脂肪腫は何センチで手術が必要?適切なタイミングと手術の流れを解説
「脂肪腫はどれくらいの大きさで手術した方がいい?」
「脂肪腫は良性だから放置していても大丈夫?」
「手術をするなら費用を抑えたい」
体にメスを入れる手術にためらいを感じてしまい、上記のようなお悩みを抱える方は多いです。ただし脂肪腫は、5センチ以上の大きさになると手術での摘出が推奨されます。手術の判断には、サイズの他にも痛み・神経圧迫・急成長があるかどうかも重要です。
本記事では、脂肪腫のサイズ別の対応法や手術のリスク、病院の選び方について解説しています。脂肪腫の治療について悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
脂肪腫とは
脂肪腫とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍のことです。
良性の腫瘍なので、小さいうちは経過観察することもありますが、手術が必要な場合もあります。
腫瘍は、触ると柔らかくゴムのような感じで、動くことが特徴です。
痛みがないことが多いですが、腫瘍が神経を圧迫すると痛みを感じることもあります。
大きさは数ミリ~10センチ以上になることもあります。
脂肪腫の大きさ(センチ)別対応方法
すでに脂肪腫を放置している方にとっては、何センチまで大きくなったら手術が必要になるのか気になるでしょう。ただし大前提として、どんなに小さくても脂肪腫が発覚した時点で医療機関への診察をオススメしています。
小さいうちは問題ないですが、大きくなると手術が必要になるケースがあるので、大きさ別にそれぞれのケースを詳しく解説します。
5センチ以上は手術が推奨
5センチ以上の腫瘍は悪性が疑われるため、手術の検討が必要です。良性の腫瘍だとしても、大きくなると神経や血管を圧迫し、痛みやしびれを感じるリスクが高くなります。
また、見た目が目立ちやすいことや衣類に擦れることによる問題も生じやすくなります。
そのため、小さければ経過観察をすることもある脂肪腫ですが、5センチ以上は手術を検討しましょう。
10センチ以上の巨大脂肪腫は悪性の可能性も
脂肪腫(リポーマ)が10cm以上ある場合は、悪性腫瘍の疑いが更に高まっているので、早急に診察を受けたうえで手術が必要です。脂肪腫は良性腫瘍で、自然に消えることはなくゆっくりと増殖して大きくなります。そのため、目立つ大きさになる前に手術を受けた方が、体への負担が軽減できます。
10センチ以上の巨大脂肪腫の場合や、悪性が疑われる場合、見た目の問題から取りたい場合、痛みがある場合、しこりが硬い場合などは手術がおすすめです。
サイズ以外での手術適応
サイズ以外の判断材料で手術をするケースは、痛みや不快感、美容的な問題が挙げられます。脂肪腫が神経や周囲の組織を圧迫して、痛みやしびれ、あるいは不快感を伴う場合、症状の改善を目的として手術が選択されます。
また、脂肪腫ができる場所によっては、小さくても目立ってしまうこともあります。そういった美容的な問題から脂肪腫が小さい場合でも、手術は選択肢の1つです。
脂肪腫の手術方法とリスク
脂肪腫を除去するためには、切開手術が基本です。ここでは、大きさ別の手術方法やリスクについて解説します。
小さい脂肪腫では、局所麻酔で日帰りが可能です。まずは、手術の種類から見ていきましょう。
手術の種類
脂肪腫の手術では、局所麻酔または全身麻酔で行われます。局所麻酔では、しこりの周囲だけを切開し、細い針でゆっくりと麻酔を行います。
そのため、小さい傷なら痛みをほとんど感じないような手術ができる医院もあります。
全身麻酔は、脂肪腫の位置が神経・血管近く、または筋肉と一体になっている場合に選択されます。全身麻酔の場合、入院が必要になる場合があります。
切開の大きさや縫合の方法
脂肪腫の手術は、局所麻酔や全身麻酔をして腫瘍を切開して摘出する外科手術です。
脂肪腫は液体ではないため、注射器などで吸い取ることは基本的にできません。
そのため、脂肪腫の大きさに合わせた切開が必要です。
脂肪腫の手術の流れは次のとおりです。
-
- 1.手術前に切開ラインをマーキングする
- 2.局所麻酔を注射する
- 3.腫瘍の直上を切開する
- 4.被膜を破らないように周囲組織から剥がして摘出する
- 5.止血する
- 6.必要に応じてドレーンを挿入する
- 7.皮膚を縫合する
脂肪腫は自然に治ることはありません。細胞が残ると再発する可能性があるため、手術では腫瘍を完全に摘出することが必要です。
手術費用と保険適用
脂肪腫の検査、診断、手術、病理検査などの治療はすべて健康保険が適用されます。ただし、脂肪腫の手術費用は、切除する脂肪腫の大きさや露出部位、負担割合などによって異なります。
部位 | 切除する脂肪腫の大きさ | 3割負担 | 1割負担 | 別途費用 |
---|---|---|---|---|
露出部(顔、首、肘~指先、膝~足先) | 2cm未満 | 5,310円~5,910円 | 1,770円~1,970円 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 病理検査費用 3,000円程度 |
2cm~4cm未満 | 11,340円~11,940円 | 3,780円~3,980円 | ||
4cm以上 | 13,410円~14,010円 | 4,470円~4,670円 | ||
非露出部(それ以外) | 3cm未満 | 4,170円~4,780円 | 1,390円~1,590円 | |
3cm~6cm未満 | 10,020円~10,630円 | 3,340円~3,540円 | ||
6cm以上 | 12,810円~13,420円 | 4,270円~4,470円 |
手術のリスク
脂肪腫の手術のリスクには、出血や周囲組織の損傷、傷跡の大きさなどがあります。
脂肪腫は良性腫瘍なので命に関わることはありませんが、大きくなるほど手術のリスクが高くなります。
また、脂肪腫が大きくなると全身麻酔が必要になる可能性もあるため、リスクが高まります。
さらに、腫瘍が悪性だった場合、治療が遅れてしまうリスクもあります。
脂肪腫の手術でリスクを減らすには、大きくなる前に手術を受けることが大切です。
信頼できる医療機関の選び方
手術に不安を感じる場合は、より信頼できる病院を選択する必要があります。
ここでは、どういった病院を選べばいいのか解説します。
脂肪腫手術が得意な診療科
脂肪腫は、形成外科での治療がおすすめです。
皮膚科でも診察は受けられますが、脂肪腫は内服薬や外用薬での治療ができないため、経過観察になる場合があります。
脂肪腫は、皮膚の下にできる良性のしこりで、基本的に手術によって摘出します。
病院選びのポイント
脂肪腫の治療を受ける病院を選ぶ際は、脂肪腫の治療に精通した医師が在籍しているか確認することが重要です。
また、手術実績や傷跡の残りにくさ、健康保険の適用など、さまざまな点も考慮しましょう。
脂肪腫の治療を受ける病院を選ぶときは、下記のポイントをおさえましょう。
- ・脂肪腫の治療実績が豊富な医師がいるか
- ・傷跡が残らない手術をしてもらえるか
- ・健康保険が適用されるか
- ・日帰り手術が可能か
まとめ
本記事では、脂肪腫の手術や病院選びのポイントについて解説してきました。
脂肪腫のサイズと症状をチェックして、適切なタイミングで手術を受けられるように、早めに受診しましょう。
当院では、できるだけ小さい切開で腫瘍を摘出できるように工夫を行っています。また、局所麻酔の痛みを和らげるための極細針を使用して、痛みを軽減するようにしています。まずは、お気軽にご相談ください。
皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科専門医のいるクリニック
大坂梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医による日帰り手術を行っております。粉瘤をはじめ、脂肪腫や眼瞼下垂、耳垂裂と幅広い手術に対応しております。見た目にもきれいな仕上がりで再発の少ない手術を行っております。
また当院では女性の医師による診察・手術も行っております。
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脂肪腫は急に大きくなることはある?しこりの良性と悪性の違いと対処法
脂肪腫は良性のしこりとして知られていますが、「最近急に大きくなった」「触ると硬い」といった変化があると不安になる方も多いでしょう。
脂肪腫は通常ゆっくりと成長しますが、まれに急に大きくなることがあります。この違いは良性と悪性の可能性に関係することがあり、悪性腫瘍も考えられるため正しい対処が必要です。
良性と悪性のしこりの見分け方、そして不安な症状が現れた際の対処法について解説します。
脂肪腫とは
脂肪腫とは、脂肪細胞からなる良性腫瘍で、痛みがなく柔らかい腫瘍です。サイズは1~10cm程度が多いですが、さらに大きくなる方もいらっしゃいます。発生部位は体幹部に多く、他には上腕、大腿、臀部などにも発生することがあります。お顔や足に発生することは比較的稀です。
また発生時期としては子供の頃が多いですが、成長スピードが遅いため、大人になってから気付く方がほとんどです。診断には触診や画像検査などで判断しますが、悪性腫瘍が疑われる場合は精密検査を行うこともあります。
予想通り脂肪腫だった場合は治療は通常不要ですが、日常生活に支障をきたす場合や見た目が気になる方、痛みを伴う場合は切除することもあります。
脂肪腫は急に大きくなることはある?
脂肪腫は急激に大きくなることはほとんどありません。良性腫瘍である脂肪腫が大きくなるスピードはゆっくりとしています。
つまり、数カ月の間に明らかに急に大きくなった場合は、脂肪腫ではなく『悪性腫瘍』の可能性を疑う必要があります。
考えられる疾患としてはまず、『脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)』があります。この疾患は脂肪細胞由来の悪性腫瘍で、初期には症状がないことが多いものの、「急速に大きくなる」という特徴があります。特に、10cmを超える大きさの腫瘍や硬く癒着している、痛みがある、太ももにできたものは脂肪肉腫の可能性があり、慎重に判断することが必要です。
また、他にもガングリオンや粉瘤など、脂肪腫に似た腫瘍も存在するため、見た目だけで判断せず、医療機関での診察を受けましょう。
急に大きくなった場合の注意点
脂肪腫が急に大きくなった場合は、下記の点に特に注意しましょう。
- ・悪性腫瘍が疑われる
- ・痛みや不快感を感じる
悪性腫瘍が疑われる
悪性腫瘍の場合でも初期症状がほとんどなく、皮下にしこりとして現れる点では脂肪腫と似ていますが、短期間で急速に増大することが特徴です。また、脂肪腫とは異なり、硬くて周囲の組織と癒着しやすいです。
さらに、腫瘍の位置によっては圧迫されて消化不良や腹痛など体に様々な不調を感じる方も多いです。手足や関節付近に発生すると運動機能に支障が出ることもあり、悪性が進行すると体重減少や発熱、倦怠感などの全身症状が現れることもあります。
脂肪腫と脂肪肉腫は見た目だけでは判断が難しいため、しこりが短期間で大きくなった場合や痛みを伴う場合は、早めに専門医を受診し、エコーやMRIなどの精密検査を受けることが重要です。
痛みや不快感を感じる
悪性腫瘍(脂肪肉腫)ではなかったとしても、急激に大きくなることで痛みや不快感を感じる場合も注意が必要です。
特に、腫瘍が神経や血管、周囲の組織を圧迫すると、痛みや圧迫感、腫れなどの症状が現れることがあります。初期には自覚症状がほとんどないため気づきにくいことが多いですが、腫瘍が大きくなるにつれて症状がはっきりと感じる方が多いです。
脂肪肉腫は悪性の軟部腫瘍であり、進行すると痛みを伴うことがあり、特に短期間で急成長した場合には注意しましょう。
良性と悪性の違い
良性腫瘍と悪性腫瘍の最も大きな違いは、成長スピードと腫瘍の硬さにあります。
違うポイント | 良性 | 悪性 |
---|---|---|
大きさ | ゆっくり肥大化する | 急激に肥大化する |
触覚 | 柔らかい、動く | 硬い、動きがない |
痛み | なし | 部位によってはあり |
良性腫瘍の場合は、ゆっくりと肥大化していきます。大きな特徴としては柔らかく、触ると腫瘍部分が動かせる点です。通常は痛みを伴うことはほとんどなく、大きくなった場合でも転移などの心配はありません。
一方、悪性腫瘍である脂肪肉腫は、短期間で急速に肥大化します。そして腫瘍部分は硬く、皮膚や筋肉に癒着することが多いため、触れても動かないことが多いです。また、痛みを伴うことがあり、特に大腿部や体の深部に発生した場合は悪性の可能性を疑われます。
また、良性や悪性は見た目だけでは判断が難しく、医師による診察や精密検査で確認する必要があります。特に10cm以上の大きな腫瘍、急激に肥大化した腫瘍、硬くて動かない、痛みを伴うものは、悪性の可能性があるため、早めの医療機関の受診が推奨されます。
最終的な診断には病理組織検査が必要となり、悪性と診断された場合は手術や放射線治療、化学療法を用いて治療されることが一般的です。良性か悪性かの判断は自己判断では難しいため、気になるしこりがある場合は早めに受診しましょう。
脂肪腫の治療について
脂肪腫は自然に消えることがなく、薬物療法や注射による吸引などでは効果がありません。そのため、治療を行う際は、外科手術による摘出となります。手術は局所麻酔を使用することが一般的で、比較的小さな脂肪腫であれば短時間での処置が可能です。
手術の流れとしては、まず麻酔を行い、皮膚を脂肪腫の大きさに合わせて切開します。脂肪腫を周囲組織から慎重に剥がして摘出します。切開部はできるだけ傷跡が目立たないように細かく縫合されるため、安心してください。術後1週間ほどで抜糸を行い、皮膚が再生していくことで治療が完了します。
手術後は、再発の可能性は低いとされており、術後は一時的に痛みや腫れが生じますが、日を追うごとに良好になっていきます。大きな脂肪腫では悪性の可能性も否定できないため、摘出後に精密検査を行うことがあります。
受診先
脂肪腫の受診先としては、主に「形成外科」と「皮膚科」の2つになります。それぞれの科は役割や診察対象が異なるため、疾患に応じて受診先を選ぶことが必要です。
形成外科
形成外科は、身体の表面に発生する腫瘍であったり変形などを外科的に治療を行う診療科です。機能だけでなく見た目のきれいさにも配慮しながら治療を行います。治療範囲は、外傷治療や先天異常の矯正、腫瘍切除、美容医療など多岐にわたります。
特に、ケガや手術の傷跡を目立たなくする技術に優れており、脂肪腫の診療においても手術による摘出では傷跡を最小限に抑える工夫が施されるため、美容面を重視する方にもおすすめです。
皮膚科
皮膚科は、目に見えている皮膚の異常を専門的に診察する診療科です。皮膚の症状は、皮膚そのものの病気だけでなく、糖尿病や肝臓病、膠原病、悪性腫瘍など、全身の疾患のサインとして現れることもあります。
そのため、皮膚科では発疹やしこりの診察を通じて、必要に応じて検査や他の診療科との連携を行い、全身の健康状態にも配慮した診療を行います。脂肪腫が気になる場合、まずは皮膚科を受診し、必要であれば形成外科へ紹介されるケースもあります。
まとめ
脂肪腫は通常ゆっくりと成長する良性のしこりですが、まれに急に大きくなることがあります。良性の脂肪腫は痛みがなく柔らかいことが多いのに対し、悪性のしこりは急速に成長し、硬く動きにくい点が大きな違いです。
当院は、形成外科医による「特殊な縫合技術」で傷跡が目立ちにくく、きれいな仕上がりで治療を行えるクリニックです。しこりの変化に気づいた際は、早めに医療機関を受診することが推奨されますので、ぜひ当院にご相談ください。
皮膚表面の治療・手術を専門とする形成外科専門医のいるクリニック
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脂肪腫の手術は傷跡が残る?治療方法や手術痕が残らないための方法を紹介!
「脂肪腫の手術は傷跡が残る?」
「脂肪腫の手術痕を綺麗にするケア方法が知りたい」
「術後のダウンタイムについて知りたい」
脂肪腫を除去するには手術が必要と知って、上記のような疑問を持つ方は多いです。
本記事では、傷跡が残りにくい脂肪腫の手術方法やケア方法について解説しています。
脂肪腫を治療できても傷跡が目立つのは避けたいと思うはずです。
本記事を読めば脂肪腫の手術痕を目立たなくする方法がわかりますので是非参考にしてください。
脂肪腫の傷跡は綺麗になる
脂肪腫は、皮膚の下にできる脂肪の塊で通常は症状はありませんが、ときには痛みや不快感を引き起こすことがあります。脂肪腫の治療の流れとしては、まず症状を確認し、必要に応じて摘出手術に至ります。
「手術=傷痕が残る」というイメージは強いですが、形成外科のような摘出手術に慣れた病院の治療はでは、傷跡を最小限に抑えることができます。例えば、当クリニックでは特殊な縫合を行いますので、傷痕を残さない工夫をこらしています。脂肪腫を治すだけでなくできるだけ傷や手術痕を目立たせないようにし、機能を極力回復させることを目指して治療します。
脂肪腫の診断方法
脂肪腫の診断には、いくつかの方法とステップがあります。まず最初は、触診で症状を確認します。脂肪腫は触れたときに、ゴムのような触り心地が特徴なので触診である程度は予想ができます。
次に、超音波検査やCTスキャンを行うことがあります。これらの精密な検査により、脂肪腫の位置や大きさの詳細を確認できます。
触診や画像検査でも脂肪腫と判断がつかない場合、病理組織検査を実施します。病理組織検査を簡単に説明すると、腫瘍の1部を少しだけ採取し実際に確認する検査です。
これらの診断を経て、形成外科医が脂肪腫を取り除くために手術を行います。手術後の傷跡を全くのゼロにすることはできませんが、適切なケアにより傷跡を最小限に抑えることができます。
傷跡が残りにくい脂肪腫の手術方法
ここでは、傷跡が残りにくい手術方法の特徴やメリットデメリットについて解説します。まずは、手術の種類と特徴から見ていきましょう。
手術方法の種類と特徴
脂肪腫は手術で取り除くことが一般的で確実とされています。ここでは、脂肪腫を切除するための手術方法を2種類詳しく解説します。まずは、最も選択される切除手術から見ていきましょう。
切除手術
脂肪腫の手術は、腫瘍の上を切開して完全摘出することを目的とた手術です。腫瘍は日帰り手術が可能ですが、大きい場合や深部にある場合は入院が必要です。脂肪腫の手術の手順は下記の通りです。
手順 | 説明 |
---|---|
麻酔 | 局所麻酔または全身麻酔を施し、手術部位の痛みを抑えます。 |
切開 | 腫瘍の表面に切れ目を入れます。 |
剥離と摘出 | 脂肪腫を周囲の組織から剥離して摘出します。 |
縫合 | 摘出後の空洞を縫い縮めます。 |
止血と固定 | 血腫を防ぐために止血し、必要に応じてドレーンを挿入し圧迫固定します。 |
病理検査 | 摘出物は病理検査で悪性の有無を確認します。 |
内視鏡手術
内視鏡を使った脂肪腫の手術は、内視鏡カメラと専用の手術器具を使用して、腫瘍を取り除きます。手術の流れは下記の通りです。
手順 | 説明 |
---|---|
麻酔 | 局所麻酔または全身麻酔を施し、手術部位の痛みを抑えます。 |
小さな切開 | 手術部位に数ミリの小さな切開を行います。この小さな切開から内視鏡と手術器具を挿入します。 |
腫瘍の確認 | 内視鏡カメラを使ってモニターに映し出された腫瘍を確認します。これにより、腫瘍の正確な位置や大きさを把握できます。 |
腫瘍の摘出 | 手術器具を使って脂肪腫を周囲の組織から慎重に剥離し、摘出します。 |
縫合 | 摘出後の切開部を縫合します。内視鏡手術は切開が小さいため、縫合後の傷跡も小さくなります。 |
各手術方法のメリットとデメリット
各施術別のメリットとデメリットを紹介します。自分の状態にあった手術方法を選択しましょう。
手術方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
切除手術 |
|
|
内視鏡手術 |
|
|
脂肪腫を除去する場合、切除手術が一般的です。切除手術では、完全な除去が期待できるため、再発のリスクを抑えることができます。
一方で、内視鏡による手術は、高度な技術が必要なことと、再発のリスクがあるため、内視鏡手術を行っていない病院もあります。どのような治療方法があるのか病院で確認しましょう。
脂肪腫手術の傷跡が残らないための工夫
傷跡が残らないように自分でケアする方法もあります。
ここでは、できるだけ手術痕が残らないための工夫を紹介します。1つずつ詳しく見ていきましょう。
傷口を乾燥させない
傷を乾燥させず、適度な湿潤環境を保つことで、傷の治りをよくします。傷口が乾燥すると、傷のひりつきやひび割れを起こしやすく、痛みを伴うことがあります。
そのため、専用の絆創膏や軟膏を使用することがおすすめです。適切な保湿は、コラーゲンの生成を促進し、傷跡が目立たなくなることを助けます。
医療用テープで固定する
医療用テープは、傷口を外部の汚れや細菌から保護し、感染のリスクを減少させます。医療用テープで傷口を保護しつつ、傷口を安定させることで、患部の動きを抑え、治癒をサポートします。
特に関節や動きの多い部位の傷には効果的です。また、医療用テープを使うことで、傷跡をきれいに整えることができ、最終的な傷跡が目立ちにくくなります。
過度な飲酒は避ける
飲酒は傷の治癒に悪影響を与えることがあります。アルコールは血液循環を妨げ、免疫機能を低下させるため、感染リスクが高まります。
また、アルコールは体内の水分を奪い、傷口の乾燥を引き起こすことがあります。これにより、傷の治癒が遅れる可能性があります。傷口をきれいに治すためには、飲酒を控え、バランスの取れた食事や適切なケアを心がけることが重要です。
脂肪腫手術のダウンタイムと回復期間
脂肪腫手術後のダウンタイム期間や回復の目安は、個人の健康状態や手術の大きさによって異なります。手術後のダウンタイム期間は通常、1週間から10日ほどです。軽度の手術であれば数週間で日常に戻れることが多いですが、大きな手術や合併症がある場合は数ヶ月かかることもあります。手術後の最初の数日間は、痛みや腫れがあるため、安静にすることが推奨されます。
1〜2週間経つと軽い運動や日常の活動を再開できるようになりますが、重い物を持ち上げたり、激しい運動は避けましょう。1〜2ヶ月するとほとんどの人は通常の活動に戻ることができますが、完全な回復には数ヶ月かかることもあります。
3ヶ月〜6ヶ月経てばほとんどの人が完全に回復し、以前の生活に戻ることができます。
脂肪腫の再発を防ぐ方法
脂肪腫の再発を防止するためには、日常生活を規則正しく過ごすことが重要です。例えば、健康的な食事です。特にビタミンCや抗酸化物質を多く含む食品を意識しながら、バランスの取れた食事を心掛けましょう。
また、適度な運動やストレス管理も重要です。身体の健康を維持し、リラックスする時間を持つことは、脂肪腫の再発を予防することに役立ちます。禁煙や過度な飲酒も健康に悪影響を与えるため、避けましょう。そのうえで、定期的な医師の診察を受け、脂肪腫が再発する兆候を早期に発見することが重要です。
まとめ
本記事では、傷跡が残りにくい脂肪腫手術の方法やアフターケアについて解説しました。傷跡を綺麗にするためには、手術痕の保湿や飲酒を避けるなど、自分でできるケア方法を行うことが重要です。
しかし、傷跡を目立たなくさせるには、自分でできるアフターケアだけでは限界があります。
当院では、形成外科医が機能回復はもちろん、手術痕が目立たない特殊な縫合技術を用いています。まずは、お気軽にご相談ください。大坂梅田形成外科粉瘤クリニックでは、形成外科専門医による日帰り手術を行っております。粉瘤をはじめ、脂肪腫や眼瞼下垂、耳垂裂と幅広い手術に対応しております。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫は除去する方法は?手術の種類や流れ、費用について解説
「脂肪腫の除去手術は日帰りなのか入院が必要なのか知りたい」
「脂肪腫を除去するための治療費が気になる」
「除去した後に痛みが出ないか心配」
脂肪腫は手術で除去できるものの、「手術」と聞くと大掛かりな気がして上記のような不安は尽きません。
本記事では、脂肪腫を除去する方法からアフターケアまで徹底解説していきます。脂肪腫の手術を受けたいけれど、不安に思っている方はぜひご覧ください。
脂肪腫とは
脂肪腫は手術で除去できる腫瘍の1種です。
脂肪腫は、皮下にできる脂肪組織の(ガンではない)良性腫瘍で、通常痛みはありません。しかし、大きくなると周囲の皮膚が引っ張られたり、神経を圧迫することで痛みを感じることがあります。脂肪腫の感触は、一般的に柔らかく、触ると動かすことができます。また、脂肪腫は成長がゆっくりで、数年かけて大きくなることが多いです。
しかし、脂肪腫ができる正確な原因は解明されていないので、場合によっては何かしらの原因によって急激に成長することもあります。脂肪腫だと思っていたしこりが急に大きくなる場合は、実は悪性(ガン)の可能性も捨てきれない、早めの受診をおすすめします。
脂肪腫の見た目が気になる方や痛みを軽減したい方が除去の治療を受けることが多いです。
脂肪腫を除去する方法
脂肪腫の治療には経過観察と手術の2つの対応があります。ここでは、脂肪腫の診断方法や治療法について解説します。
まずは、診断方法から見ていきましょう。
脂肪腫の診断方法
脂肪腫の診断方法は、問診や触診で症状や感触を確認し、エコー、CT、MRIで腫瘍の大きさや位置を把握します。必要に応じて病理検査で腫瘍の性質を詳しく調べます。
脂肪腫は皮下にできる良性腫瘍で、柔らかいしこりのように触れますが、神経を圧迫する場合は痛みを感じることもあります。自然には消えず、ゆっくりと成長するため、急激に大きくなる場合や悪性が疑われる場合は受診が必要です。
経過観察の場合
脂肪腫は良性の腫瘍なので、経過観察でも健康上の問題はありません。しかし、腫瘍が急激に大きくなる、痛みが強くなる、または悪性の疑いが出た場合は、手術などの治療が検討されます。
経過観察の場合、医師による定期的な診察が行われ、腫瘍の大きさや形状の変化を確認します。患者自身も腫瘍の状態を観察し、変化があれば医師に報告します。経過観察は、腫瘍が小さく症状がない場合や、手術のリスクが高い場合に選択されることが多いです。
除去手術の場合
脂肪腫の摘出手術は、局所麻酔を使用して行われる手術と全身麻酔でする手術の2種類です。摘出手術を行う場合は以下の通りです。
-
- ・痛みや不快感がある場合。
- ・急速に大きくなるなど悪性が疑われる場合。
- ・目立つ場所にできたなどの見た目が気になる場合。
- ・機能障害を引き起こす場合。
- ・しこりが悪性か良性か不確実な場合。(摘出された腫瘍は、病理検査に送られ、良性か悪性かの確認が行われます)
脂肪腫除去の流れ
脂肪腫の手術は日帰りで可能です。ここでは、手術の流れや入院の必要性について説明します。まずは当日の流れについて見ていきましょう。
手術当日の流れ
一般的な手術の流れは以下の通りです。
1.準備
手術前に、患者の健康状態を確認するための検査や問診が行われます。また、手術の詳細やリスクについて説明され、同意書にサインします。
2. 麻酔
手術室で局所麻酔が施され、手術部位の痛みを感じないようにします。局所麻酔のため、患者は手術中も意識がありますが、痛みは感じません。(全身麻酔の場合は意識もありません。)
3. 切開
皮膚に小さな切開を行い、脂肪腫を露出させます。この際、切開部はなるべく小さくし、傷跡が目立たないように配慮されます。
4. 摘出
脂肪腫を周囲の組織から慎重に分離し、摘出します。脂肪腫が完全に取り除かれるように、細心の注意が払われます。
5. 縫合
摘出後、切開部を丁寧に縫合します。縫合には吸収糸や非吸収糸が使用され、医師が判断します。
6. 術後ケア
手術後は感染予防のために抗生物質が処方されることがあります。また、痛みや腫れを軽減するために鎮痛剤が使用されます。
7. フォローアップ
手術後、数回のフォローアップ診察が行われます。傷の治り具合や再発の有無を確認し、適切なケアが提供されます。
手術の所要時間と方法
脂肪腫の手術は通常30分から1時間程度で終了します。手術の時間は腫瘍の大きさや場所、手術の複雑さによって異なります。
脂肪腫のサイズ | 手術時間 | 麻酔の種類 |
---|---|---|
5㎝以下 | 約30分 | 局所麻酔 |
10㎝以上 | 約1時間 | 全身麻酔の可能性あり |
筋肉にべったりとくっついている脂肪腫や神経や血管が近くにある、5㎝以上の大きな脂肪腫の場合、全身麻酔が必要になる場合があります。
入院の必要性と日帰り手術
脂肪腫の手術は、通常日帰りが可能で入院の必要はありません。しかし、複雑な手術で全身麻酔を行う場合、入院をすすめられることもあります。自分の脂肪腫がどのような状態にあるのか確認するためにも、早めに病院を受診しましょう。
脂肪腫除去後のアフターケアと回復
脂肪腫の手術を受けた後の対応は、その後の回復にも影響します。ここでは、術後のダウンタイムやアフターケアについて解説します。まずは、除去後のダウンタイムについて詳しく見ていきましょう。
術後の痛みとダウンタイム
脂肪腫の手術後の痛みやダウンタイムは、個人差がありますが、数日から1週間程度続くことがあります。痛みは、麻酔が切れると軽い痛みや不快感を感じることがありますが、鎮痛剤の処方により和らげることができます。また、切開部の腫れやあざが見られることもありますが、数日で徐々に回復します。
術後の期間 | 症状 | 対処方法 |
---|---|---|
術後1〜2日 | 軽い痛み、腫れ、内出血が見られる | 鎮痛剤の服用、安静にする |
術後1週間 | 腫れが徐々に軽減、傷口の保護が必要 | 傷口を清潔に保ち、指示通りの処置を行う |
術後2週間〜1ヶ月 | 痛みはほぼ消失、傷跡のケアが重要 | 医療用テープの使用やUV対策を行う |
手術後は、重いものを持ち上げない、激しい活動は避ける、切開部を清潔に保つなど気を付けて日常生活を送ることが早期回復のために重要です。
定期的な通院の重要性と頻度
脂肪腫除去手術後の定期検診は、傷の治癒状態を確認し、再発や合併症を早期発見するために重要です。通常、手術後1〜2週間以内に最初の検診が行われ、縫合部分の状態や感染の有無をチェックします。
その後、1ヶ月ごとに定期検診が行われ、必要に応じて頻度が調整されます。
通院のタイミング | 主なチェック内容 |
---|---|
術後1〜2週間 | 縫合部分の状態、感染の有無 |
術後1ヶ月 | 回復状況、傷跡の確認 |
術後3〜6ヶ月 | 再発の有無、長期的な経過観察 |
特に、傷口の赤みや腫れ、痛みが続く場合は早急に受診が必要です。また、脂肪腫が再発しないかどうかの確認も含まれます。これにより、万が一の問題を早期に対応できるため、患者の健康維持に役立ちます。継続的なフォローアップは、安全かつ効果的な治療の一環として非常に重要です。
脂肪腫除去手術の費用
脂肪腫の手術には、保険が適用されるため比較的安価で治療を受けることが可能です。ただし、脂肪腫の大きさや部位によって費用は異なります。当院で手術を行う場合の費用は以下のとおりです。
露出部(顔・首・肘から指先・膝から足先)の場合
脂肪腫(リポーマ)の手術は、診断、検査、手術、病理検査などの治療全てが保険対象です。また、医療保険に加入している場合は手術給付金を受けられることもあるため、ご自分の入っている保険を確認しておきましょう。
手術費用は脂肪腫の大きさや位置、手術方法によって異なります。当院は、クレジットカード非対応のため現金(1万から2万5千円程)が必要です。また、脂肪腫が重要な神経の近くにある、大きい、深部に及ぶ場合は、高度医療機関へ紹介することもあります。
切除した脂肪腫の直径の合計 | 3割負担の場合 | 1割負担の場合 | 別途費用 |
---|---|---|---|
2cm未満 | 5,310円〜5,910円程度 | 1,770円〜1,970円程度 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 病理検査費用 3,000円程度 |
2cm〜4cm未満 | 11,340円〜11,940円程度 | 3,780円〜3,980円程度 | |
4cm以上 | 13,410円〜14,010円程度 | 4,470円〜4,670円程度 |
非露出部(体幹やその他)の場合
切除した脂肪腫の直径の合計 | 3割負担の場合 | 1割負担の場合 | 別途費用 |
---|---|---|---|
3cm未満 | 4,170円〜4,780円程度 | 1,390円〜1,590円程度 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 病理検査費用 3,000円程度 |
3cm〜6cm未満 | 10,020円〜10,630円程度 | 3,340円〜3,540円程度 | |
6cm以上 | 12,810円〜13,420円程度 | 4,270円〜4,470円程度 |
また、医療保険に加入している場合は手術給付金を受けられることもあるため、ご自身の保険内容を確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、脂肪腫を除去するための流れから費用までを解説しました。
脂肪腫は、自然消滅しないため除去するには、手術が必要です。
脂肪腫が大きかったり、複雑な場所に発生したりしていない場合は、日帰り手術も可能なため、仕事の合間でも手術ができます。
当院では、24時間WEBから予約ができ、状態次第では当日の手術も可能なため、1~1時間半ほどの時間に余裕をもって受付することがおすすめです。
まずは、気軽にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫の治療に使うドレーンとは?役割や注意点について徹底解説!
「脂肪腫の治療にはどんなものがあるか知りたい」
「手術後にドレーンって使わないといけないの?」
「ドレーンを使用するときの注意点はある?」
脂肪腫の手術後、「ドレーン」と呼ばれる管上の医療器具の管理が必要になる場合があります。
治療に使われるドレーンの役割や管理方法について理解を深めることが大切です。
この記事では、ドレーンに関する基本情報と術後のケア方法について詳しく解説します。
安心して治療を受けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
脂肪腫とは
脂肪腫は、脂肪細胞が異常に増殖してできる良性の腫瘍です。
通常、皮膚の下にでき、触れると柔らかく、動かせるしこりとして感じられます。
形は円形や楕円形をしており、大きさは数センチから10センチ以上になることもあります。
脂肪腫はゆっくりと成長する傾向がありますが、急激に大きくなる場合は悪性腫瘍の可能性もあるので、医師に相談することが重要です。
基本的には痛みを伴いませんが、脂肪腫が神経や血管を圧迫すると、軽い痛みや不快感が生じることがあります。
脂肪腫は通常、健康に大きな問題を引き起こすことはありませんが、症状が気になる場合や大きく成長する場合は、医師に相談し、適切な治療を受けましょう。
脂肪腫の治療法
脂肪腫の治療法は、症状や患者さんの状態によって異なります。
以下に代表的な治療法を3つご紹介します。
診察と経過観察
痛みなどの症状がない、または軽度である場合は、診察し脂肪腫であると診断されると経過観察が推奨されます。
そして、定期的な検診で大きさや状態を確認し、変化があれば早期の対応がおすすめです。
手術
脂肪腫が大きくなったり、痛みや圧迫感を感じる場合は、手術で摘出することが一般的です。手術は通常、局所麻酔または全身麻酔で行われます。
局所麻酔をして、しこりの周囲だけ切開して脂肪腫を取り出す手術の場合、日帰りが可能です。
一方で、全身麻酔が必要な手術では、より複雑な手術になることがあり、場合によっては入院が必要になることもあります。
脂肪吸引
一部のケースでは、脂肪吸引技術を用いて脂肪腫を取り除くことが可能です。
これにより、小さな傷での摘出が可能で、回復が早い場合があります。
しかし、再発防止の観点からは推奨されていません。
脂肪腫の治療方法は、患者さん一人ひとりの症状や健康状態に応じて最適なものが選ばれます。
医師に相談し、適切な治療法を選択することが大切です。
脂肪腫の手術に使われるドレーンとは
ドレーンとは、体内に溜まった血液や体液などを、体外に排出するために使用する管やフィルム状の医療用品のことで、誘導管とも呼ばれています。
脂肪腫の手術で使用されるドレーンには、様々な役割があります。
ここでは、手術での使用方法や目的、管理方法について詳しく解説していきます。
まずは、手術の手順とドレーンを挿入するタイミングについて見ていきましょう。
手術の手順
脂肪腫の手術手順は以下の通りです。
手順 | 説明 |
---|---|
準備 | 手術前に、患者さんの健康状態を確認し、必要な検査を行います。これには血液検査や画像診断が含まれます。 |
麻酔 | 手術中の痛みを感じないように、局所麻酔または全身麻酔を行います。麻酔の種類は、脂肪腫の大きさや位置、患者さんの希望に応じて決定されます。 |
切開 | 手術部位を消毒し、脂肪腫の上の皮膚を小さく切開します。切開の大きさは脂肪腫の大きさに応じて決まります。 |
摘出 | 脂肪腫を包む被膜ごと慎重に取り除きます。これにより、脂肪腫の再発リスクを減少させます。 |
ドレーンの挿入(必要な場合) | 手術中に血液や体液が溜まることが予想される場合、ドレーンを挿入します。ドレーンは、体液の排出を助け、感染を防ぐために使用されます。 |
縫合 | 脂肪腫を取り除いた後、切開部を丁寧に縫合します。必要に応じて、ドレーンの出口部分も固定します。 |
術後のケア | 手術後、ドレーンの管理や傷の手入れについて指導を行います。ドレーンが適切に機能しているか、体液が正常に排出されているかを確認します。 |
ドレーンの取り外し | 術後1~2日で取り外しを行います。固定糸を抜糸してドレーンを引き抜きます。 |
ドレーンの役割
脂肪腫のドレーンは、手術後に脂肪腫を切除したあとの空洞に、血液や体液が溜まるのを防ぐ役割があります。
細い管であるドレーンを挿入することで、空洞に溜まる体液やガスを排出できます。
空洞に溜まる体液を排出することで、腫れや圧力を軽減し、回復を促進します。
また、体の中に体液が滞留すると細菌の繁殖を招き、感染のリスクを高めるため、ドレーンを使用することで体液を排出し、感染を防ぎます。
手術中に出血があった場合、ドレーンを使って血液を除去することも目的の1つです。
空洞に血腫が溜まらないようにします。
ドレーンの取り外し
ドレーンは医師の指示のもと、適切な手順でドレーンを取り外します。
ドレーンを固定している縫合やテープを外し、ゆっくりとドレーンを引き抜きます。その後、傷口を消毒し、必要に応じて縫合します。
このとき、医師からの「取り外してもいい」という許可が必要です。
手術後のドレーンの注意点
手術後のドレーンの取り扱い方について解説していきます。
ドレーンが必要になった際は、以下のことに気を付けましょう。
ドレーンの管理
ドレーンは手術後、外すまでは患者自身で管理しなければなりません。
ドレーンの管理には、排出量の記録やドレーンバッグの交換、清潔に保つことが必要です。
具体的には、医師が回復状況を判断するため、ドレーンから排出される体液の量を定期的に確認し、記録します。
また、バッグの交換は、ドレーンバッグが満杯になった場合や医師の指示があった場合に清潔なバッグに交換します。
感染症の予防
ドレーンの挿入部位と固定している周囲を清潔に保つことが感染症防止の観点から重要です。
しかし、ドレーン挿入中の手術痕は濡らしてはいけません。そのため、定期的に消毒を行います。
また、傷口を毎日チェックし、赤み、腫れ、膿、痛みなどの感染兆候がないか確認しましょう。
経過観察と再発防止
手術後は、定期的に医師の診察を受けることが重要です。
これにより、再発の早期発見が可能となります。また、医師が経過を確認し、必要な場合には追加の治療や対応が行われます。
そのうえで、脂肪腫の再発を早期に発見するために、自分で定期的に体をチェックする習慣をつけましょう。
その他にも再発を防止するためには、健康的な生活習慣や体重管理が重要です。
健康的な生活習慣とは、適度な運動やバランスのいい食事を取ることを指し、新陳代謝を促進し、免疫力を高めることに繋がります。
脂肪腫は、肥満になると脂肪腫発生のリスクを高めるため、運動や食事に気を付けることによって、適正体重を維持することが再発防止になります。
まとめ
本記事では、脂肪腫の手術におけるドレーンの役割や管理する上での注意点について解説しました。
ドレーンは、脂肪腫を切除した際にできた空洞にガスや体液が溜まらないようにする管で、自分で管理する必要があります。そのため、脂肪腫の手術を受ける際は、ドレーンの使用について理解しておきましょう。
当院では、麻酔や器具などを含めた手術について分かりやすく伝えることを意識しています。
また、痛みを大幅に軽減し、傷跡も目立たなくなるように、細部に気を配った手術を心掛けています。
脂肪腫が再発して手術に悩んでいる方は、当院にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫の手術は入院は必要?治療方法から術後のケアまで解説!
「脂肪腫の手術は入院が必要なのか知りたい」
「入院の期間や生活について気になる」
「入院しなくても脂肪腫の手術は受けられるか知りたい」
脂肪腫が発覚したら手術による摘出が必要になります。「手術=入院」というイメージは強いですが、脂肪腫の治療も入院が必要かどうか気になりますよね。
本記事では、どのような症状がある場合に入院が必要なのか、また手術後のケア方法など詳しく解説します。
脂肪腫の治療に安心して望むためにも、ぜひご一読ください。
脂肪腫の手術は入院なしで治療可能
脂肪腫の手術は入院無しで日帰りの治療が可能です。
手術は通常、局所麻酔下で行われ日帰りが多いですが、大きな脂肪腫や複雑な部位にある場合は全身麻酔が必要となり、入院が必要になることもあります。
脂肪腫は脂肪細胞が異常に増殖してできる良性の腫瘍で身体中どこにでも発生する可能性があります。腫瘍大きくなったり不快感を生じるようになった場合は手術が必要です。
一般的に無害で、痛みを伴わないことが多いため、手術せずに経過観察をすることもあります。
入院する場合の期間は通常1~3日程度で、手術後は傷口の管理や痛みのコントロールが行われます。
また、手術後の回復をスムーズにするために、ドレーンが使用されることがあります。ドレーンとは、体内に溜まった血液や体液などを、体外に排出するために使用する管やフィルム状の医療用品です。
脂肪腫の診断
脂肪腫は良性の腫瘍ですが、似た症状で悪性の腫瘍であることもあるため、正確な診断が重要です。
ここでは、脂肪腫の診断方法や病院の選び方について紹介します。
脂肪腫の治療方法にも関係するため、詳しく見ていきましょう。
診断方法
脂肪腫を診断するための方法は、身体検査、画像診断、病理組織検査があります。
診断方法 | 内容 |
---|---|
身体検査 | 触診で、 医師が腫瘤の位置、大きさ、形状、硬さなどを診察します。 |
画像診断 | X線、CTスキャン、MRIなどを行い、脂肪腫の詳細な位置や大きさを確認します。脂肪腫の筋肉との位置関係などを把握することが目的です。 |
病理組織検査 | 腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で観察して腫瘍の性質を確認します。触診や画像診断では悪性の腫瘍と判別がつかない場合に行います。 |
医療機関の選び方
脂肪腫の治療を受ける際には医師の経験が重要です。
形成外科や皮膚科など、脂肪腫の治療に精通した医師が在籍する病院を選びましょう。
傷跡が残らない手術を希望する場合は、より治療実績が豊富な医師に依頼するのがおすすめです。
入院設備が整っていない医療機関にて、全身麻酔が必要と診断された場合は、他の医療機関を紹介してもらうケースもあります。
また、病院の評価や口コミを確認し、他の患者さんの体験談や、医療設備も参考にできます。
保険が適用されるかどうかや、術後のフォローアップ体制も確認し、総合的なサポートが得られる病院を選ぶと良いでしょう。
以上の点を考慮して、自分に合った病院を選びましょう。
脂肪腫の治療法
脂肪腫の治療法には、経過観察と手術の2つがあります。
経過観察は、脂肪腫が小さく、症状がない場合に選択されます。
定期的な検査で腫瘍の成長を監視し、必要に応じて治療法を見直します。
経過観察中は、生活習慣の改善や健康管理が重要です。
手術は、脂肪腫が大きくなったり、痛みや他の症状がある場合に行われます。
手術では、腫瘍を摘出し、再発防止のため、周囲の組織も一緒に取り除くこともあります。
術後は、回復期間やリハビリが必要になることがあります。
どちらの方法も、患者さんの状態や希望に応じて選択されます。
医師と相談しながら、最適な治療法を選ぶことが大切です。
脂肪腫での入院の必要性
小さな脂肪腫は局所麻酔を用いた日帰り手術で摘出可能です。
しかし、脂肪腫の手術で入院が必要かどうかは、脂肪腫の大きさや位置、患者さんの全体的な健康状態によります。
例えば、大きな脂肪腫や深部に位置する脂肪腫、または複数の脂肪腫である場合は全身麻酔が必要となり、入院が推奨されることがあります。
入院期間は通常1~3日程度で、術後の経過観察や痛み管理、感染予防のために入院が必要です。
手術の詳細や入院の必要性については、医師と相談し、理解したうえで最適な治療法を選択するようにしましょう。
脂肪腫の手術と術後のケア
脂肪腫の大きさやできる部位によって、治療法が変わってきます。
ここでは、手術となった場合の手術方法や術後のケアについて解説します。
まずは、手術の方法と術前準備から詳しく見ていきましょう。
手術と術前準備
脂肪腫の手術方法は、一般的に「切開法」が用いられます。
手術では、局所麻酔または全身麻酔を使用し、脂肪腫の上に小さな切開を入れて腫瘍を完全に摘出します。
脂肪腫が大きい場合や深く埋もれている場合、手術はやや複雑になることがあります。
また、必要に応じて、ドレーンを挿入して体液を排出しやすくします。
術前準備 | 内容 |
---|---|
医師との相談 | 手術の詳細やリスク、予後について事前に理解し、疑問や不安を解消しておく。 |
健康チェック | 血液検査や心電図など、必要な健康チェックを行う。 |
禁煙と飲酒の制限 | 手術前の数週間は禁煙し、飲酒を控える。 |
服薬の調整 | 現在服用している薬について、手術の前後にどう調整するか医師に確認する。 |
上記のことを行ったうえで、手術前夜は十分な睡眠を取り、リラックスして手術に望みましょう。
術後のドレーン管理や傷の手入れ
ドレーンを手術で使う際にはいくつか注意点があります。
まずは、ドレーンの挿入部位を清潔に保つことが重要です。
しかし、ドレーン挿入中は濡らしてはいけません。
医師から指示された方法で、洗浄・消毒を行い清潔にしましょう。
また、ドレーンを正しく取り扱うことも重要です。
ドレーンは固定されているため、引っ張ったり、ひねったりしないように注意しましょう。
さらに、ドレーンが詰まったり、曲がったりしないように適切な位置を保つようにします。
排出される液体の量や色を観察し、異常があればすぐに医師に報告します。
異常な出血や急激な増加があれば、すぐに医師に相談しましょう。
日常生活の注意点は、重いものを持たないようにし、急な動きや激しい運動は控えましょう。
これらの点に注意することで、ドレーンの使用期間中の感染リスクや合併症のリスクを減らし、早期回復を目指すことができます。
術後の回復の目安と注意点
脂肪腫の手術後、回復には一般的に2〜4週間程度かかりますが、個人差があります。
手術後1〜2日は痛みや腫れがあるため、処方された痛み止めを使用します。
この期間は安静に過ごし、激しい動きを避けることが重要です。
手術後から1週間程は、縫合部位の確認と、ドレーンが使われている場合はドレーンの管理を行います。
感染症の兆候がないかチェックしましょう。
手術後2週間程度で、通常、抜糸が行われます。
この時点で、腫れや痛みは徐々に引いてきます。
手術後4週間経つとほとんどの患者さんは、この頃に通常の活動に戻ることができます。
ただし、激しい運動や重い物を持つことは引き続き避けましょう。
定期検診と生活習慣の改善
脂肪腫の手術後、再発防止や早期回復のためにも、定期検診と生活習慣の改善が重要です。
定期検診では、傷口の治癒状況や体調を確認し、必要に応じて追加の治療やケアを行います。
また、術後の異常を早期に発見し、迅速に対応することで、感染症や再発のリスクを減らせます。
生活習慣の改善は、免疫力向上や適正な体重管理などに必要です。
バランスの取れた食事と適度な運動により、免疫力が向上し、感染症の予防に役立ちます。
生活習慣の改善項目 | 具体例 |
---|---|
食事 | バランスの良い栄養を意識し、新鮮な野菜や果物、タンパク質を摂取する。 |
適度な運動 | ウォーキングや軽いストレッチなどを日常に取り入れる。 |
休息 | 十分な睡眠を取り、心身のストレスを軽減する。 |
禁煙・節酒 | タバコを控え、アルコール摂取も適量に抑える。 |
適正な体重を維持することで、体への負担を軽減し、回復を促進します。
また、脂肪腫は脂肪細胞が異常に増殖することで発症するため、適正な体重管理で脂肪の増加を抑えることは、脂肪腫を予防することに繋がります。
さらに、十分な休息とリラックス法を取り入れることで、ストレスを軽減し、全体的な健康を向上させます。
そのうえで、タバコや過度なアルコール摂取を避けることで、体の回復力を高め、再発のリスクを減らします。
定期検診と生活習慣の改善は、術後の健康維持と早期回復に不可欠です。
医師の指導を守りながら、自分自身の健康をしっかりと管理していきましょう。
まとめ
本記事では、脂肪腫の手術における入院の必要性や術後ケアについて解説しました。
脂肪腫は良性の腫瘍ですが、徐々に大きくなります。
入院なしで治療したい方は、肥大化する前に早めの受診がおすすめです。
当院では、患者様の都合に合わせた日程での日帰り手術も可能となりますので、放置する前にお気軽にご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫は癌になる?気になる見分け方や対処法について徹底解説!
「首に脂肪腫っぽいものができたけれど、本当に脂肪腫かな?」
「がんだったらどうしよう」
「脂肪腫と悪性腫瘍の見分け方が知りたい」
上記のようなお悩みはありませんか?
良性の腫瘍だと思っていたけど、実際はがんだったら困りますよね。
病院に行ってから手遅れだったなんてことにならないように、早めの受診をおすすめします。
本記事では、脂肪腫と癌の見分け方や対処法の違いについて解説しています。治療方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
脂肪腫は癌とは異なる
脂肪腫とがんは、両者とも腫瘍ですが、性質が大きく異なります。
脂肪腫は良性の腫瘍で、脂肪細胞が異常に増殖したものです。
通常(悪化していない限り)は、触れても痛みがなく、大きさは数センチから10センチ程度の柔らかいしこりで、体幹や四肢に発生します。
脂肪腫が健康に大きな害を及ぼすことは稀で、がん化することはほとんどありません。
煩わしい場合や見た目に問題がある場合は手術で取り除くことができます。
一方、がんは悪性の腫瘍で、細胞が無制限に増殖し、周囲の組織に浸潤したり、他の部位に転移する可能性があります。
がんは一般的に痛みを伴うことが多く、早期発見と治療が重要となります。
しこりが急激に大きくなったり、不快感や痛みを感じる場合は、悪性腫瘍の可能性があります。
脂肪腫と癌の見分け方
ここでは、脂肪腫と癌の違いについて解説します。
脂肪腫 | 癌 | |
---|---|---|
痛み | なし | あり |
大きさ | ゆっくり大きくなる | 急に大きくなる |
触感 | 柔らかい | 硬い |
痛み
脂肪腫とがんの痛みには明確な違いがあります。
脂肪腫は良性の腫瘍で、通常は痛みを伴いません。
稀に、脂肪腫が大きくなりすぎて神経や血管を圧迫すると、軽い痛みや不快感が生じることがありますが、深刻な痛みはほとんどありません。
一方、がんは悪性の腫瘍で、痛みを伴うことが多いです。
がんの痛みは、腫瘍が周囲の組織や神経を侵食したり圧迫することで生じます。
痛みの強さや性質は、がんの種類や進行度、部位によって異なります。
例えば、がんが進行すると持続的な痛みや鋭い痛みが見られ、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
しこりが急激に大きくなったり、痛みを感じる場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮して医師に相談することが重要です。
大きさ
脂肪腫とがんの大きさには違いがあります。
脂肪腫は、通常1cm~10cm程度の良性の腫瘍で、ゆっくりと成長します。
大きくなることはありますが、急激に成長することは稀です。
一方、癌は悪性の腫瘍であり、大きさや成長速度はさまざまです。
癌は急速に成長し、周囲の組織に浸潤することがあります。
癌が進行すると、数センチから大きなものでは数十センチに達することもあります。
しこりが急に大きくなったり、形が不規則になったりする場合は、脂肪腫ではなく悪性の癌の可能性があるため、医師の診察を受けることが重要です。
触感
脂肪腫とがんの触感には違いがあります。
脂肪腫は、通常、柔らかくて弾力のあるしこりのように感じられます。
触れると皮膚の下で動くことができ、痛みはほとんどありません。
脂肪腫はゆっくりと成長し、触感は一定です。
一方、がんは、しばしば硬く、固定されていて動かせないしこりとして感じられます。
表面が不規則で、周囲の組織に浸潤していることがあります。
触感に違和感を感じる場合や、しこりが急に大きくなったり形状が変わったりする場合は、がんの可能性があるので、早めに医師に相談しましょう。
脂肪腫ができたときの対処法
ここでは、脂肪腫ができたときの対処法について解説していきます。
脂肪腫と癌では、対応が違うためそれぞれ詳しく見ていきましょう。
脂肪腫 | 癌 | |
---|---|---|
治療法 | 外科手術 | 外科手術・薬物療法・放射線治療 |
受診する科 | 形成外科 | 部位や治療法によって異なる |
脂肪腫の場合
脂肪腫ができた場合、形成外科や皮膚科に相談しましょう。
治療法としては、外科手術が一般的です。
しかし、一部のケースでは、脂肪吸引技術を用いて脂肪腫を取り除くこともあります。
治療方法は、脂肪腫の大きさや位置、患者さんの健康状態に応じて判断します。
医師に相談して、最適な治療法を選択することが大切です。
癌の場合
がんを疑った場合、まずは内科や一般外科で診察を受け、具体的な症状やがんの疑いのある部位に応じて、専門科に紹介されることが多いです。
脂肪腫と迷った場合には、形成外科を受診すると、腫瘍の診断をしてくれます。
疾患名 | 受診する科 |
---|---|
乳がん | 乳腺外科 |
肺がん | 呼吸器外科・内科 |
胃がん・大腸がん | 消化器外科・内科 |
前立腺がん | 泌尿器科 |
皮膚がん | 皮膚科 |
治療方法
治療方法はがんの種類や進行度により異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます。
治療方法 | 内容 |
---|---|
手術 | 腫瘍を完全に摘出することを目的とします。 |
放射線療法 | がん細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を使用します。 |
化学療法 | 抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑える治療です。 |
免疫療法 | 免疫系を強化してがん細胞と戦います。 |
ホルモン療法 | ホルモン依存性のがんに対して、ホルモンの作用を抑える治療です。 |
脂肪腫の治療法
ここでは脂肪腫の治療法について解説していきます。
脂肪腫は手術での切除になります。
手術までの流れ
まず当院では、エコー検査を行います。
診断がつけば当日手術も可能ですが、当日に診断ができない場合には検査後に再度来院していただき、手術を行います。
手術の流れ
以下は手術の流れです。
- マーキング:手術前に、該当箇所にマーキングを施します。
- 麻酔注射と切開:局所麻酔を行い、脂肪腫の近くに小さな切開を入れます。
- 脂肪腫の除去:腫瘍を慎重に取り除きます。
- 止血と縫合:傷跡を最小限に抑え、圧迫固定を行います。
- 抜糸:術後、細い糸を使って丁寧に縫合します。
まとめ
本記事では、脂肪腫と癌の違いについて解説してきました。
脂肪腫は良性の腫瘍のため、健康に大きな影響はありませんが、癌は悪性腫瘍で早期発見が重要です。
できものができた場合、自己判断せずに形成外科を受診しましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫っぽいものが脇の下にできた?原因から治療法まで徹底解説!
「脇の下にできものができたけれど、何だろう?」
「前にできた脂肪腫が再発したのかな?」
「脂肪腫だったときの原因や治療法を知りたい」
脇の下にできものができると、日常生活でも違和感を感じますよね。
取った方がいいのか、取るならどんな治療方法があるのか気になりませんか。
本記事では、脂肪腫の原因や治療方法について解説しています。脂肪腫と似た疾患についても解説していますので、最後までご覧ください。
脇の下にできた脂肪腫は良性の腫瘍
脂肪腫は、良性の脂肪細胞として増殖してできる腫瘍で、皮下組織に発生します。
主に体幹や肩、首の後ろ、腕、臀部、太ももに見られ、女性にできやすい傾向があり、40~60歳に多く見られます。
通常は軟らかく痛みはなく、1~10cm程度の大きさです。
治療は必要ない場合が多いですが、わずらわしい場合は手術で切除することもあります。
脂肪腫はがん化することはほとんどありませんが、急激に大きくなる場合は形成外科への受診がおすすめします。
脇の下にできた脂肪腫の原因は?
脇の下に脂肪腫ができる原因は主に3つです。
ここでは、生活習慣・肥満・飲酒について解説します。
まずは、生活習慣から見ていきましょう。
生活習慣
脂肪腫は、脂肪細胞の良性腫瘍で、肥満や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が原因となることがあります。
生活習慣病は脂肪の代謝や蓄積に影響を及ぼし、脂肪細胞が異常に増殖するリスクを高めます。
そのため、高カロリーや栄養バランスの悪い食生活、運動不足、睡眠不足などの不規則な生活習慣は脂肪腫が発生しやすいリスク因子です。
肥満
脂肪腫は脂肪細胞にできる良性腫瘍のため、肥満がその一因とされています。
そのため、肥満により脂肪細胞が過剰に蓄積されることで、脂肪腫が形成されやすくなります。
飲酒
飲酒も脂肪腫の一因とされることがあります。
過度なアルコール摂取は肝臓の機能を低下させ、脂肪の代謝に影響を及ぼします。
その結果、脂肪細胞が異常に増殖し、脂肪腫が形成されやすくなります。
特に、良性対側性脂肪腫と呼ばれる脂肪腫は、肩や二の腕、太ももなどに左右対称にできる稀な脂肪腫です。
良性対測性脂肪腫は、アルコール摂取量が多く、肝機能障害をもつ男性に多いとされています。
脂肪腫が脇の下にできたときの対処法
脇の下に脂肪腫ができたときの対処法について3つ紹介します。
主に、生活習慣の改善・アルコール制限・摘出手術です。
まずは、生活習慣の改善から詳しく解説していきます。
生活習慣の改善
脂肪腫を予防するために生活習慣を改善する理由は、健康的な体重を維持し、脂肪細胞の過剰な蓄積を防ぐためです。
適度な運動やバランスの取れた食生活を心掛けることで、肥満や高脂血症を避け、脂肪腫のリスクを減らせます。
健康的な生活習慣は全身の健康を守るだけでなく、脂肪腫の予防にも有効です。
アルコールを制限する
脂肪腫を予防するためにアルコールを制限する理由は、過度な飲酒が肝臓の機能を低下させ、脂肪の代謝を妨げるためです。
これにより、脂肪が体内に蓄積しやすくなり、脂肪腫のリスクが高まります。
適度な飲酒を心掛けることで、肝臓の健康を保ち、脂肪代謝を正常に維持し、脂肪腫の発生を防ぐことができます。
摘出手術
脂肪腫の摘出手術は通常、局所麻酔を用いて行われます。
手術は以下の手順で進行します。
まず、医師が脂肪腫の周囲を切開し、腫瘍を包む被膜ごと慎重に取り除きます。
その後、切開部を縫合し、必要に応じてドレーン(細い管)を挿入して血液や滲出液を排出します。
手術自体は比較的簡単で、術後の回復も早いのが特徴です。
大きな脂肪腫や症状がある場合には、専門医の診察を受け、適切な治療を選択しましょう。
脇の下の脂肪腫と似た疾患
脂肪腫以外で考えられる疾患について紹介します。
ここで紹介するのは、同じようなしこりができる疾患です。
まずは、粉瘤(アテローム)について詳しく解説していきます。
粉瘤(アテローム)
粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下にできる良性の嚢胞で、主に毛包や皮脂腺が閉じてしまうことで発生します。
触れると丸くしこりのように感じられ、主に背中や首、顔などにできやすいです。
粉瘤は感染することがあり、赤く腫れたり膿が出たりすることもありますが、通常は痛みを伴わず、治療は外科的に取り除くことが一般的です。
定期的に皮膚の状態をチェックし、異常を感じたら医師に相談しましょう。
粉瘤について、動画でも詳しく解説しております。
滑液包炎(かつえきほうえん)
滑液包炎(かつえきほうえん)は、関節周辺にある滑液包(滑液を含む小さな袋)が炎症を起こすことで発生します。
主な原因は過度な動きや圧力による刺激です。
症状としては、関節周りの痛み、腫れ、発熱があります。
治療方法には、安静、氷冷、抗炎症薬の使用が含まれます。
重症の場合は、医師による処置が必要です。
予防には、日常生活での関節の使い過ぎを避け、適切な休息を取ることが重要です。
乳がん
乳がんは、乳房の乳腺細胞から発生する悪性腫瘍です。
初期症状として、しこりや乳房の形状の変化、乳頭からの分泌物などが見られます。
早期発見が重要で、定期的な自己検診やマンモグラフィーがおすすめです。
治療法には、手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法などがあります。
遺伝的要因や生活習慣も影響を与えるため、健康的な生活習慣の維持が予防に役立ちます。
疑わしい症状がある場合は、医師の診察を受けることが大切です。
脂肪肉腫
脂肪肉腫(リポサルコーマ)は、脂肪細胞から発生する悪性腫瘍の一種です。
主に四肢や体幹の深部に発生し、中年から高齢者に多く見られます。
痛みを伴わないしこりや腫れが特徴で、進行すると周囲の組織を圧迫し、機能障害を引き起こすことがあります。
診断はMRIやCT、生検によって行われ、治療は外科的切除が基本ですが、化学療法や放射線療法が併用されることもあります。
再発や転移のリスクがあるため、長期的な経過観察が重要です。
まとめ
本記事では、脇の下にできる脂肪腫の原因や対象法について解説していきました。
脂肪腫は脂肪細胞にできる良性の腫瘍です。
そのため、予防には、脂肪細胞を増殖させないことが有効です。
バランスの良い食生活、適度な運動、過度な飲酒を控えるなどの健康的な生活習慣を意識しましょう。
脂肪腫は良性の腫瘍ですが、自然に治ることはありません。
大きくなると、切除するときにリスクが高まるので、早めの受診がおすすめです。
また、稀に悪性の腫瘍の可能性もあるので、自分で判断しないようにしましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫は鼻に発症する?鼻にできやすい腫瘍と治療について徹底解説
脂肪腫は、脂肪組織からできる良性の腫瘍で、触ると柔らかくしこりを感じることが多いです。
この腫瘍は、体のさまざまな場所に発生しますが、鼻にできることは比較的少ないです。
鼻に発生しやすい腫瘍には、良性のものから悪性のものまでさまざまな種類があり、それぞれ治療方法が異なります。
そこで今回は、鼻にできやすい腫瘍の種類や治療法について詳しく解説します。
脂肪腫について
ここでは、脂肪腫の概要について見ていきましょう。
特徴
脂肪腫は、脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。
特に、背中や肩、首の後ろ、腕、太ももなどにできやすく、鼻にできることは稀です。
症状は、皮膚にドーム状のブヨブヨした柔らかい塊として発生し、基本的に痛みを伴わないケースが多いです。
大きさは数ミリから10センチ以上にも成長することがあり、自然に小さくなることはありません。時間の経過とともに腫瘍部分は大きくなっていくため、早めの治療が推奨されています。
原因
脂肪腫の原因は、明確には判明していません。しかし、脂肪腫ができやすい人の特徴や傾向があると言われています。
まず、遺伝的な要素や外傷的な要因が考えられています。ご家族の中に脂肪腫を患ったことのある方は、遺伝して発症しやすい傾向があります。また、外部からの刺激を受けやすい場所に発生しやすく、服が擦れる部位で発生することが多いです。他にも、肥満の方や女性に多い病気です。
確かな原因は明らかになっていませんが、これらの要因が関係していると考えられています。
鼻にできやすい脂肪腫に似た腫瘍
鼻にできやすい腫瘍は、いくつかあります。特に見た目が脂肪腫と似ていて、判断が付きにくいものも存在します。
ただのニキビではない可能性もあるので、自己判断せずに医師に相談することをおすすめします。
- ・ニキビ
- ・粉瘤
- ・鼻せつ
- ・稗粒腫(はいりゅうしゅ)
ここでは、脂肪腫と間違われやすい腫瘍、4種類について解説します。
腫瘍の種類 | ニキビ | 粉瘤 | 鼻せつ | 稗粒腫(はいりゅうしゅ) |
---|---|---|---|---|
痛み | なし(種類によって痛みあり) | なし(炎症を起こすと痛みあり) | あり | なし |
できやすい部位 | 顔、背中など | 顔、首、背中、耳の後ろ | 鼻の入り口付近 | 目元、鼻、額、頬、陰部など |
ニキビ
ニキビは、鼻にできやすい脂肪腫に似た腫瘍の一つです。
皮脂が多い部分にできやすく、鼻や頬、額など様々な所に発生します。大きさは数ミリ程度の盛り上がったできもので、初期の段階では痛みを感じることはほとんどありません。しかし菌が繁殖して悪化すると、炎症や痛みを伴うニキビへと進行してしまうため、注意しましょう。
鼻の皮膚は凹凸が多く、汚れやメイクが残りやすいことから悪化しやすい傾向があります。また、鼻をよく触ったり、頻繁にかむことで刺激が加わることで、ニキビができやすい環境になってしまいます。初期のニキビであれば、市販薬でも治ることがありますが、なかなか改善しない場合は、医師の診断を受けることをおすすめします。
粉瘤
粉瘤は、皮膚に袋状の組織ができ、その中に角質や皮脂などの不要物がたまる腫瘍です。
特に皮脂分泌が多い顔や背中、首などにできやすく、鼻にもできやすいです。見た目は、皮膚が盛り上がり、中央に黒い点が見られることが特徴です。粉瘤は自然に小さくなることがなく、徐々に大きくなっていきます。そして一般的に痛みを伴いませんが、炎症を引き起こすと激しい痛みや腫れ、膿がたまってしまうケースもあります。
鼻せつ
鼻せつとは、特に鼻毛が生えている部分に細菌が感染して化膿し、うみを伴う赤くて硬いしこりです。
鼻の入り口付近にできやすく、直径数ミリ程度の痛みを伴う赤い腫れが特徴です。腫れが進行してしまうと、鼻の先端が赤く腫れ上がります。さらに悪化すると鼻づまりや頭痛など、体に様々な不調を引き起こすこともあります。
鼻せつは、感染が広がるとより重い症状を引き起こす可能性があるため、早期の治療が推奨されている病気です。
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
稗粒腫(はいりゅうしゅ)は、顔や体のさまざまな場所にできる、白くて小さなポツポツとしたできものです。
特に目元にできやすいと言われていますが、他にも鼻や額、頬、陰部などにもできやすいです。触ると少し固く、大きさは1mm以下のものから、最大で1cmほどと比較的小さいできものになります。
稗粒腫の特徴としては、ポツポツと孤立した小さいできものであるため、他の腫瘍と区別がつきやすい傾向があります。
鼻の腫瘍は何科を受診するべき?
鼻にできた腫瘍は、症状によって受診すべき診療科が異なります。ここでは、下記の診療科について解説します。
- ・耳鼻咽喉科
- ・形成外科
- ・皮膚科
腫瘍の種類 | ニキビ | 粉瘤 | 鼻せつ | 稗粒腫 |
---|---|---|---|---|
耳鼻咽喉科 | △ | △ | ◯ | △ |
形成外科 | △ | ◯ | △ | ◯ |
皮膚科 | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科は、耳や鼻、のど、頸部の病気を診断及び治療を行う診療科です。内科的治療から外科的治療まで幅広く対応しています。
鼻にできたできものはもちろん、中耳炎や花粉症、めまい、扁桃炎といった一般的な病気も相談できます。しかし、脂肪腫が疑われる場合は、耳鼻咽喉科よりも形成外科や皮膚科を受診するほうがよりスムーズに治療できるでしょう。
形成外科
形成外科は、身体の表面の見た目や機能を改善することを目的とした診療科です。
特に外見に影響を与える腫瘍やけが、先天的な異常、やけどなどを「きれいに治療できること」に強みを持っており、手術や縫合技術に優れています。顔や手足などの傷や変形をできるだけ目立たないように治療を行い、生活の質を向上させることをサポートしています。
鼻の腫瘍のように顔の目立つできものに関しては、綺麗に治療ができる形成外科の受診がおすすめです。
皮膚科
皮膚科は、皮膚や爪、毛髪などの目に見える部分の疾患を治療する専門科です。
鼻の腫瘍も皮膚科で診察が可能ですが、特に皮膚の表面に現れるできものやしこり、赤みなどの異常が見られるときにおすすめです。
皮膚科では、内服薬や外用薬を使った薬物療法が中心ですが、必要に応じて簡易的な外科的手術も行われます。鼻の皮膚にできた腫瘍の場合、初期段階では皮膚科での診察が適していますが、腫瘍の種類や大きさ、治療方法によっては形成外科が最適な場合もあります。
腫瘍の治療法について
腫瘍の治療には、主に下記の3つの方法があります。
- ・手術による除去
- ・外用薬の塗布
- ・飲み薬の服用
それぞれの治療内容について解説します。
手術による除去
粉瘤や脂肪腫、稗粒腫などの腫瘍には、手術による摘出が一般的です。
これらの腫瘍は自然には治癒しないため、手術が必要です。メスで腫瘍のサイズに合わせて切開を行い、少しずつ腫瘍を取り出して縫合します。
腫瘍の大きさによりますが、ほとんどの場合、日帰り手術が可能です。手術による治療は、腫瘍を完全に切除することで再発のリスクを抑えることができ、根治が期待できます。特に、悪性の可能性がある腫瘍に対しては、早期の治療や摘出をおすすめします。
脂肪腫について、動画でも詳しく解説しております。
外用薬の塗布
外用薬の塗布は、鼻せつやニキビなどのできものに効果的です。特に過酸化ベンゾイルやアダパレン製剤などは、ニキビの原因菌を殺菌し、毛穴の詰まりを改善する作用があります。これにより、白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビの改善が期待できます。外用薬は手術や内服薬など他の治療に比べて副作用が少ないメリットがあります。
しかし塗り薬でも、長期使用によって皮膚が薄くなったり、肌が荒れたりなど副作用が起こる可能性もあります。副作用を防ぐためには、医師の指示を守り正しく使用することが大切です。
飲み薬の服用
飲み薬の服用は、初期段階のニキビや鼻せつの症状緩和におすすめの治療法です。
特に抗菌薬は市販では販売されておらず、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。化膿したニキビには、抗菌成分を含む飲み薬が重要になるため、早めに治療を開始するようにしましょう。
また、鼻せつの治療では、抗菌薬の内服が推奨されており、蒸しタオルで温めるケアも症状緩和に有効です。飲み薬を服用しても症状が改善されない場合は、手術による摘出が必要になることもあります。
まとめ
脂肪腫は体のさまざまな部位に発生する腫瘍ですが、鼻にできることは稀です。
鼻にできやすい腫瘍としては、粉瘤や稗粒腫、ニキビ、鼻せつなど、さまざまな種類があります。治療は腫瘍の種類や大きさ、状態に応じて異なり、外用薬や飲み薬で治療できる場合もあれば、手術が必要なケースもあります。体への負担を軽減するためにも、早めの治療をおすすめします。
当院は、痛みを最小限に抑えた日帰り手術を行っております。様々な腫瘍の治療が可能ですので、肌のトラブルでお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
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脂肪腫っぽいものが顎にできた?原因から対処法まで徹底解説!
「顎(アゴ)にしこりができたけど脂肪腫かな?」
「脂肪腫が再発したときの対処法を知りたい」
「顎にできたしこりは脂肪腫じゃない可能性がある?」
しこりが顎にできたら何かの病気なのか気になりますよね。
脂肪腫が再発したのか、それとも何か違う病気なのか不安になります。
脂肪腫は良性の場合がほとんどですが、悪性の可能性もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
本記事では、顎にできる脂肪腫の原因や対処法について解説しています。
他の病気の可能性についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
顎の脂肪腫とは?
顎にできる脂肪腫は、一般的には「脂肪腫(リポーマ)」と呼ばれる良性の腫瘍です。
脂肪細胞から成り立っており、通常は柔らかく、皮膚の下にできます。
脂肪細胞からできているので、脂肪のあるところは、どこでもできる可能性があります。
顎にできる脂肪腫は、通常痛みはありません。
柔らかいしこりとして触れるのが特徴です。
しかし、大きくなることで周囲の組織を圧迫し痛みが出ることがあります。
脂肪腫ができやすいところは、胴体に近いところで、背中、肩、首、太もも、おしりなどに出る傾向があります。
脂肪腫が顎にできる原因3選
脂肪腫が発生する原因は明確には分かっていませんが、様々な要因が関連して脂肪腫が発症するリスクを高めていると考えられています。
脂肪腫ができる要因としては、生活習慣病や遺伝、飲酒習慣などが挙げられます。
まずは、生活習慣病から詳しく見ていきましょう。
生活習慣病(肥満・高脂血症・糖尿病)
生活習慣病のなかでも、肥満や高脂血症、糖尿病などが脂肪腫に繋がりやすい症状です。
脂肪腫は、脂肪細胞からできる良性の腫瘍です。
そのため、特に肥満や糖尿病は、脂肪細胞が集まりやすくなるため、脂肪腫の発生リスクが増大します。
また、高脂血症は血液中の脂質が増加し、動脈硬化を引き起こす可能性があります。
このため、これらの生活習慣病がある場合、脂肪腫ができやすくなることがあります。
遺伝
脂肪腫を解剖すると、染色体の異常が見られるため、遺伝子が関係していると考えられています。
しかし、脂肪腫自体は遺伝するものではないと考えられています。
飲酒習慣
多発性脂肪腫の1つである“対称性多発性脂肪腫症”と呼ばれる病気は、飲酒習慣が関係しています。
アルコール摂取量が多く、肝機能障害のある男性の罹患率が高いと考えられています。
顎に脂肪腫が再発したときの対処法
脂肪腫が何度も発生する理由はなんでしょうか。
脂肪腫の再発を防ぐためには、次の3つのポイントが重要です。
完全な切除
脂肪腫の手術では、腫瘍を包む被膜を破らずに摘出することが再発防止に効果的です。
残ってしまうと、再発してしまう可能性があります。
定期的な検診
手術後も医師の診察を受けることで、再発の早期発見が可能になります。
特に家族に脂肪腫の発症歴がある人や生活習慣病を持つ人は注意が必要です。
生活習慣の改善
ストレス、肥満、喫煙などは脂肪腫の発生リスクを高めるため、適度な運動やバランスの良い食生活、十分な睡眠、ストレス管理が重要です。
例えば、有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れることで、体脂肪を減らし、代謝を上げることができます。
また、アルコールの摂取頻度を下げることも効果的です。
これらの対策を実践することで、脂肪腫の再発リスクを最小限に抑えることができます。
不安な場合は、医師に相談することをおすすめします。
顎にできる脂肪腫と似た疾患
顎にできたしこりで考えられる代表的な疾患を4つ紹介します。
ここで紹介するのは、脂肪肉腫、粉瘤、ガングリオン、顎下腺腫瘍です。
まずは、悪性の可能性がある脂肪肉腫から詳しく解説していきます。
脂肪肉腫
脂肪肉腫(リポサルコーマ)は、脂肪細胞から発生する悪性腫瘍(がん)の一種です。
主に手足や体幹の深部軟部組織に発生し、中年から高齢者に多く見られます。
症状としては、痛みを伴わないしこりや腫れが特徴で、進行すると周囲の組織を圧迫し、機能障害を引き起こすことがあります。
再発や転移のリスクがあるため、長期的な経過観察が重要です。
脂肪腫とは異なり、悪性の腫瘍であることが特徴です。
粉瘤
粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の下にできる良性の嚢胞で、皮膚の表面にある毛包や皮脂腺が閉じてしまうことで発生します。
主に背中や首、顔などにできやすく、触れると丸いしこりのように感じられます。
粉瘤は感染することがあり、赤く腫れたり膿が出たりするのが特徴です。
脂肪腫と粉瘤は治療方法が似ており、両方とも外科的に切除することが一般的です。
ガングリオン
ガングリオンは、関節や腱の近くにできる良性の嚢胞で、主に手首や指に発生します。
透明なゼリー状の液体で満たされており、触れると硬く、押すと痛みを伴うことがあります。
ガングリオンは関節や腱への負担が原因とされ、主に動きの多い部分に発生しやすいです。
治療法としては、ガングリオンは針で液体を抜くか、外科的に除去することが一般的です。
顎下腺腫瘍
顎下腺腫瘍は、左右の顎の下に存在する唾液腺である顎下腺から発生する腫瘍です。
顎下腺の大きさは個人差がありますが、クルミくらいの大きさと言われています。
左右にある顎下腺のうちどちらかにしこりができ、大きさが変わることで腫瘍に気付くことがあります。
顎下腺腫瘍は多くの場合が良性ですが、しこりが急に大きくなったり、痛みがある場合は悪性の可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
脂肪腫の手術方法
ここでは、脂肪腫の手術の流れについて解説しています。
脂肪腫の手術は、通常、以下のようなステップで行われます。
- ・診断と計画:医師が脂肪腫の位置、大きさ、形状を確認し、手術の計画を立てます。
- ・麻酔:手術中に痛みを感じないように、局所麻酔や全身麻酔が行われます。
- ・切開:脂肪腫の近くに小さな切開を入れ、脂肪腫を取り除きます。
- ・脂肪腫の除去:脂肪腫を慎重に取り除き、周囲の組織を傷つけないようにします。
- ・縫合:切開を縫合し、傷跡を最小限に抑えるようにします。
- ・回復期:手術後は指示に従ってケアを行い、回復を促進します。
手術の詳細やリスクについては、担当の医師と詳しく相談することをお勧めします。
脂肪腫について、動画でも詳しく解説しております。
まとめ
この記事では、顎にできる脂肪腫の原因や対処法について解説してきました。
脂肪腫とは良性の腫瘍です。
自然に小さくなることはないので、気になる人は手術が必要となります。
脂肪腫は良性ですが、悪性の腫瘍である可能性もありますので、自分で判断せずに、早めに受診しましょう。
また、他の疾患の可能性もあるため、できるだけ早めに医療機関を受診することが望ましいとされています。
当院は、様々な外科治療が可能な形成外科です。傷跡が残りにくい手術を行っており、日帰り手術にも対応可能です。鼠径部に気になるしこりができた方は、ぜひ当院へご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。