昔の傷跡を目立たなくするには?基礎からわかる消す方法

「昔できた顔の傷跡、最近また気になってきた…」
「この傷さえなければ、もっと自信を持てるのに…」
「昔の傷跡って、もうどうにもならないのかな?」
そう考えているあなたへ。
子どもの頃にできた傷跡は、長年放置していると“もう消せない”と諦めてしまいがちです。

しかし、実は正しい知識とケアで目立たなくすることは可能です。
この記事では、傷跡が残る仕組みから、自宅でできるケア、医療による治療法までをわかりやすく解説します。

 

昔の傷跡って消せるの?まず知っておきたいこと

体の一部に刻まれた昔の傷跡は、時に自己肯定感を低下させ、人目が気になってしまう原因となることがあります。もう消えないと諦めていた昔の傷跡も、適切な知識と対処法を知ることで、目立たなくすることが可能です。

 

傷跡が残るメカニズムとは?

私たちの肌は、切り傷や擦り傷、手術ややけどなどによって損傷を受けると、損傷を修復するために「創傷治癒」というプロセスが始まります。創傷治癒とは、傷が治る過程を指し、通常、血液凝固、炎症、増殖、そして再構築の4つの段階を経て進みます。炎症反応・組織増殖・リモデリングという3段階が進行し、最終的に瘢痕(はんこん)と呼ばれる組織に置き換わります。

健康な皮膚の組織は、コラーゲン線維が規則正しく並んでいることできれいな肌を形成しています。しかし、瘢痕は、コラーゲンが過剰に生成されたり、逆に不十分だったりすることで、本来の肌とは異なる見た目や質感になります。その結果、赤みや色素沈着、盛り上がり、凹みなどが残ってしまうのです。

傷跡が残るかどうかには、傷の深さや部位、治療のタイミング、個人の体質などが大きく関わります。特に、ケロイド体質の人は、軽い傷でも目立つ瘢痕になりやすいため、注意が必要です。

 

昔の傷跡でも改善はできる?

たとえ何年も経過した傷跡であっても、適切なケアや治療を行うことで目立たなくすることは可能です。

傷跡ができてから時間が経つと、コラーゲン線維の再構築がある程度完了し、安定した状態になります。しかし、完全に修復が終わったわけではなく、肌のターンオーバーや血行促進、コラーゲンのリモデリング(再構築)は常に体内で行われています。

もちろん、新しい傷ほど改善しやすいのは事実ですが、近年では医療技術の進歩により、色味の改善、盛り上がりの軽減、凹みの目立たなくするなど、古い傷跡でも対応できる治療法が増えています。例えば、フラクショナルレーザーやダーマペンなどは、皮膚の再生を促す効果があり、過去の傷跡に対しても改善が見込めます。

 

あなたの傷跡はどのタイプ?主な傷跡の種類と特徴

傷跡にはさまざまな種類があり、見た目や治療法にも違いがあります。以下に、代表的な瘢痕の種類を紹介します。

 

線状瘢痕(せんじょうはんこん)

手術の切開痕や切り傷など、線状に細長く残る傷跡です。比較的浅い傷の場合、目立ちにくいことが多いですが、色素沈着やわずかな盛り上がり、凹みが見られることもあります。

 

弁状瘢痕(べんじょうはんこん)

皮膚が盛り上がり、まるで弁のような形状をしている瘢痕です。火傷などにより皮膚が引きつれてできる傷跡で、特に大きな関節部などにできると、皮膚がひきつれて関節の動きが制限されることがあります。

 

面状瘢痕(めんじょうはんこん)

やけどや大きな擦過傷のように、広い範囲にわたって残る平坦な瘢痕です。肌の色や質感が変わるため、見た目が目立ちやすい特徴があります。

 

平滑瘢痕(へいかつはんこん)

滑らかな見た目の瘢痕で、皮膚の凹凸は少ないものの、色調の違いが残ることが多いです。比較的目立ちにくいタイプですが、光の当たり方によっては見えやすくなることもあります。

 

凹凸瘢痕(おうとつはんこん)

傷跡の表面に凹みや盛り上がりが不均一に混在している状態です。ニキビ跡や外傷跡によく見られ、肌のテクスチャにムラが出ます。 ニキビ跡や水疱瘡の跡などによく見られます。

 

陥凹性瘢痕(かんおうせいはんこん)

皮膚が深く凹んでしまった傷跡で、特にニキビ跡などに多く見られます。真皮層までの損傷によって生じ、自然治癒は難しいタイプです。ニキビ跡の「アイスピック型」や「ローリング型」などが該当します。真皮層のコラーゲンが不足したり、破壊されたりすることで生じます。

 

等高性瘢痕(とうこうせいはんこん)

周囲の皮膚と同じ高さで、見た目には比較的目立ちにくい瘢痕です。ただし、肌の色や質感が異なるため、光の加減で目立つことがあります。周囲の皮膚と同じ高さで、色素沈着や色素脱失があるものの、凹凸がない傷跡です。

 

隆起性瘢痕・肥厚性瘢痕(りゅうきせい・ひこうせいはんこん)

傷が治った後にコラーゲンが過剰に生成され、皮膚が盛り上がるタイプです。ケロイドや肥厚性瘢痕がこれに該当し、赤みやかゆみを伴うことがあります。ケロイドは特に体質的な要因が大きく関与し、治療が難しい場合があります。

傷跡には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。自分の傷跡がどのタイプに当てはまるのかを理解することは、適切なケアや治療法を選択する上で非常に重要です。

 

昔の傷跡を目立たなくするセルフケア

過去の傷跡でも、日々のセルフケアによって目立ちにくくしたり、悪化を防いだりすることが可能です。

例えば、保湿効果の高いジェルやクリーム、ビタミンC配合の美容液を使うことで、肌の柔軟性維持や色素沈着の改善が期待できます。また、紫外線対策も重要で、日焼け止めや衣類でしっかり守ることが必要です。さらに、乾燥は傷跡の治癒を妨げるため、丁寧な保湿も欠かせません。

ただし、セルフケアはあくまで補助的なものであり、深い傷跡には限界があります。効果を感じにくい場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

 

昔の傷跡を医療機関で消す方法

セルフケアでは改善が難しい昔の傷跡も、医療機関での専門的な治療によって目立たなくすることが可能です。傷跡の種類や状態、個人の体質によって最適な治療法は異なります。

 

代表的な治療法と特徴

ここでは、医療機関で受けることができる治療方法について詳しく解説していきます。

 

レーザー治療

特定の波長の光エネルギーを傷跡に照射することで、肌の再生を促したり、色素を破壊したりする治療法です。
例えば、フラクショナルレーザーは、微細なレーザー光を点状に照射し、皮膚に小さな穴を開けることで、肌の自然治癒力を高め、コラーゲン生成を促進します。凹凸のある傷跡や、肌の質感を改善したい場合に用いられます。複数回の治療が必要となることが多いです。

また、ピコレーザーは、非常に短いパルス幅(ピコ秒単位)でレーザーを照射し、色素沈着を破壊する効果に優れています。主に色素沈着が目立つ傷跡や、タトゥーの除去などにも使用されます。レーザー治療は、ダウンタイム(治療後に肌が回復するまでの期間)がある場合があり、治療後の紫外線対策が非常に重要です。

 

ダーマペンやピーリング(肌再生を促す)

ダーマペンは、極細の針で皮膚に微細な穴を開けることで、肌の自然治癒力を引き出し、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。ニキビ跡の凹みや、肌の質感改善に効果が期待できます。

ピーリングは、特定の酸(グリコール酸、サリチル酸など)を皮膚に塗布することで、古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進します。色素沈着の改善や、肌のトーンアップに効果的です。

これら以外にも、外科手術による傷跡修正(切除縫合、皮膚移植など)や、放射線治療、圧迫療法など、様々な治療法が存在します。

 

治療の選び方と費用

治療法の選択は、傷跡の種類、深さ、大きさ、色、部位、個人の体質、ライフスタイル、そして予算など、様々な要因を考慮して決定されます。自己判断で治療法を選ぶのではなく、必ず皮膚科や形成外科などの専門医の診察を受け、適切な診断とアドバイスを受けることが重要です。

費用については、治療法や回数、医療機関によって大きく異なります。レーザー治療やダーマペン、ピーリングなどは自費診療となることが多く、数万円から数十万円かかる場合があります。

初診時に、医師から治療法の詳細な説明とともに、予想される費用についても確認し、納得した上で治療を開始するようにしましょう。複数の医療機関でセカンドオピニオンを聞くことも、より良い選択をする上で有効です。

効果を得るには複数回の施術が必要なケースも多いため、トータルコストを考えて治療法を選びましょう。また、傷跡修正が保険適用となるかどうかは、医師の診断によって異なります。

 

アフターケアで結果が変わる!治療後のケア方法

医療機関での専門的な治療を受けた後のアフターケアは、治療効果を最大限に引き出し、傷跡の再発や悪化を防ぐ上で非常に重要です。治療内容や医師の指示に従い、適切なケアを継続することが、理想の肌を取り戻すための鍵となります。

 

紫外線対策

治療後の肌は、非常にデリケートな状態であり、特に紫外線に対する感受性が高まります。紫外線は、炎症後色素沈着を引き起こし、せっかく改善した傷跡が再び目立ってしまう原因となります。そのため、徹底した紫外線対策が不可欠です。

 

保湿・マッサージ・刺激の回避

治療後の肌は乾燥しやすいため、適切な保湿ケアが重要です。

保湿の方法としては、医師から処方された軟膏や、刺激の少ない保湿剤をこまめに塗布し、肌のバリア機能をサポートしましょう。保湿は、肌のターンオーバーを正常に保ち、傷跡の治癒を促す効果も期待できます。

マッサージは、傷跡の種類や治療内容によっては、医師の指導のもとでマッサージを行うことが推奨される場合があります。ただし、自己判断での強いマッサージは逆効果になる可能性もあるため、必ず医師の指示に従ってください。

刺激の回避は、治療後のデリケートな肌にとって重要です。摩擦や物理的な刺激、化学的な刺激(刺激の強い化粧品など)は避けるべきです。洗顔やスキンケアの際は優しく行い、擦ったり引っ掻いたりしないように注意しましょう。入浴時も、熱すぎるお湯や長時間の入浴は避け、体を洗う際も泡で優しく洗うように心がけてください。

 

定期的な経過観察

治療後の経過は個人差が大きく、予測できない変化が生じる可能性もあります。そのため、医師の指示に従い、定期的に医療機関を受診し、経過観察を行うことが非常に重要です。

医師は、傷跡の状態を評価し、必要に応じて治療計画の調整や追加のケアを指示してくれます。何か異変を感じた場合は、次回の受診を待たずに速やかに医療機関に連絡し、指示を仰ぎましょう。

 

まとめ

本記事では、昔の傷跡を消す方法について詳しく解説しました。

昔の傷跡であっても、諦める必要はありません。
まずは傷跡のタイプを把握し、セルフケアと医療機関での治療の選択肢を理解することが第一歩です。しかし、セルフケアだけでは改善が難しいケースも多く、医療機関での専門的なアプローチが効果的な場面もあります。レーザー治療、注射、ダーマペンなどの方法から、自分に最適な治療法を選びましょう。治療後も、アフターケアを怠らず継続することで、美しい肌への近道となります。

もし「昔の傷跡を本気で改善したい」とお考えであれば、まずは当院での無料カウンセリングから始めてみてはいかがでしょうか?あなたの諦めていた肌を取り戻すための一歩を踏み出してみませんか。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

他にも多くの治療について解説しております。