白く盛り上がった傷跡は治せる?瘢痕化の原因と治療法を解説

    「昔の傷が、ずっと白く盛り上がったまま…。ファンデーションでも隠れないし、人目が気になる」

    「白い傷跡は、もう治らないのかな」

    「もしかして、盛り上がっている傷跡は私だけ?」

そんなふうに、一度できた傷跡がなかなか消えずに悩んでいませんか? 特に、首元や顔、腕など目立つ部位にあると、着る服や髪型すら制限されてしまうこともあります。

しかし、白い傷跡や盛り上がりは治療によって改善できる可能性があります。

本記事では、なぜ傷跡が白く盛り上がるのか、その正体である瘢痕化(はんこんか)について詳しく解説します。ケロイドと肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の見分け方から、原因、そして最新の治療法まで、あなたの疑問や不安を解消するための情報を網羅しています。

 

なぜ傷跡が白く盛り上がる?瘢痕化とは

傷が治ったあとに、白く盛り上がった跡が残ることがあります。これは「瘢痕化」と呼ばれる現象です。瘢痕とは、皮膚が損傷を受けた際に組織を修復する過程で、通常の皮膚とは異なる繊維成分(主にコラーゲン)が過剰に生成されてできるものです。

瘢痕が盛り上がって目立つ場合、特に顔や首、胸元など露出の多い部分では心理的な負担が大きくなることもあります。白くなるのは、瘢痕部分に色素細胞(メラノサイト)が少ないためで、肌本来の色と比べてコントラストが強く出てしまいます。

 

ケロイドと肥厚性瘢痕の見分け方

瘢痕が盛り上がった場合、「ケロイド」か「肥厚性瘢痕」のどちらかの可能性があります。これらは見た目が似ていますが、性質や治療法に違いがあります。ご自身の傷跡がどちらに近いか、チェックしてみましょう。

特徴 肥厚性瘢痕 ケロイド
発症部位 傷に一致した範囲 傷を超えて広がる
発症時期 傷が治った直後〜数ヶ月以内 数ヶ月〜1年後に出現することも
色調 赤みが強い 赤紫〜茶色っぽいことも
痛み・かゆみ ある場合もある 強いかゆみや痛みを伴うことが多い
自然退縮 数年かけて改善することも 放置しても悪化する可能性が高い

ケロイドと肥厚性瘢痕を見分けるポイントは、傷の範囲やかゆみや痛みの強さ、色調から簡易的な判断ができます。ただし、正確な診断は皮膚科や形成外科などの専門医に相談することが大切です。

 

盛り上がる瘢痕化の原因とは

瘢痕が盛り上がる背景には、体質的な要因と外的な刺激が関係しています。主な原因は以下の通りです。

  • ・体質:ケロイド体質の人は、わずかな傷でも大きく盛り上がる
  • ・傷の部位:胸や肩、耳などは皮膚の張力が強く、瘢痕化しやすい
  • ・過度な刺激:傷の治癒途中でかきむしったり、強く擦ったりすると、瘢痕が悪化しやすくなる
  • ・感染や炎症:治癒中の炎症が強いと、コラーゲンが過剰に産生され、盛り上がった瘢痕になりやすい

瘢痕が盛り上がってしまう原因には、もともとの体質や外からの刺激など、さまざまな要素が関係しています。

中でも「ケロイド体質」と呼ばれる人は、ちょっとした傷でも傷跡が大きく盛り上がりやすい傾向があります。また、胸や肩、耳のまわりなど皮膚が引っ張られやすい場所は、傷跡が目立ちやすく、肥厚性瘢痕やケロイドができやすい部位とされています。

さらに、傷が治る途中でかゆくなって掻いてしまったり、服やタオルなどで何度もこすれたりすると、炎症が長引いて傷跡が悪化することがあります。傷口にばい菌が入ったり、強い炎症が起きたりすると、傷の治り方が乱れて、瘢痕がより盛り上がりやすくなります。

そのほかにも、遺伝的な要因や年齢、ホルモンバランス、ストレスの影響もあると考えられています。また、傷の深さや、適切なケアが行われたかどうかによっても、傷跡の状態は大きく変わってきます。

このように、瘢痕が盛り上がるかどうかは一つの理由だけではなく、いくつかの要因が重なって起こるため、ひとりひとりの状態に合わせた正しい対処が大切です。

 

盛り上がりによる傷跡を治療する方法の選び方

治療法を選ぶ際には、瘢痕の種類・大きさ・部位・年数、そして患者自身の希望を考慮する必要があります。以下に、主な治療法の比較表を掲載します。

治療法 メリット デメリット
保存療法(テープ・クリーム) 手軽・副作用が少ない 効果が出るまで時間がかかる/進行した瘢痕には不十分
ステロイド注射 比較的早く効果が出る 痛み・皮膚萎縮のリスクあり/複数回の施術が必要
レーザー治療 赤みや盛り上がりを改善 保険適用外のことが多い/複数回必要
手術療法 盛り上がりの除去が可能 傷の再発・再瘢痕化リスクあり/ダウンタイムが長い

保存療法とは、傷跡保護テープ(シリコンジェルシートなど)や、瘢痕改善クリームを使用して皮膚の過剰な引っ張りや乾燥を防ぎます。テープやクリームは、軽度の瘢痕や予防目的に向いています。即効性はありませんが、副作用が少なく自宅で継続しやすいのが特徴です。

ステロイド注射は、瘢痕部分の炎症やコラーゲン生成を抑え、盛り上がりを改善します。特にケロイド治療において広く用いられます。

レーザー治療(フラクショナルレーザーやVビームなど)は、赤みの改善や皮膚の再構築を促進します。いずれも複数回の施術が必要ですが、外科手術よりは負担が少ない治療法です。

手術療法は、ダウンタイムが長いデメリットがありますが、1回の施術で瘢痕を目立たなくできる可能性があります。流れや注意点については、下記をご参照ください。

手術による治療の流れと注意点

手術による治療は、瘢痕の切除やZ形成術(傷の向きを変える手術)などが行われます。当院では、丁寧なカウンセリングを行い、治療方針や注意点についての詳しい説明の後、施術を行います。施術には高度な技術が必要で、術後の管理がとても重要です。再発を防ぐために、術後もテープ固定やステロイド治療を併用することが多いです。

注意点として、手術をすれば必ず綺麗になるとは限らず、逆に再瘢痕化やケロイド再発のリスクも伴います。手術の適応は医師と相談し、慎重に判断しましょう。

 

白い傷跡の治療を始める前に知っておきたいこと

治療を始める前に、知っておくべきポイントがいくつかあります。事前に理解しておくことで、後悔のない選択につながります。

ここでは、治療費用や通院回数、ダウンタイムから治療先の選び方まで詳しく紹介します。

治療費用・通院回数・ダウンタイムまとめ

治療法別の費用・通院回数・ダウンタイムを下記のようにまとめました。

治療法 費用(目安) 通院回数 ダウンタイム
保存療法 数千円~ 通常なし なし
ステロイド注射 1回数千円〜1万円前後 月1回ペースで数回 2~3日腫れることあり
レーザー治療 1回1万〜3万円(自由診療) 5〜10回 赤みや皮むけあり(数日)
手術療法 数万円〜十数万円(保険適用あり) 数回(術前・術後) 1〜2週間程度

※費用・通院頻度は施設により異なります。

保険適用されない自由診療の場合、クリニックによって費用が大きく異なることもあります。また、通院回数もクリニックによって異なるため、事前に確認が必要です。

傷跡治療を失敗しない治療先の選び方

治療の成功には、適切な医療機関選びが欠かせません。以下の点を参考にしてください。

  • ・形成外科や皮膚科で「瘢痕治療」を専門としているか
  • ・症例写真や実績を公開しているか
  • ・医師の説明が丁寧で納得できるか
  • ・術後のアフターフォロー体制があるか

それぞれ詳しく説明します。

形成外科や皮膚科で「瘢痕治療」を専門としているか

瘢痕治療を受ける際は、その医療機関が「瘢痕・傷跡治療」に力を入れているかどうかを確認することが重要です。例えば、肥厚性瘢痕やケロイドの治療では、注射・外用薬・圧迫療法・レーザー・手術など、多様な治療法を組み合わせて対応する必要があるため、専門的な知識と経験が求められます。ホームページなどで「瘢痕・ケロイド治療に対応」「形成外科専門医が在籍」などの記載があるかをチェックすると良いでしょう。

症例写真や実績を公開しているか

治療を受ける前に、実際の症例写真や治療実績を確認できるかどうかは、信頼性を判断する重要な材料です。症例写真を見ることで、自分の傷の状態と似たケースがどのように改善されたのか、治療後の仕上がりのイメージをつかむことができます。ただし、症例写真が極端に加工されていたり、ビフォーアフターの差が不自然に見える場合は注意が必要です。

医師の説明が丁寧で納得できるか

瘢痕治療は一度で完了するケースは少なく、治療内容・期間・費用・リスクなどをしっかり理解したうえで受けることが大切です。そのため、医師が患者の状態をよく診察し、治療の選択肢や期待できる効果、注意点などを丁寧に説明してくれるかどうかは、非常に重要なポイントです。

術後のアフターフォロー体制があるか

瘢痕治療は、術後のケアが仕上がりに大きく影響します。治療後の経過観察や、再発・色素沈着・かゆみなどのトラブルへの対応がしっかり整っているかも確認すべきポイントです。

たとえば、「定期的な再診スケジュールがある」「必要に応じて追加の処置ができる」「電話やオンラインで相談できる窓口がある」といった体制があると安心です。

 

白い傷跡の治療なら大阪梅田形成外科粉瘤クリニックへ

本記事では、白く盛り上がった傷跡の原因や治療法について詳しく解説しました。

白く盛り上がる傷跡は瘢痕化によるもので、肥厚性瘢痕とケロイドという2つの状態に分けられます。それぞれの特徴を理解したうえで、適切な治療法を選ぶことが重要です。

治療法にはテープやクリームから手術までさまざまな選択肢があり、症状の程度や希望に応じて選ぶ必要があります。また、治療を始める前には、費用・通院回数・ダウンタイムなども確認し、信頼できる医療機関を選ぶことが成功への鍵です。

自分の傷跡のタイプと状態をしっかり把握し、焦らず、丁寧に向き合っていきましょう。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

他にも多くの治療について解説しております。