頭にできものができると、「悪い病気ではないか」「そのまま放置しても大丈夫なのか」と不安になる方も多いでしょう。
頭皮のできものには、イボのような良性の皮膚腫瘍だけでなく、ニキビや粉瘤(アテローム)、まれに悪性腫瘍など、さまざまな種類があります。見た目が似ていても原因や治療方法は異なるため、気になるできものがある場合は自己判断で処置せず、皮膚科や形成外科で診断を受けることが大切です。
この記事では、頭にできものができる主な原因や種類、良性・悪性を見分けるポイント、治療方法について詳しく解説します。
頭にできものができる主な種類

頭皮にできるできものには、以下のような種類があります。
・ウイルス感染によってできるイボ(尋常性疣贅など)
・加齢や紫外線の影響でできる脂漏性角化症
・皮脂や毛穴の炎症によるニキビ・毛嚢炎
・皮脂や角質が袋状にたまる粉瘤(アテローム)
・皮膚の細胞が異常化して発生する皮膚腫瘍
- 頭皮は髪に覆われているため、できものが発生しても気付きにくい部位です。
また、シャンプーやブラッシングの際に引っかかったり、爪で触って出血したりすることで初めて存在に気付くケースもあります。できものの大きさや色、形、変化のスピードなどによって原因を判断する必要があります。
頭にできる代表的なイボ

頭にできるイボには、良性のものから治療が必要なものまでさまざまな種類があります。代表的な良性のイボとして、以下の2つがあります。
・尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
・脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
どちらも基本的には良性ですが、見た目だけでは他の皮膚疾患や悪性腫瘍との区別が難しい場合があります。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発生する代表的なイボです。
皮膚にできた小さな傷からウイルスが入り込むことで、皮膚の表面にある角化細胞が異常に増殖し、盛り上がったできものになります。頭皮の場合、頭を掻いた際の小さな傷などから感染することがあります。一般的には痛みやかゆみなどの症状は少なく、表面が硬く盛り上がることが特徴です。
ただし、自然に消えるまで時間がかかる場合や、数が増える場合もあります。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
脂漏性角化症は、加齢や紫外線の影響によって発生する良性の皮膚腫瘍です。
別名「老人性イボ」とも呼ばれますが、20代など比較的若い年代で発生することもあります。茶色や黒褐色のシミのような見た目から、徐々に盛り上がっていくことが特徴です。表面がざらざらしている、少し盛り上がっている、数が増えてきたという場合には脂漏性角化症の可能性があります。
脂漏性角化症は良性ですが、見た目が気になる場合や衣類・帽子などで擦れて刺激になる場合には治療を行うことがあります。治療方法には、液体窒素療法や手術による切除などがあり、できものの大きさや状態によって適した方法を選択します。
注意が必要な頭のできもの
頭にできものがある場合、多くは良性ですが、中には早めの診察や治療が必要な皮膚腫瘍もあります。特に以下のような変化がある場合は注意が必要です。
・短期間で急に大きくなってきた
・形が左右非対称で境界が不明瞭
・色が急に変化した
・出血やじくじくした状態が続く
・傷やかさぶたがなかなか治らない
これらの特徴があるからといって必ず悪性というわけではありませんが、皮膚がんなどの可能性を確認するため、早めに医療機関へ相談することが大切です。
有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)
有棘細胞がんは、皮膚の表面にある表皮細胞から発生する皮膚がんの一種です。
紫外線を長期間浴びることで発生リスクが高まるとされており、日光を受けやすい頭皮や顔などにも発生することがあります。見た目は赤みのあるしこりや盛り上がったできものとして現れることがあり、イボと間違われる場合があります。
進行すると表面が崩れやすくなり、少しの刺激で出血したり、かさぶたが繰り返しできたりすることがあります。また、治りにくい傷のように見えることもあるため、「長期間治らない頭のできもの」がある場合は注意が必要です。
血管肉腫(けっかんにくしゅ)
血管肉腫は、血管を構成する細胞から発生する非常にまれな悪性腫瘍です。
特に高齢者の頭皮に発生することが多く、進行が早いことや再発しやすいことが特徴です。初期には赤紫色のあざのように見えることがありますが、進行すると盛り上がった腫瘤(しゅりゅう)になる場合があります。
見た目が打撲による内出血やイボのように見えることもありますが、急速に広がる、色が変化する、出血するなどの症状がある場合は早めの受診が必要です。
良性と悪性を見分けるポイント

頭のできものが良性なのか悪性なのかは、見た目だけで判断することはできません。ただし、以下のような変化は医療機関への相談を検討する目安になります。
短期間で大きくなる
できもののサイズが急激に変化する場合は注意が必要です。
色や形が変化する
黒や赤紫色に変化する、境界が不明瞭になる場合があります。
出血や液体が出る
軽く触れただけで出血する、じくじくした状態が続く場合があります。
傷やかさぶたが治らない
長期間治らない部分がある場合は診察を受けましょう。
急に盛り上がってきた
以前からあったできものが急に大きくなる場合は確認が必要です。
頭のできものには良性のものも多いため、必要以上に心配する必要はありません。一方で、悪性腫瘍の場合は早期発見・早期治療が重要です。気になる変化がある場合は、自己判断で様子を見るのではなく、形成外科や皮膚科へ相談しましょう。
頭のできものは自分で取っても大丈夫?

頭にできたイボやできものが気になっても、爪で削る、ハサミで切る、潰すなどの自己処置は避けましょう。無理に取り除こうとすると、以下のようなリスクがあります。
・傷口から細菌が入り感染する
・出血や炎症を起こす
・できものの種類によっては症状が悪化する
・必要な検査ができなくなる可能性がある
特に、見た目がイボに似ていても、実際には皮膚がんなど別の病気である可能性があります。自己判断で処置する前に、医療機関で原因を確認することが大切です。
頭のできものが気になる場合は形成外科へ
頭にできものができた場合、まずは種類を正確に診断することが重要です。
形成外科では、できものの状態を確認し、必要に応じてダーモスコピーなどの検査や病理検査を行い、良性・悪性を判断します。治療が必要な場合には、できものの種類や大きさ、発生場所などを考慮して適切な方法を選択します。
例えば、良性のイボや脂漏性角化症では、液体窒素療法や切除などが行われます。一方、悪性腫瘍が疑われる場合には、病理検査による確定診断を行ったうえで、適切な治療につなげます。
頭皮のできものは髪に隠れて確認しづらく、発見が遅れることもあります。「以前からあるが大きくなってきた」「最近色が変わった」「出血するようになった」などの変化がある場合は、早めに相談しましょう。
まとめ
頭にできものができた場合、その原因はイボや脂漏性角化症、粉瘤、ニキビなどさまざまです。多くは良性のできものですが、中には早めの治療が必要な皮膚腫瘍もあります。
特に、
急に大きくなった
色や形が変化した
出血する
傷やかさぶたが治らない
といった変化がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
当院では、できものの状態を丁寧に確認し、必要な検査を行ったうえで、患者様一人ひとりに合わせた治療方法をご提案しています。頭皮のできものが気になる方は、お気軽にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医としてさまざまな手術経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療に携わり、聖路加国際病院では顔面領域の形態手術、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術にも携わってきました。
この経験を活かし、全身にできる腫瘍の切除において、形成外科的な視点から機能面と整容面の両方に配慮した治療をご提供したいと考えています。












