合は、自己判断で様子を見るのではなく、原因を確認することが大切です。特に粉瘤は、炎症が強くなるほど治療の難易度が上がるため、早めの相談が重要です。

【FAQ】炎症性粉瘤・赤いできものに関するよくある質問

皮膚のできものが赤い場合、必ず粉瘤ですか?

赤いできものの原因は、粉瘤だけではありません。

ニキビや毛嚢炎、虫刺され、皮膚感染症など、さまざまな原因があります。ただし、赤みとともに硬いしこりがある、徐々に大きくなっている、痛みがある場合は、炎症性粉瘤の可能性があります。

赤い粉瘤は自然に治りますか?

炎症による赤みや腫れが一時的に軽くなることはありますが、粉瘤そのものが自然に消えることはありません。

粉瘤の袋状の組織(被膜)が残っている場合、再び炎症を起こす可能性があります。根本的な治療には、被膜ごと摘出する手術が必要です。

赤いできものを自分で潰しても大丈夫ですか?

自分で潰すことはおすすめできません。

内容物が出ても粉瘤の被膜は残るため、再発する可能性があります。また、細菌感染や炎症の悪化、傷跡が残る原因になることがあります。

炎症がある状態でも粉瘤の手術はできますか?

炎症の程度によっては、炎症がある状態でも手術を行える場合があります。

ただし、炎症が強い場合は被膜の摘出が難しくなることがあります。患部の状態を確認したうえで、切開排膿を先に行うか、摘出手術を行うか判断します。

皮膚のできものが赤い場合は早めの相談が大切

皮膚のできものが赤くなる原因には、ニキビや虫刺されなど一時的なものから、炎症性粉瘤のように治療が必要なものまでさまざまあります。

赤みだけでなく、痛み・腫れ・熱感・しこりがある場合は、炎症が起きている可能性があります。炎症性粉瘤は、放置すると急激に腫れたり、膿が溜まったり、傷跡が残ったりすることがあります。

一方で、炎症がない早期の段階で治療を行えば、被膜を摘出しやすく、再発や傷跡のリスクを抑えることにつながります。赤いできものが続いている、痛みがある、徐々に大きくなっている場合は、自己判断せず当院へご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医としてさまざまな手術経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科領域の治療を行い、乳房再建や整形外科領域の再建手術などに携わってきました。

聖路加国際病院では、顔面領域の形態手術、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術など幅広い診療経験を積んでまいりました。

これまでの経験を活かし、皮膚のできものや粉瘤の治療では、適切な切除だけでなく、傷跡にも配慮した治療を提供できるよう努めています。