2019.10.15
血管脂肪腫(lipoma)の摘出 ~大阪梅田形成外科粉瘤クリニック~
脂肪腫(lipoma)
脂肪腫は間葉系良性腫瘍に分類され、その中で最も多い腫瘍の一つです。
脂肪のあるところにはどこにでも出来る可能性があります。その中でも、後
頚部、肩甲骨部、背部、大腿部、上腕部などによく出来ます。
それぞれの場所で腫瘍の取りやすさは違うため、手術にはそれなりの経験が必要になります。
前額部の脂肪腫は前頭筋の下にある場合が多く、特に注意が必要になります。慣れずに手術してしまうと、腫瘍を見失い、出血が多くなってしまう場合もあるため注意が必要です。
また血管脂肪腫(angiolipoma)は血管成分が多く、四肢、体幹に多発し、触診で圧痛がある場合があります。
腫瘍は皮膚とは癒着せず、下床と可動性は良好です。しかし、筋肉下に認めるものは、可動はよくありません。大きくなってから受診する患者様も多いため、MRIでの詳しい検査が必要になります。
特に急速に増殖傾向のあるものは悪性の可能性もあるため、エコーだけではなくMRIによる鑑別が必要になります。
日帰り手術を専門としている私としては、当日でたくさんの人を手術しているため、後頚部や肩甲骨部の場合には少し時間を取るようにしています。骨や硬い部分にある脂肪腫は周りとの癒着が強くなり、他の腫瘍との境目も分かりにくくなり、少し取りにくくなるからです。前額部も先ほど書いたように注意が必要になります。
血管脂肪腫の場合には腫瘍は非常に取りやすく、周囲を少し剥離するだけで切除出来ます。
今回は血管脂肪腫の動画を閲覧します。
苦手な方はここまでにしてください。
左大腿部の皮下腫瘍です。
エコーで血管脂肪腫を疑いました。
手術動画です。
血管脂肪腫は多発しやすく、疼痛があります。
この患者様は両足に確認できたもので8か所ありました。
今回はそのうち、左大腿部の血管脂肪腫を2か所切除しています。
創部は5-0吸収糸、6-0ナイロンで縫合しています。
腫瘍は少し硬く、塊として摘出されました。
切除後病理検査へ提出し、調べます。
一週間後抜糸を行います。
形成外科専門医
古林玄