しかし、こぶ状のしこりは、粉瘤だけでなく、ガングリオンや脂肪腫など複数の疾患が疑われるため、見た目の判断だけでは判断が難しいケースも多いです。
そこで本記事では、代表的な3つの疾患の違いと見分け方、受診の目安、医療機関での検査(MRI)について詳しく解説します。
こぶのような粉瘤
こぶ状のしこりには、ガングリオン・脂肪腫・粉瘤などがあります。粉瘤は袋状の組織が皮膚下にできて、そこに垢や皮脂などの老廃物がたまった良性腫瘍で、巨大化や臭いを発生することがあり、炎症によって大きく腫れて痛むことがあります。ガングリオンや脂肪腫は症状や大きさなどにより経過観察でも問題はありませんが、粉瘤は手術でしか治すことができず、悪化させやすいため早めの治療がおすすめです。ただし、どのしこりでも「急に大きくなる」「硬い」「痛み・しびれがある」などがあれば、自己判断せず早めに受診してください。
粉瘤、脂肪腫、ガングリオンの違い
ガングリオン(ゼリー状のこぶ)
ゼリー状の粘液がたまってできたしこりで、関節の周囲にできやすい傾向があります。20歳~50歳が主に発症し、若い女性に発症が多いとされています。ガングリオンの大きさは米粒ほどの場合もありますが、ピンポン玉くらいになることもありサイズはさまざまです。ガングリオン自体が痛みを起こすことはありませんが、神経を圧迫することで痛みやしびれといった症状を起こすことがあります。
動作の邪魔になる・洋服などを引っかけてしまう・神経を圧迫して痛みやしびれを起こしている・見た目が気になる場合には治療を行います。注射針で内容物を排出させる保存的治療、そして手術で摘出する根治治療があり、状態やお考えによって適した手法を選択します。
脂肪腫(脂肪によるこぶ)
皮下に発生する腫瘍として最も多いのがこの脂肪腫で、数㎜から10㎝以上になることもあります。背中や肩、首への発生が多く、次いで四肢にも多く現れます。痛みはなく、皮膚がドーム状に盛り上がり、ゆっくりと大きくなっていきます。ほとんどの脂肪腫は幼いころにできると考えられていますが、発育が極めて遅いため何十年も経過してから発見されることも多くなっています。小さくて気にならないものであれば経過観察しても問題ありませんが、大きさの変化が早い場合や硬さが目立つ場合は、悪性を含めた判断が必要になることもあります。なお、脂肪腫は切除による手術でしか治すことができません。
脂肪腫は基本的に痛みがないケースが多い一方で、位置や大きさによって周囲を圧迫し、痛みや違和感が出る場合があるため、しこりを感じたら1度受診することをおすすめします。
粉瘤(放置すると悪化する可能性があるこぶ)
粉瘤はしこりやふくらみとして感じるこぶの一種で、皮膚の下にできた袋状の組織に垢や皮脂などの老廃物がたまった良性腫瘍です。老廃物をためる袋状の組織は表皮の変形によってできますので、身体のどの部分にもできる可能性があります。
粉瘤の場合、巨大化や悪臭の発生、炎症などを起こす可能性がありますので、こぶで炎症が起きている場合には粉瘤の可能性が高いと言えます。粉瘤は手術以外で根治することができず、巨大化したり、炎症を起こして大きく腫れると綺麗に治すことが困難になりますので、早めに治療を受けておくと安心です。
粉瘤、脂肪腫、ガングリオンを見分けるポイント
粉瘤とガングリオン→発生部位で見分ける
ガングリオンは関節の周辺に好発します。そのため、発生部位である程度の見分けがつきます。ただし関節部分に粉瘤ができないわけではありませんので、正確な診断には受診が必要です。
粉瘤と脂肪腫の違い→見た目や触感で見分ける
脂肪腫と粉瘤は身体のどの部分にもできる可能性がありますので、発生部位は参考になりません。ただし、脂肪腫は皮膚の深い層にでき、粉瘤は比較的浅い層にできることが多いので、見た目である程度見分けることができます。色に変化がなく盛り上がっているものは脂肪腫である可能性が高く、黒い点がある・全体が青黒い場合には粉瘤の疑いが強いと言えます。ただし、はっきりとした違いがわからないこともありますので、受診して診断を受けましょう。診断には、エコー(超音波)やMRIの検査で判断するケースが一般的です。
しこりが「がん」や「肉腫」の可能性もある?
がんは、皮膚・粘膜・臓器など「上皮(表面の組織)」から発生する悪性腫瘍を指すことが多いのに対し、肉腫は脂肪・筋肉・血管・神経など「軟部組織」から発生する悪性腫瘍の総称です。
脂肪腫と紛らわしい病気として、脂肪から生じる悪性腫瘍(脂肪肉腫など)が挙げられるため、見た目だけで判断せず、必要に応じて検査で判断することが大切です。
以下のような症状がある場合は、早急に受診してください。
- ・サイズが大きい(目安として5cm以上)
- ・短期間で急に大きくなる(増殖スピードが速い)
- ・触ると硬い、動きにくい(皮膚や深部に癒着したように感じる)
- ・痛み、しびれ、違和感がある(神経や筋肉の圧迫が関係する場合)
脂肪腫と脂肪肉腫の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
この症状が現れたら粉瘤です
粉瘤は内部の老廃物が独特の臭いを発生させることがあります。圧迫されて白いドロドロした内容物が出てくると強い臭いを生じます。また、炎症を起こしていると内容物が出てこなくても臭気を発することがあります。化膿がひどくなると臭いも強くなります。ガングリオンや脂肪腫にはこうした臭いがありませんので、独特の臭気がしたら粉瘤だと考えられます。
粉瘤の炎症が進むと痛みも強くなりますので、臭いに気付いたらできるだけ早く受診して治療を受けましょう。また、赤く腫れて熱をもつ、急に大きくなるなどの変化がある場合も、早めに受診して状態を判断してもらうことが大切です。
Q&A|こぶのようなしこりでよくある質問
急に大きくなったら悪性ですか?
必ずしも悪性と限らないですが、大きくなるスピードが早い場合、自己判断は危険です。早めに医療機関を受診し、必要に応じてMRIなどの検査で判断してもらいましょう。
痛みがないなら放置しても大丈夫?
粉瘤・脂肪腫は痛みがないこともありますが、粉瘤は炎症で悪化することがあります。大きさや硬さに変化がある場合は受診して判断するのが安心です。
急に大きくなったら悪性ですか?
粉瘤が疑われる場合は形成外科や皮膚科、脂肪腫が疑われる場合は形成外科、関節周囲でガングリオンが疑われる場合は整形外科が目安です。自己判断が難しければ、まずは形成外科で相談するとスムーズです。
まとめ
しこりの正体が「脂肪腫」なのか「粉瘤」なのか、あるいは別の疾患なのかを正確に見分けるには、専門医による診察と画像検査が必要です。
特に粉瘤は炎症を起こすと痛みを伴い、治療も長引く可能性があります。また、稀に悪性のケースも隠れているため、「たかがしこり」と放置せず、気になる症状があればお気軽に形成外科へご相談ください。












