脂肪腫は胸にもできる?受診すべき医療機関や考えられる疾患を解説

脂肪腫は体のどこにでもできる良性のしこりであるため、胸にできることもあります。しかし、胸のしこりが脂肪腫かどうかを自己判断することは困難です。医師でも見た目や触診だけでは分からないことが多いため、正確な診断をするためには専門的な検査が必要になります。

本記事では、脂肪腫の特徴や治療方法、脂肪腫に似た胸にできるしこりの種類について詳しく解説します。どの疾患でも、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。胸に気になるしこりができた場合は、すぐに病院を受診し専門医の診断を仰ぎましょう。

脂肪腫の特徴

脂肪腫は脂肪細胞のかたまりで、体のどこにでもできます。

脂肪腫のはっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝的な要因や外的刺激を受けやすい箇所にできやすいといわれています。

一般的に無症状で、痛みも伴いません。ただし、周囲の組織を圧迫すると痛みが現れることがあります。脂肪腫のサイズはさまざまで、数mmのものから10cmを超える大きなものまであります。だんだん大きくなっていく可能性もあり、発症部位によっては日常生活に支障をきたす場合があるため注意が必要です。

脂肪腫は放置していても命にかかわる疾患ではありませんが、自然に治ることもありません。美容的な観点や不快感を考慮して、早めの治療が推奨されています。脂肪腫が気になる場合や大きさが増している場合は専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

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脂肪腫は胸にもできる良性の腫瘍

前述したとおり、脂肪腫は体のどこにでもできる良性腫瘍のため、胸にもできる可能性があります。胸にできた脂肪腫は、見た目や触診だけでは他の疾患との判断が難しいため、マンモグラフィーや超音波検査などで確認が必要です。

・マンモグラフィー:乳房のX線検査で腫瘍の有無や性質を確認
・超音波検査:腫瘍の位置や大きさ、内部の構造を確認

専門的な検査を行うことで、脂肪腫の位置や大きさ、他の腫瘍や病変との区別が可能となります。胸にしこりがある場合は他の疾患の可能性もあるため、医師に相談し適切な検査を受けることが重要です。脂肪腫と似ている疾患については、後ほど詳しく解説します。

胸にできた脂肪腫の治療方法

胸にできた脂肪腫の治療方法は、症状によって異なります。
無症状の場合は、経過観察が一般的です。定期的に医師の診断を受け、大きくなっていないか、痛みの症状が出ていないかなどの確認を行います。
痛みや不快感がある場合、もしくは見た目が気になる場合は、外科手術が検討されます。手術は以下の手順で行われます。

  • ・局所麻酔:手術前に局所麻酔を行い痛みを軽減
  • ・切開:脂肪腫の位置に応じて切開
  • ・完全切除:脂肪腫を完全に取り除く

 

手術後、傷跡が残る可能性がありますが、脂肪腫が小さい段階で治療をすれば傷跡も小さくて済みます。
なお、脂肪腫は脂肪細胞のため注射器で吸引することはできず、外用薬で治ることもありません。したがって、脂肪腫を治療する際は外科手術が必要になります。

内部リンク:脂肪腫(リポーマ)の手術|大阪梅田形成外科粉瘤クリニック

胸にできた脂肪腫が再発する可能性

胸にできた脂肪腫は、完全に取り除けば再発の心配はほとんどありません。ただし、手術時に取り残しがあると再発のリスクが高まります。さらに、脂肪腫ができやすい体質の場合、新たな脂肪腫が発生することも考えられます。
完全に取り除けば再発のリスクは少ないものの、万が一再発した場合や新たな脂肪腫ができた場合は、早めに医師に相談することが重要です。

胸にできる腫瘍で脂肪腫以外に考えられる症状

胸にできる腫瘍で脂肪腫以外に考えられる症状は以下のとおりです。

胸にできる腫瘍 症状 痛み
粉瘤 ・皮脂や角質が溜まった腫瘤
・腫れや赤み、悪臭など
悪化して炎症を起こすと痛む
ニキビ ・毛穴の詰まりでできるできもの
・膿を伴うこともある
圧力をかけると痛む
乳房症 ・乳房が腫れて大きくなる 圧迫感や鈍痛
乳がん ・しこりができ、進行すると変形やくぼみなどができる
・初期は無痛
進行すると痛むことがある

それぞれの症状について、詳しく見てみましょう。

脂肪腫(リポーマ)の治療方法

粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)は、皮脂や角質などの老廃物が溜まって形成されるドーム状の腫瘤で、体のどこにでもできる良性のしこりです。胸にできることもあり、脂肪腫と比較すると硬くて弾力があります。

特徴的なのは、腫瘤の中央に黒点が見えることです。これは、詰まった皮脂や角質が出口をふさいでいるためです。
通常は無症状ですが、炎症を起こすと赤く腫れて痛みを伴うことがあります。自然に治癒することはなく、放置すると破裂したり症状が悪化したりする可能性があるため、早めの治療が推奨されています。

治療方法は、外科手術が一般的です。局所麻酔を行い、腫瘤を完全に取り除きます。完全に除去することで、再発のリスクも抑えられます。

ニキビ

ニキビは皮脂腺が詰まり、細菌が増殖することで発生するできもので、体のどこにでも現れる可能性があります。

胸にも皮脂腺が多いため、ニキビが発症することは珍しくありません。ホルモンバランスの乱れや、不適切なスキンケアも原因の一つです。

また、胸は汗をかきやすい部位であるため、衣服やカバンのストラップなど、摩擦によって症状が悪化することもあります。顔にできるニキビと同様、胸にできたニキビも外用薬などで治療が可能です。

自然に治ることもありますが、適切なケアを行うことで早期改善が期待できます。

乳房症

乳房症とは、男性の乳房が女性の乳房のように発達する症状のことです。

医学的には「偽性女性化乳房」や「女性化乳房」と呼ばれます。大きくなった乳房を押すと、圧痛を感じることがあります。
乳房症は、発症する割合が低い疾患です。原因はホルモンバランスの崩れや、前立腺がんの治療に用いられる一部の薬など、特定の薬物療法を行っている場合に発症するとされています。

一般的には、特別な治療は必要ありません。多くの場合は自然に解消しますが、症状が長期間続くようであれば医師に相談しましょう。

乳がん

乳がんは、乳腺に発生する悪性腫瘍(がん)です。典型的な症状として、乳房や脇の下に触っても動かない硬いしこりができます。

また、乳房の形や大きさの変化、乳頭からの分泌物、さらには皮膚の変色やへこみを伴うこともあります。乳がんは女性に多く見られるがんですが、男性でも発症することがあるため注意が必要です。

乳がんは早期発見と治療が極めて重要で、進行する前に発見できれば治療の成功率が大幅に上がります。そのため、定期的な健診や、年齢に応じたマンモグラフィー、超音波検査などの検査が推奨されています。

脂肪腫が胸にできたら何科を受診する?

脂肪腫が胸にできた場合は、形成外科もしくは乳腺科を受診しましょう。

胸のしこりが、脂肪腫か他の病変かを区別する必要があります。しかし、見た目や触診では判断が難しいため、マンモグラフィーや超音波検査などの専門的な検査が必要です。

脂肪腫と診断され治療を希望する場合は、形成外科の受診が適しています。理由は以下の2つです。

・外科手術の専門性が高い
・傷跡の配慮をしてくれる

形成外科の医師は、手術に特化しているため、脂肪腫を適切に取り除くことができます。また、手術の際は、傷口を最小限に抑えるための技術が用いられます。早めに専門の医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。

まとめ

脂肪腫は、胸にできることもあるしこりの一種です。しかし、他にも考えられる疾患はいくつかあり、正確な診断を行うためには専門的な検査が必要です。中には悪性(がん)の可能性もあるため、胸にできたしこりを放置することは推奨できません。

正しい診断を受け、適切な治療を受けることが重要です。胸のしこりが脂肪腫と診断された場合は、形成外科を受診しましょう。当院では、傷跡の目立たない手術を行っており、日帰り手術も可能です。胸にできた脂肪腫の治療は、当院へお気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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