- 凹みのある傷跡(瘢痕)とは?原因と特徴
- 凹みはセルフケアで治せる?おすすめのクリームやスキンケア方法
- 凹み傷に効果が期待できる主な傷跡修正方法
- 傷跡修正に保険は適用?治療費の目安と確認すべきポイント
- 傷跡修正で失敗しないために知っておくべき医療機関の選び方
「長年ニキビ跡の凹みが気になっている…」
「ファンデーションでも隠れない肌の凹みをどうにかしたい」
「傷跡修正の治療ってどんなものがあるんだろう?」
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ニキビ跡の凹みは、適切なケアと専門的な治療によって改善が期待できます。
本記事では、凹み傷跡(瘢痕)の原因や自宅でできるセルフケア方法から、傷跡修正の治療方法や治療で後悔しないためのポイントまで詳しく解説しています。
凹みのある傷跡(瘢痕)とは?原因と特徴
周囲の皮膚よりも凹んでしまう傷跡を「陥凹性瘢痕(かんおうせいはんこん)」と呼びます。陥凹性瘢痕は、皮膚が損傷し、炎症により組織が破壊されて凹凸状になった状態を指します。一般的に「凹みのある傷跡」として認識されています。
このような凹みはなぜできてしまうのでしょうか?
主な原因と特徴を見ていきましょう。
凹みのある傷跡ができる原因
凹みのある傷跡ができる原因は、主に以下の2つが考えられます。
真皮の損傷と組織の欠損
皮膚の表面だけでなく、リストカットなどの刺創や咬傷など皮膚の奥にある真皮層まで深く傷ついた場合、真皮層の組織が失われてしまいます。通常、傷が治る過程でコラーゲンなどが生成され、失われた組織を埋めようとします。しかし、真皮の深い部分まで損傷があると、完全に組織が再生されず、結果として皮膚が陥没して凹みが生じます。
炎症による組織破壊
ニキビや水疱瘡などの炎症が長引いたり、重症化したりすると、炎症によって周囲の組織が破壊されてしまいます。特に、コラーゲン線維やエラスチンといった皮膚の弾力性を保つ重要な成分が破壊されると、皮膚を支える力が弱まり、凹みが生じやすくなります。
凹みのある傷跡の主な種類と特徴
凹みのある傷跡には、その形状や深さによっていくつかの種類があります。
アイスピック型
名前の通り、アイスピックで刺したようなV字型の深い凹みが特徴です。直径2mm以下の狭く深い凹みで、真皮の奥深くまで達していることが多くなっています。アイスピック型は、ニキビ跡によく見られます。
ボックスカー型
ボックスカー型は、四角く、エッジが角張った形状で比較的平坦な底を持つ凹みです。水疱瘡の跡に多く見られます。
ローリング型
ローリング型は、皮膚の表面は比較的滑らかに見えるものの、緩やかな波状の不明瞭な凹凸があるタイプです。広範囲にわたって凹みが見られることがあります。表皮が筋膜と癒着し、筋肉の動きに引っ張られて凹みが強調されることがあります。
上記のようなの凹みのある傷跡は、見た目の問題だけでなく、触るとゴツゴツしたり、周囲の皮膚との質感の違いを感じたりすることもあります。
凹みのある傷跡の治療法は、傷跡の種類や深さ、そして患者様の希望によって様々です。ご自身の傷跡がどのタイプに当てはまるのか、そしてどのような治療法が適切なのかを知るためには、専門医の診察を受けることが重要です。
凹みはセルフケアで治せる?おすすめのクリームやスキンケア方法
凹んでしまった傷跡を自宅で治したいと考える方は少なくありません。実際に、セルフケアである程度の改善が期待できるケースも存在します。ただし、凹みの深さや皮膚へのダメージの程度によって限界があるのも事実です。
市販の傷跡修正用クリーム
市販されている傷跡修正用のクリームには、ヘパリン類似物質、アラントイン、ビタミンC誘導体などが含まれており、肌の炎症を抑えたり、保湿してターンオーバーを促す効果が期待できます。ただし、これらはあくまで「表皮」に働きかけるもので、真皮層より深い陥凹性の瘢痕には大きな効果は見込みにくいのが現実です。
保湿ケア
次に重要なのが保湿ケアになります。乾燥によって肌の回復力は大きく低下するため、ワセリンやセラミド入りの保湿剤で肌をしっかり守ることができ、凹みの悪化を防ぐうえで非常に有効です。しかし、悪化を防ぐだけで、根本的な治療は難しいです。
市販のピーリング製品
市販のピーリング製品(AHA・BHA配合)を使って古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促す方法もあります。特に色素沈着を伴う凹みに対しては、肌全体の明るさや滑らかさを取り戻す効果があります。ただし、使用頻度を誤ると刺激となり逆効果になるため、製品の使用方法をしっかり守ることが重要です。
凹み傷に効果が期待できる主な傷跡修正方法
凹み傷に対するセルフケアに限界を感じている方にとって、医療機関での治療は現実的かつ効果的な選択肢です。以下に代表的な治療方法を紹介します。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、凹んだ部分に直接注入することで一時的にボリュームを回復させる治療法です。即効性があり、ダウンタイムもほとんどないため、手軽に受けられるのが魅力です。ただし、数ヶ月〜1年程度で体内に吸収されてしまうため、定期的なメンテナンスが必要です。
ダーマペン
ダーマペンは、微細な針で肌に目に見えない微細な穴を開け、自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促進する施術です。凹みだけでなく毛穴の開きや肌質改善にも効果があります。3〜5回の施術を通じて、肌全体の凹凸がなめらかになっていきます。
施術の流れは以下の2ステップで行われます。
Step 1:極細の針で目に見えない傷をつけて刺激
1時間ほど(※範囲や傷の程度により異なります)の施術で特殊な細い針を用いて、真皮層に小さな傷を作ります。施術には、麻酔クリームを使用します。
Step 2:真皮層のコラーゲン生成を促進
傷が回復する過程でコラーゲンが増生され、肌全体の凹凸がなめらかに整っていきます。繰り返しの施術により、傷跡が薄く自然にぼかされたような仕上がりになります。3〜4週間に1回、計3回程度の施術がおすすめです。
副作用は、細菌感染、かさぶた、炎症後の色素沈着、皮下出血、紫斑などができる可能性があります。当日はシャワーのみなら大丈夫ですが、入浴は翌日からになります。
レーザー治療
レーザーを用いて皮膚の深部に熱刺激を与え、コラーゲンやエラスチンの再構築を促す方法です。特にニキビ跡や手術痕などに有効で、深い凹みにも対応可能です。ダウンタイムは数日〜1週間ほどありますが、継続することで高い改善効果が期待できます。
上記の治療法は、症状や肌質、希望の仕上がりに応じて選択することが大切です。医師と十分に相談し、最適な方法を選びましょう。
傷跡修正に保険は適用?治療費の目安と確認すべきポイント
医療機関での傷跡修正を考える際、多くの方が「保険が効くのか?」という疑問を抱きます。以下に、保険適用と費用面で知っておくべき3つのポイントを紹介します。
目的で保険適用が決まる
原則として、美容目的の傷跡修正には保険は適用されません。しかし、外傷や手術などによる傷跡で、機能障害や日常生活に支障をきたしている場合には、保険適用となるケースがあります。
例えば、関節の動きを妨げる瘢痕やケロイドなどは医療目的と判断される可能性があります。
自由診療の費用相場を事前に確認する
自由診療の治療費はクリニックによって大きく異なります。治療方法や治療箇所の範囲でも金額に差が出ます。
当院での費用は下記の通りです。
名称 | 診療料金 |
---|---|
傷跡修正 顔 ~2㎝ | ¥110,000 |
傷跡修正 顔 2㎝~4㎝ | ¥165,000 |
傷跡修正 顔 4㎝~6㎝ | ¥220,000 |
傷跡修正 顔 6㎝~+2㎝毎 | ¥110,000 |
傷跡修正 その他 ~2㎝ | ¥88,000 |
傷跡修正 その他 2㎝~4㎝ | ¥132,000 |
傷跡修正 その他 4㎝~6㎝ | ¥154,000 |
傷跡修正 その他 6㎝以上~+2㎝毎 | ¥88,000 |
傷跡修正 ダーマペン ~2㎝ | ¥8,800 |
傷跡修正 ダーマペン 2㎝~4㎝ | ¥17,600 |
傷跡修正 ダーマペン 4㎝~6㎝ | ¥26,400 |
傷跡修正 ダーマペン 6㎝以上~+2㎝毎 | ¥8,800 |
症状により複数回の治療が必要になることもあるため、事前の見積もり確認が非常に重要です。
医療ローンや分割払いの活用も検討を
一度に大きな出費が難しい場合は、医療ローンや分割払いが可能なクリニックを選ぶのもひとつの手です。月額数千円〜で治療を受けられる場合もあるため、カウンセリング時に支払い方法の選択肢を確認しましょう。
傷跡修正で失敗しないために知っておくべき医療機関の選び方
せっかく高いお金と時間をかけるなら、後悔のないクリニック選びが重要です。以下のポイントをおさえることで、信頼できる医療機関を見極めることができます。
症例写真の掲載が豊富か確認する
実際の治療実績を知るには、ビフォーアフター写真の確認が最もわかりやすい方法です。症例が豊富に掲載されているクリニックは、実績に自信がある証拠でもあります。
専門医が在籍しているかどうか
傷跡修正には、高度な縫合技術や専門的な知識が必要です。形成外科や美容外科など、傷跡修正の専門分野に強い医師が対応しているかを必ず確認しましょう。
丁寧なカウンセリング
安心して治療を受けるには、カウンセリングの質も重要です。あなたの悩みに親身に寄り添い、納得いくまで説明してくれる医師がいるクリニックを選びましょう。無理な勧誘がないのも魅力の1つになります。
アフターケア体制が整っている
万が一のトラブルが起きたとき、しっかり対応してくれる体制があるかどうかも、事前に確認しておくと安心です。カウンセリング時に万が一を想定した質問をしてみましょう。
最終的に選ぶべきなのは、価格の安さではなく、安心して任せられる技術力と対応力のあるクリニックです。
ニキビ跡の「凹み」に悩んでいる方は当院にご相談ください
本記事では、凹み傷跡の原因や自宅でできるセルフケア方法から、傷跡修正の治療方法や治療で後悔しないためのポイントまで詳しく解説してきました。凹みのある傷跡は、セルフケアだけでは十分な改善が難しいケースが多く、医療機関での適切な治療が鍵となります。
ヒアルロン酸注入、ダーマペン、フラクショナルレーザーといった治療法にはそれぞれ特長があり、症状に合わせて選択が可能です。保険適用の有無や治療費も重要なポイントです。
そして、最も大切なのは信頼できる医師と医療機関を選ぶことです。実績・症例・説明の丁寧さ・アフターケア体制などを確認し、自分の悩みに寄り添ってくれる場所を見つけましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。