「できものが少しずつ大きくなってきた」
「やわらかいしこりがあるけれど、痛みがないから放置しても大丈夫?」
「悪性腫瘍ではないか心配」
上記のような不安を感じていませんか?
脂肪腫(リポーマ)は、皮膚の下にできる良性腫瘍であり、すぐに命にかかわるものではありません。しかし、粉瘤(ふんりゅう)や悪性腫瘍と見分けがつきにくいケースもあり、自己判断が難しい場合があります。
本記事では、脂肪腫の特徴や原因、粉瘤や悪性腫瘍との違い、手術が必要なケースについて形成外科専門医の視点でわかりやすく解説します。
脂肪腫(リポーマ)とは
脂肪腫とは、脂肪細胞が増殖してできる良性腫瘍です。リポーマと呼ばれることもあります。ここでは、脂肪腫の特徴やできやすい場所について解説します。
脂肪腫は皮膚の下にできる良性腫瘍
脂肪腫は、皮膚の下にやわらかいしこりとして現れることが多く、ゆっくり大きくなることが特徴です。40〜50代に多く見られ、単発でできることもあれば複数できることもあります。
多くは皮膚の浅い部分にできる浅在性脂肪腫ですが、まれに筋肉内など深い場所にできる深在性脂肪腫もあります。深い場所にできた脂肪腫は外からわかりにくく、周囲の筋肉や神経との位置関係を確認するために、エコー検査やMRI検査が必要になるケースもあります。
脂肪腫の主な特徴
脂肪腫には、以下のような特徴があります。
-
- ・やわらかく触れる
- ・指で押すと動く
- ・ゆっくり大きくなる
- ・痛みが少ない
一般的な脂肪腫は痛みが少ない傾向がありますが、血管脂肪腫と呼ばれるタイプでは、血管成分を含むため痛みを伴うことがあります。
また、数mm程度の小さいものから数cm以上に大きくなるものまでさまざまです。放置すると徐々に大きくなり、衣類に擦れたり見た目が気になったりするケースもあります。
脂肪腫ができやすい場所
脂肪腫は全身のどこにでもできる可能性がありますが、特に脂肪が多い部位にできやすい傾向があります。主にできやすい場所は以下の通りです。
- ・首
- ・肩
- ・背中
- ・腕
- ・太もも
- ・お腹
特に背中や肩は、脂肪腫が大きくなってから気づくケースも少なくありません。また、顔や首など目立つ部位にできると、見た目が気になり受診される方も多くいらっしゃいます。
▶詳しく脂肪腫のできやすい場所について知りたい方はこちら
脂肪腫の原因
脂肪腫の発生原因は完全には解明されていませんが、脂肪細胞の異常な増殖が関係していると考えられています。また、遺伝や体質、慢性的な刺激との関連も指摘されています。さらに、肥満・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・過度なアルコール摂取などの生活習慣や代謝異常が関与する可能性もあります。
急激に大きくなる場合や硬いしこりでは、まれに悪性腫瘍との鑑別が必要になるため注意が必要です。気になるしこりがある場合は、早めに専門医による診断を受けましょう。
▶︎詳しく脂肪腫の原因やできやすい人の特徴を知りたい方はこちら
脂肪腫と粉瘤との違い
皮膚の下にしこりがあるという症状は共通していても、その正体が脂肪腫なのか、それとも粉瘤(アテローマ)や命に関わる悪性腫瘍なのかによって、治療法や緊急性は大きく異なります。
| 項目 | 脂肪腫(リポーマ) | 粉瘤(アテローマ) |
|---|---|---|
| 感触 | 柔らかい、指で動く | 少し弾力がある |
| 開口部(黒点) | なし | あり(中心に小さな点) |
| 臭い | 無臭 | 独特の酸っぱい臭い |
| 炎症(腫れ・痛み) | ほとんどない | 起こしやすい |
脂肪腫と粉瘤(アテローマ)の違い
脂肪腫と最も見分けがつきにくいのが、皮膚の老廃物が溜まる粉瘤です。以下の2点が粉瘤を見分ける大きなポイントとなります。
中央の黒い点(開口部)の有無
粉瘤の場合、しこりの中央に針穴のような黒い点が見られることが多いです。一方で、脂肪腫にはこのような開口部はありません。
独特の臭い
粉瘤を強く押したり、中の袋が破けたりすると、白いドロドロとした老廃物が出てきて独特な臭いがします。脂肪腫は脂肪細胞の塊であるため、無臭です。
また、粉瘤は細菌感染による炎症を起こして急激に痛みが出ることがありますが、脂肪腫は基本的に痛みがなく、数年単位でゆっくりと大きくなるのが特徴です。
▶︎詳しく粉瘤ついて知りたい方はこちら
放置厳禁!悪性腫瘍「脂肪肉腫」の可能性
まれに脂肪腫と非常によく似た外見を持ちながら、急速に成長する悪性腫瘍が存在します。その代表が脂肪肉腫です。
以下の特徴がある場合は、単なる良性腫瘍と自己判断するのは非常に危険です。
- ・サイズが10cmを超えている
- ・太もも(大腿部)や後腹膜などに発生している
- ・しこりが硬く、周囲に癒着して動かない
- ・短期間で急激に大きくなっている
特に太ももにできた10cm以上の巨大な腫瘍は、良性の脂肪腫ではなく脂肪肉腫であるリスクを考慮し、CTやMRIによる画像検査が必須となります。
ただのしこりと放置せず、少しでも違和感や不安がある場合は、形成外科専門医である当院へご相談ください。
▶︎詳しく良性・悪性の見分け方を知りたい方はこちら
脂肪腫は放置しても大丈夫?
脂肪腫は良性腫瘍であることが多く、すぐに命に関わる病気ではありません。そのため、症状がなければ経過観察となるケースもあります。しかし、経過観察できる場合と、早めに手術を検討すべき場合があります。
経過観察できるケース
脂肪腫が小さく、痛みや違和感がなく、サイズの変化もほとんどない場合は、すぐに治療を行わず経過観察となることがあります。特に数mm〜数cm程度で、日常生活に支障がないケースでは定期的な診察のみで様子を見ることも可能です。
ただし、「以前より大きくなっている気がする」「本当に脂肪腫か不安」という場合は、画像検査を含めた確認を受けておくと安心です。
手術を検討した方がよいケース
脂肪腫が徐々に大きくなっている場合や、見た目が気になる場合、衣類が擦れて違和感がある場合には手術を検討します。また、痛み・しびれ・圧迫感があるケースでは、周囲の神経や組織に影響を与えている可能性もあります。
急激に大きくなる、硬い、動きにくいなどの特徴がある場合には、悪性腫瘍との鑑別が必要になることもあります。自己判断で放置せず、早めに原因を確認することで、治療方針を判断しやすくなります。
大きくなる前の治療が重要な理由
脂肪腫は放置すると徐々に大きくなることがあり、10cm以上になるケースもあります。腫瘍が巨大化するほど切開範囲が広くなり、手術時間や身体への負担も増えやすくなります。
また、傷跡への配慮という点でも、早期治療にはメリットがあります。小さい段階であれば切開を最小限に抑えやすく、術後の傷跡も目立ちにくくなる傾向があります。
そのため、脂肪腫の治療では、単に摘出するだけでなくできるだけきれいに治す視点が重要です。当院では形成外科専門医が、再発予防だけでなく傷跡にも配慮した手術を行っています。
脂肪腫の手術について
脂肪腫の治療は手術による摘出が基本ですが、当院では単に切除するだけでなく、術前・術後の安全性を最優先した体制を整えています。
手術前には、エコー検査等の画像検査を行います。腫瘍の深さや血管・神経との位置関係を精密に確認することで、手術の安全性を高め、合併症のリスクを最小限に抑えます。また、摘出した腫瘍は必ず病理検査へ提出し、顕微鏡レベルで良性かどうかを詳しく確認します。
日帰り手術は可能?
多くの脂肪腫は日帰り手術が可能ですが、全てのケースで適応となるわけではありません。10cmを超える巨大なものや、筋肉の奥深く、あるいは重要な神経に近接している場合は、入院設備のある高度医療機関をご紹介する場合があります。
局所麻酔による切除手術
手術は通常、局所麻酔下で行われます。意識がある状態ですが痛みは抑えられ、短時間で終了します。日帰り手術の場合、術後はそのまま歩いて帰宅できます。
脂肪腫の摘出手術について動画でも詳しく解説しております。
傷跡を目立ちにくくする工夫
当院では、形成外科専門医が皮膚のシワに沿った切開や、極細の糸を用いた精密な縫合を行うことで、傷跡が将来的に目立たなくなるよう最大限の配慮をしています。
▶︎より詳しい手術の流れや費用についてはこちら
脂肪腫に関するよくある質問
脂肪腫は自然に治りますか?
脂肪腫が自然に消えることはありません。薬やマッサージで小さくなることもなく、放置すると徐々に大きくなる可能性が高いため、根本的な解決には摘出手術が必要です。
脂肪腫はがんになりますか?
脂肪腫自体は良性腫瘍であり、がん(悪性腫瘍)に変化することは極めて稀です。ただし、最初から悪性である脂肪肉腫との鑑別が重要なため、自己判断は禁物です。
▶︎がん(悪性腫瘍)について詳しく知りたい方はこちら
脂肪腫の手術は痛いですか?
局所麻酔を使用するため、術中の痛みは最小限に抑えられます。術後、数日間は軽い痛みや違和感を覚えることもありますが、基本的には処方される痛み止めで十分にコントロールが可能な範囲です。
脂肪腫は何科を受診すればよいですか?
皮膚の下の腫瘍を専門とする形成外科の受診をおすすめします。
▶︎何科に行けばいいか詳しく知りたい方はこちら
まとめ
脂肪腫は、放置しても自然に消えることはありません。いつか手術しなければならないなら、小さいうちにと考えることが、傷跡を最小限にし、身体への負担を抑えることにつながります。
大阪梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医が一人ひとりのしこりの状態を丁寧に診断し、最適な治療法をご提案します。まずはこれが何なのかをはっきりさせるだけでも、心の重荷は軽くなるはずです。
また、当院では女性の医師による診察・手術も行っております。少しでも気になるしこりがある場合は、お早めにご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。












