- 傷跡修正とは
- W形成術・Z形成術の違いと特徴
- 傷跡修正は保険が使える?手術費用の目安
- やけど跡・リストカット跡・ケロイドそれぞれの対応方法
- 手術後のアフターケアで差がつく!きれいに治す3つのコツ
- 傷跡修正の手術なら当院におまかせください
「傷跡をきれいにしたいけど、美容整形まではちょっと抵抗がある」
「手術で本当に綺麗になるのかな?」
「費用やアフターケアも心配…」
そう思う方もいるのではないでしょうか。
リストカットなど過去の傷跡がふとした瞬間に気になり、人前で肌を見せるのをためらってしまうこともあるかもしれません。
実は、傷跡修正手術は美容整形とは異なり、医療的な治療として行われるもので、保険適用の可能性があります。
本記事では、傷跡修正手術の具体的な方法(W形成術・Z形成術)から、他の治療法との違い、保険適用の可否、気になるアフターケアまで詳しく解説します。
あなたの疑問や不安を解消し、前向きな一歩を踏み出すための情報を提供します。
傷跡修正とは
傷跡修正手術とは、事故や手術、火傷などによって残った目立つ傷跡を、目立たなくするための形成外科的手術です。傷跡は体の様々な部位にでき、見た目に影響を及ぼすだけでなく、心理的な負担にもつながります。特に顔や手など、人目に触れる部位の傷跡は、コンプレックスとして深刻な悩みになることもあります。
傷跡修正には、単に美しさを追求する美容外科的な要素だけでなく、機能的な改善も含まれます。たとえば、火傷によって皮膚が引きつれてしまったところの可動域を広げることも目的のひとつです。
治療法としては、レーザー治療やステロイド注射などの保存的な方法に加えて、「切除法」と呼ばれる外科的な手術もあります。切除法は、傷跡の部分を皮膚ごと切り取り、新たに縫合することで、より目立ちにくい状態に整える方法です。特に線状の傷跡や、縫合の跡が残ってしまったケースなどに適しており、再発の可能性が低く、自然な仕上がりを目指せるのが特徴です。
最適な治療方法は、傷跡の種類や状態によって異なりますので、医師との十分なカウンセリングを通じて選びましょう。
W形成術・Z形成術の違いと特徴
傷跡修正でよく用いられる切除方法の中には、「W形成術」と「Z形成術」があります。それぞれの特徴を理解することで、目的に応じた選択が可能になります。
W形成術
W形成術は、直線的な傷跡をギザギザ状に切開し、皮膚を組み合わせて縫合する方法です。ジグザグに縫い合わせることで、光の反射を分散させ、傷跡が目立ちにくくなるという利点があります。特に、皮膚の張力が均等な部分や、顔面などに適しています。
W形成術による手術の大きなメリットは、傷跡の線がまっすぐでなくなるため、遠目から見ても目立ちにくくすることができます。また、皮膚の伸展方向を考慮してデザインされるため、術後のひきつれ感も軽減されやすくなります。
Z形成術
Z形成術は、Z字型に切開を加えて皮膚を入れ替えることで、皮膚の緊張方向を変え、ひきつれや拘縮(こうしゅく)を改善する方法です。主に火傷跡や、運動に支障をきたすような拘縮のある傷跡に対して行われます。
Z形成術の利点は、傷跡の向きを変えることで、皮膚の自然なしわのラインに合わせることができ、目立たなくなる点にあります。また、皮膚の可動域が広がるため、機能的な改善が期待できます。
傷跡修正は保険が使える?手術費用の目安
傷跡修正手術は、すべてが自費になるわけではありません。傷跡によって日常生活に支障をきたしている場合、健康保険が適用されることがあります。
保険適用の条件
機能障害や日常生活に支障をきたしている場合は、保険適用になるケースがあります。たとえば、火傷による皮膚のつっぱりで関節が動かしづらい、あるいは手術跡が目立って社会生活に影響していると医師が判断した場合には、保険が適用される可能性があります。
一方、美容目的での手術(単に見た目を良くしたいだけの場合)は保険の対象外です。
費用の目安
保険適用であれば、自己負担は一般的に3割程度です。術式や施設によって差がありますが、数万円〜10数万円程度が一般的です。
自費診療の場合は、クリニックや治療方法によって大きく差があります。10万円〜30万円以上かかるケースもあるため、初診料や術前検査費用、術後のアフターケア代も含めてトータルで考える必要があります。
やけど跡・リストカット跡・ケロイドそれぞれの対応方法
傷跡には種類があり、種類の性質に応じたアプローチが必要です。以下に、代表的な3種類の傷跡への対応方法を紹介します。
やけど跡
やけどによる傷跡は、深度や範囲により治療法が異なります。表皮に限られた軽いやけどは時間の経過とともに自然に治癒しますが、真皮や皮下組織にまで及ぶ深いやけどは、瘢痕や拘縮が残ることが多く、修正手術が必要になります。
浅いやけどでも傷跡が気になる場合には、皮膚再生を促進する外用薬やレーザー治療での対応が可能です。深いやけど跡や拘縮を伴う場合は、Z形成術や皮膚移植、皮弁形成などが検討されます。
リストカット跡
自傷行為によるリストカット跡は、直線的かつ規則的な傷が特徴です。心理的背景にも配慮しながら、見た目を改善するアプローチが重要です。深い傷や複数の傷がある場合には、W形成術を使って目立たないラインに縫い直す方法が取られます。
タトゥーのようにデザイン的なカバーを施すケースもありますが、医療機関での治療が望ましいです。
ケロイド
ケロイドは、傷が治った後にコラーゲンが過剰に生成され、赤く盛り上がってしまう状態です。体質によってできやすい人もいます。繰り返し再発するケースでは、外科的切除と同時に放射線治療を併用することがあります。
ステロイド注射や外用薬で炎症を抑える治療が第一選択ですが、手術単独では再発のリスクが高いため、術後のアフターケアが非常に重要です。
手術後のアフターケアで差がつく!きれいに治す3つのコツ
術が成功しても、その後のケア次第で仕上がりに大きな差が生じます。美しく治すためには、アフターケアが重要です。アフターケアのコツは、3つあります。
- ・傷跡を保湿する
- ・紫外線を避ける
- ・定期的な診察
それぞれ詳しく説明します。
1つ目は、傷跡を保湿することが大切です。乾燥した皮膚は治癒が遅れやすく、かゆみや炎症の原因にもなります。保湿剤やワセリンで皮膚を常にしっとりと保つことで、色素沈着やかさぶたの形成を防げます。
2つ目に、紫外線を避けることが重要です。紫外線は傷跡を色素沈着させやすく、目立たせてしまいます。日焼け止めやUVカットのテープを活用して、術後6か月〜1年は特に注意が必要です。
3つ目は、定期的な診察をしてもらうことで、術後の経過を定期的に医師に診てもらい、早期に問題を発見し、対応することが可能です。自己判断でケアを中断せず、医師の指導に従いましょう。
上記の3つに気を付けると、施術後の仕上がりをきれいにすることができます。
傷跡修正の手術なら当院におまかせください
本記事では、W形成術やZ形成術の違いやアフターケアについて紹介してきました。
傷跡修正手術には、W形成術やZ形成術などの手法にはそれぞれに特徴があり、傷の種類や部位によって最適な選択が必要です。また、火傷やリストカット跡、ケロイドといった異なる傷跡に対しても、適した治療を行う必要があります。
きれいな仕上がりにするためには、手術後のアフターケアを怠らないことも必要です。手術後も注意してケアを行うようにしましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
他にも多くの治療について解説しております。